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「好きなことで生きていきたい」という言葉が一人歩きしている。

このツイートの通りなんですが、最近「好きなことで生きていきたい」という言葉があまりにも一人歩きしすぎているように思います。

そもそも「好きなこと」を趣味にするのと、「好きなこと」を仕事にするのは似て非なるもの。「好きなこと」を仕事にしたからといって、どの瞬間も「好き!」と思えるわけではありません。「しんどいな...」と思うことも「面倒だな...」と思うことも多々あります。私の場合、出勤する必要がないとか、組織に属するしがらみがないという自由はありますが、逆にいつ休んで良いかわからなくなることもありますし、何があっても全て自己責任です。

「好きなこと」を仕事にできたら、すべてが報われて、ただ楽しいままに暮らせるわけではありません。好きなことを仕事にしても違う角度からの辛さを体験することになるだけです。

私は「好きなこと」は必ずしも「仕事」にする必要はないと思っています。なぜなら、漠然と何か今の自分にないものを求めても、ただただ辛さの種類が変わるだけだから。

本当に「好きなこと」を仕事にしたいのか?色んなものを捨ててでも手に入れたいと思うだけの想いがあるのか?改めて自分に問いかける必要があると思います。

「好きなことをして生きていきたい!」と言いながら、誰かに羨ましいと思われたいとか、成功者になりたいとか、お金持ちになりたいとか、最初からものすごく大きな理想を掲げてしまっていないでしょうか。ここは周りがそうだからとか、時代がそうだからとかで揺らいではいけない部分だと思います。

もっとラフに考えましょう。

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例えば、海が好きで「海のそばで毎朝サーフィンをして暮らしたい!」と思ったとしたら、それが「好きなことで生きていく」ということのきっかけかもしれません(私は泳げないので、思ったことはありません。笑)。

でも「海のそばで暮らすためには、今の会社も辞めなくてはならないし、都会にすぐには行けなくて友人に会いづらいし、海のそばだと何もかも錆びちゃうし...」といった心配事が次々と出てきてしまうようなら、それは本当に望むものではないのかもしれません。

今の生活レベルを保ったまま、あれもこれも手に入れることはできません。「海のそばで、毎朝サーフィンをして暮らしたい」と本当に思った人は、働く場所を変え、少しの不便さを受け入れ、もう既ににそこに住んで毎朝サーフィンを楽しんでいると思います。それを手に入れるための行動力とそこに暮らすための知恵を持っているはず。優先順位の一番高いところに「海のそばで暮らす」というのがあるからこそ、その他のものを手放すことが自然とできるんだと思います。

いま手にしているものをそのまま携えて、「好きなもので生きていきたい!」と難度の高いことをしようとするから、なかなか行動に移せないし、続かない。最初から「好きなもので生きていく!」と鼻息を荒くしないで、何が自分の中で優先順位が高いのか探してみるところから始めれば良いと思います。

その中で少しずつ、「そろそろ東京で働く必要がなくなったから、給料が下がったとしても好きなことをしやすい環境に転職しようかな」とか「友達に会いづらくなった分、自分一人でも楽しめることを探してみようかな」とか、生活の習慣を変えていけばいい。そうするうちに転職するのも、友達に会えなくなるのも、不便なのもあっさりと受け入れられるようになったりします。

世の中の「一生に一度しかない人生。好きなことで生きていこう!」という大きな声に惑わされずに、本当に望んでいるものは何か自分に問いかけてみましょう。もしかしたら「好きなこと」は仕事じゃなくて趣味にする方がしっくりくるかもしれません。

別に「好きなこと」を人生の軸にしなくても、人は十分幸せに生きていけると思いますので。


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