南風と紗幕

悲しみの石を 夜の海に投げ捨てた
あの光の溜まり場まで 飛んでいっただろうか
喜びは離着陸 悲しみは操車場
片翼の天使 一輪の花に 飽きてしまった

喜怒哀楽はレンタルだから
いつまでも待っていてはくれないの
感情のクローゼット ノスタルジアの甘い毒
取り出しては 身につけて 眺めて
この身にも君の心にも 戦闘服があるのでしょう

何も感じなくなるのを待っていた
囚われていた 君が幸せになるのは怖いね
自己嫌悪の狭間で いっそ言ってしまおうか
まるで 自分が 情けなくなるからだと

彼女の脚本 ヒロインの恋は報われる決まり
君に足りないものは 決定的な悲劇だ
曖昧さ 都合の良い 殴り描いて 吐き捨て
君の舞台は いつまでも 終演まで あと一幕

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