なんでもない日の感傷
友人と話していて、ふと、私の過去の恋人の話になった。
彼は料理のとても上手い人だった。
「友達の彼氏にフルコースを振る舞われたのは初めてだったよ」と彼女は笑った。
そうだった、私と彼が同棲していた部屋に、私の友人たちを招いたときのこと。
彼は数日前から仕込んで、前菜からデザートまで振る舞ってくれた。
すっごく美味しかったな。また食べたいなと別れた今でもよく思う。
彼とはあまり良くない別れ方をしたのだけれど(そのせいで一時期はなにも食べられず、とても痩せてしまった)、たまーにものすごく彼のことを思い出すことがある。
元気かな。とても変な話だけど、別れてしまったのに、私はいつまでもあなたの味方だと思っている。
別れたとき、その別れのきっかけに当事者の私よりも周りが憤慨していたけれど、私はやっぱりあなたの不幸せは願えない。
どこかで幸せに暮らしていてほしい、と思う。
やっぱり、他の恋人とは違って、一時は家族だったからなのかな。
あなたがどこかで死んでしまっても、私はそれを知ることができないのだと思うと、やっぱりとても不思議なのです。
でも、もっと不思議なことに、私はあなたがこの世からいなくなるようなことがあれば、それに気付くことが出来そう、と確信している。
とにかく元気でいてください。
互いに幸せでなければ、別れた意味がないのだから。
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