20歳を迎える前に。-4-
無色が虹色に変わるとき
「空白」だった高校生を3年過ごした無愛想で常に死んだ顔をした人も、それなりの大学受験を終えて大学生に変身した。
入学する前からとにかく困っていたのがファッションである。
制服を着ていればなんとかなってしまうから、18歳までおしゃれしたいと思うことがなければ、おしゃれでいなきゃいけない理由もなかった。
それに高校生の自分は3年間で身長が20cm程伸びていたし、成長期真っ最中で服を買ってもずっと使えないから服を買うことに抵抗があった。
服に無頓着だった私も、受験が終わるとさすがに服について知りたくなった。
YouTubeで
【ファッション初心者必見!】
と書いてある動画を見て、ある程度どんな服を着ればいいかを想像することができた。
......
想像ができただけだった。
というのも塞ぎ込んでいた受験期が終わって燃え尽きて、外出も億劫で、アルバイトをすぐ始める気力があるわけもなく、お金も持ってなかったから、ユニクロのスウェットと黒スキニーを用意するぐらいで、格段とファッションのレベルが上がったわけではない。
大学生になれば当然のようにバイトを始めて、ちょっとずつおしゃれになるだろうと安心しきっていた。
本当に焦ったのは、忘れもしない、入学して2日目のことだった。
入学式はスーツでダルそうに迎えて、眠って終わらせて、2日目から私服。
(今考えればなぜ選んだか理解に苦しむが)
春色だからと、ピンク色のトレーナーと黒スキニーと、シンプルにダサい格好が出来上がった。
全くなにをYouTubeから学んだのか甚だ疑問である。
周りの大学生を見渡すと、しっかりとファッションにお金をかけているのがわかる、コーディネートがしっかりと完成されている人ばかりだった。(当然である)
ストリートがテーマのイケイケファッション、黒を基調とした大人ファッション、綺麗さが伝わるシンプルなファッション。
こんな世界で私は生きていくの?!
ファッションを知らないと大学って通っちゃいけないの??
そもそも、ファッションって何だよ!!!
甘く考えていたツケが回ってきた。
私はこの集団に追いつくことはできなくても紛れることはできるような服装をしたいと思った。
大学生に囲まれて実感した劣等感こそが、私のファッションを変えて、大学生活を変える一番の要因となった。
ファッションを知っていく努力を始めた。
本屋で雑誌を立ち読み、WEARでおしゃれそうなコーディネートを探し回り、リーズナブルで大学生御用達のブランドで店員さんに簡単なコーディネートを教わり、合わせやすいものからゲットして、おしゃれで当たりが強くない優しい友達にアドバイスをもらう...
あと受験期で明らかにデブだった状態から半年で10kgぐらい落とした。
知っていくうちに気づいたのは、多くの人に「良いね‼️」と言ってもらえるファッションはある程度規則性があるけれど、私自身がその規則性のあるファッションに心ときめいていないことだった。
これじゃ物足りない、もっと変わったデザインの服が欲しい、他の人と被らないアイテムが欲しい。
基礎がわかってきて、まあ大学生と遜色なくやっていけそうなコーディネートが組めるようになった時期に、ひょんなきっかけで見つけたデザインフェスタに軽い気持ちで行く。理由は暇を持て余していたから。これは2018年の11月。
ファッションの劣等感を原点に動き出した私の大学生活を、ただのおしゃれで終わらせたくない、これを変と言われても良いから自分らしく好きな格好をしたい、そう思うきっかけになったのが、デザインフェスタだった。
デザインフェスタは、誰でも出展、参加可能のアートイベントでプロ・アマ関係なく自由に表現できる場である。
次回はこのイベントに行ってからの変化について書いていく。
ファッションと出会い、もはや生まれ変わった私は、20歳でどんな服と出会い、何に心躍らせるのか、もしくは表現しているのか、20歳の自分に期待する。
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