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3. ウリ専の面接へ

無鉄砲。無計画。
そんな私は19歳で2万円だけ握りしめて上京しようとしていたが
さすが我が姉。出発当日に茶封筒をそっと私へ。中には10万円が入っていた。

2009年6月

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約2年間、登録した派遣会社で仕事をさせて頂いた。
埼玉、神奈川、そして東京と契約期間が終わり、新しい職場になる度に
引っ越しをした。
そんな派遣生活も突如終わりを迎え、ポイっと社会の荒波に投げ出される事になるのだが、転んでもただでは起きない私。

お金がないなら、作れば良いじゃんと軽い気持ちで
ウリ専(ゲイ向けの風俗のお仕事)をする事になる。
身体を売る、知らない人と肌を合わせる
なんて容易い。
10代の頃からゲイ向けの掲示板で一夜を共にする相手を探していた経験上、たいして変わらないだろう、違う点は、自分がタイプではないちょっとキモいおじさんと1時間/2時間我慢して過ごせば良いだけだと高を括っていた。
そんな事よりも、【月100万円も夢じゃない!】この謳い文句に心躍らせていた。月100万円生活。。東京で。。夢にまで見た高級マンション暮らし。。
そんな妄想で頭がいっぱいだった。

ゲイ向け雑誌「Badi」に載っていた複数のウリ専の求人欄の中から
【老舗だから安心・安全】というキャッチコピーに惹かれて
業界の中でも最も古いといっても過言ではない
とあるお店へ意を決して電話をかけた。

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店「はい、もしもし」
私「あ、あの、Badiの求人欄を見てお電話差し上げたんですが、、」
店「あぁ、はい。ありがとうございます。一度店舗に来て頂きたいんですが
いつが都合いいですか?」
私「あ、、えっと、明日の15時くらいとか。。」
店「はい。わかりました。明日の15時にお待ちしてます。店の場所はわかりますか?」
私「あ、はい、記載されている住所のとこで良いですか?」
店「はい、大丈夫です。それでは明日の15時にお待ちしております」
私「あ、あの、履歴書とか、持っていくもの、何か準備するものとかありますか、、?」
店「履歴書とかはいらないので、身分証だけお持ちください」
私「あ、、わかりました」
店「では、お待ちしております。失礼します」

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若い男の声だった。
わずか1分。端的なやりとり。
履歴書が必要ない面接なんて初めての事で電話越しにちょっと動揺した。

明日の15時に始まる私のウリ専人生。
大丈夫。死にゃしないでしょ。

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