謝っている発達障害の当事者が同じミスを繰り返す理由
今回は、恐らく当事者の周りの方々が悩んでいると思われる
「謝っている発達障害の当事者が同じミスを繰り返す謎」について、その理由をお伝えしたいと思います
◆
結論から
少なくとも、申し訳無い気持ちはあるんですけど
「何故、ミスったか」の原因はわかってないまま、謝っている場合が結構あると思います
◆
一定数の当事者が「わかる!」と言ってくれると思うんですが
1.「何か起こった」はわかります
「自分に落ち度があるらしい」…がわからなくて(状況の把握が出来ず)、瞬間的にフリーズします
→これで怒られます
2.「何か起こった」はわかります
その何かに「自分に落ち度があるらしい」もわかります
「自分がどのようなミスをしたのか」「何が原因なのか」がわからなくて(状況把握が出来ず)
謝罪の前に、理由を周りに聞いてしまう
→これで怒られます
「わかんねえのか!」って
わかってたら聞かないんですけど…
*
そして学習します
「自分に落ち度がある」と認識した瞬間「脊髄反射で謝罪をしろ」「対策立てる前に、その場を治めろ」と
なぜ「現状把握」が出来ないか?
下の図のような世界で生きています。情報が全部同等に入ってきています
多少脱線しますが、これが言われている諸症状の原因の一端です
優先順位が付かない、要領が悪い、忘れっぽい、疲れやすい、集中力が無い、ケアレスミスが多いetc…
…と、思いきや、何か目に飛び込んできた情報を突拍子無く繋げてしまう事もありまして
砂糖を目にした瞬間に「佐藤さんに連絡入れてない!(汗)」とか
で、連絡を入れている間に料理している事自体を忘れたり…
その一方で、何かに一点集中してしまう事もあります
こんな感じです
もう果物以外の情報は一切入ってこない
多数派の世界の見え方はこんな感じだと思います
「塩を取りたい」と思ったら「塩」が優先的に飛び込んできてる…んだろうな~…と思います
私には一生わかりません
こんな情報過多な世界で生きている癖して、受け止めるキャパが狭い
ワーキングメモリー(短期記憶)という概念があります
「その瞬間に使える能力のキャパシティ」と思ってください
感情など、全てが入る器です
当事者は往々にして、このキャパシティが狭いです
「何かしながら何かする」が苦手なのも、このキャパの低さが原因です
※得意苦手の差も激しいので「その能力」の圧迫感も人それぞれ…なので「得意な事同士の何かしながら何かする」は出来る場合もあります
↓電話している時のワーキングメモリの状態を図示しています
こんな感じなので「現状把握が出来ない(場合が相当発生する)」が起こります
「自分がやらかした」を認識した瞬間に「申し訳無さ」「情けなさ」とか「低スペックの自分との代替品無いかな」という想いや「迷惑かけた」の自責感覚とか
大抵、諸々の感情でワーキングメモリがキャパオーバーになって、頭が真っ白な状態です
大袈裟に感じるかも知れないですが「やらかし続けてきた人」って、大抵こんな感じです
多くの人は下記のような感じだと思います
謝罪の気持ちはあるから、謝りはしてるんですが(やらかしてる自体は気付ける)
でも、この時、上記で説明した通り
当事者は「周りの状況把握」が出来てなくて、何故この事態が起こったんだ?がわかってない場合が多いです
多くの当事者が、怒られる恐怖とか、またミスった申し訳無さで頭が一杯で
次にミスしないようにするには、どうしたら良いか?は考える余裕が無い場合が多いです
状況の把握も出来てないので、また同じミスを繰り返すマイナスのループに陥ってます
謝った後に「改善防止」の相談なんて、出来ないです
多くの人って「謝った、という事は、自分がやった事を認めている」がセットになっていて
「自分がやった事を認めている」=「原因がわかっている」で
だったら自分で改善策がわかるだろう、って、周りの方々が漠然と思っているのは、当事者は理解している人が多いので
相談も出来ずに悪循環を繰り返す当事者が多いです
キャパが足りない事実は知っている当事者も多いと感じます
私もUSBメモリを頭に挿して容量を増やしたいと何度願った事でしょうか…
◆
私は、当事者が学校や職場から消えて居なくなる原因No.1だと思ってます
誰も好き好んで嫌われるような事をして、回りから積極的に孤立したい人って、まあ滅多に居ないんですけど
ふざけてるだろ、って思われるんですよね
私も健常者擬態している時、本当に辛かったです
「本人が申し訳無い」って思っている事と
「本人が周りの状況判断が出来ていて、次の改善策の手を打てるか、思い付くか」って、全く話が違うんですけど
「気持ちがあったら、なんでも出来る信仰」って世の中に漠然とあって、これが当事者を苦しめているなあ、と思います
謝ってるけど、何度も同じミスを繰り返す人が居たら、対策を一緒に考えて貰えたら嬉しいです
◆
この記事が当事者との溝をいくらか埋める一助となりますように
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?