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今はまだ、扉の内側の、バタバタのひとつのわたし。

「よし出来た! いってらっしゃい。」

玄関マットの上に座って、娘に声をかける。
まだ新しいランドセルを背負った娘も、
「行ってきます」
と言い、にこっと笑って、わたしに小さく手を振る。

玄関扉の外側には、迎えに来た友達が待っている。
娘は扉を開けて「お待たせ」と言って出ていく。

1週間ほど前からだろうか。
気になっていることがある。

娘は、扉を開ける際、ランドセルが通れるギリギリ幅しか開けない。
そして、通り抜けた後、扉を手で押してきっちり閉める。

だから、ランドセルが擦れる音がする。
迎えにきた友達の姿も見えない。

「あーあ、擦れちゃっているなぁ。ランドセルのはじっこ、すぐボロボロになりそう…。」

そんなことを思いながら、いつからギリギリ幅しか開けなくなったかな…と思い返してみる。
最初はもうちょっと、いや、開けっ放しで、わたしが扉を閉めたこともあったような。

友達が扉に当たらないように?
それもあるかもしれないけど、でも、開けっ放しの時もその友達は来てたような。

…わたし=ママが友達に見えないようにしてるのかな。
でも、友達が迎えに来てない時も、やっぱりギリギリ扉だったと思う。

そう、いつでも娘は、「行ってきます」と小さく手を振ったあと、扉のカギを回している。

全部終わらせてから外に出る、ってかんじに見える。

「行ってきます」の前までは、かなりバタバタである。

目覚ましが鳴って10分後くらいにやっと寝室から出てきて、顔をほんのちょっと洗って、うがいして、朝ごはん。
ダラダラ食べてるので出かける時間がせまってくるので、わたし=ママが髪をとかして、着る服を揃えることが大半。

甘えモードの時は、抱っこ~になるので、抱っこしてトイレ前に運ぶ。

そうこうしているうちに、お迎えの玄関ベルがピンポンと鳴る。

そこからは高速モードで支度して、玄関前で上着着るのを手伝い、水筒&ランドセルを手渡しして、「行ってきます」を迎えるのだ。

…もしかして、そのバタバタに蓋をしているのかな?

そうだ、だ。
玄関扉を手で押して閉めるの、蓋をしているように見える。

はい、朝のバタバタ終わり。見えなくなった!
準備万端、忘れ物なし、遅刻もしないで行けるんだよ、わたし!
…って感じかな?

こんな風に考えてみても、答えは結局わからない

娘は、学校での出来事をパパママにあまり話すタイプではない。
帰宅後は、好きなTVや動画を見たり、工作をしたりと忙しいらしい。

工作でカッター使うところは出来ないので、代わりにやって!で近づいてきたところで、
「ねぇ、今日、体育で何やったの?」
と聞いてみても、しらんぷり。

「ねぇ、なんで朝、玄関の扉をギリギリしか開けないの?そのあと、手で押して扉を閉めるのはどうして?」
って聞いてもしらんぷりされるんだろうな…。

こんなことを考えながら、けっこうな時間、玄関マットに正座して座ってた。

娘はもう、小学校に着いたかもしれない。

扉の内側に残されたバタバタのひとつであるわたしは、バタバタの思考を、うまくコントロール出来ない。

あともう少ししたら、娘はもしかして、翌朝に着るものを自分で準備してから寝るかもしれない。

玄関での見送りはいらない、と言うかもしれない。

そうしたら、扉の内側に残されたバタバタのひとつから、開放されるのかな。

いや、バタバタのひとつから解放されるには、この扉の外に出ればよいだけかもしれない。

この扉の、内と外。

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