只、捨てて欲しかっただけ

瞳を凝らして見つめた 道路の先に気球
子供の頃から飛び立たないまま
道化に目的を求めては 一人傷ついて
仮面が割れ落ちる 歪な音がうるさい

3階のアパートの誰かの部屋には
まだ明かりがついていて
ベランダの椅子で 出ない煙を吸うのでしょう
ドーム型の白い月と青
狂いだした昼下がりに 手を振っていたなら
一方通行で 友達になってくれますか

運ばれていく 透過した雲の一群が
意識のない サメになって
千切れるままに 風に喰われていった

本と歯ブラシだけで満たされる日は
訪れるのでしょうか
白いガードレールの下に積まれた文庫本が
次々に 回収車に放り込まれてゆきます

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