17.六本木ヒルズ

正確に言うと、六本木の展望台が好きだ。
「東京シティビュー」。

海抜250mにある屋内展望回廊と
海抜270mにある屋外展望回廊がある。

私は高い場所が好きで、
東京タワーや、スカイツリーなどに度々行くが
六本木ヒルズの展望台が一番好きだ。
そこから大学が近いので、昨年は何度も足を運んだ。

屋内展望回廊のほうは、何より
窓がとっても大きい。
六本木という、都心にあり、東京タワーもとても近くに見える。
東京を感じられる場所だ。

そしてもちろん、東京シティー自分の醍醐味は
屋内展望回廊の20m上の高さにある
屋外展望回廊だと思う。

海抜270mで、窓や屋根も無く
生身で風を感じられるのだ。
そして、窓などの障害物がなく
景色を見ることができる。

普段生活をしていて
高さ270mのところに生身でいることなんて
そうそう無い。その、非現実的体験。


六本木という、東京の中心部ともいえる場所で、
海抜270mの場所から、街を見下ろすということ。

自分の目には、さまざまな情報が入ってくる。
下を歩く人々や、近くにある高層ビルや、東京タワーだけでなく
少し遠くに見えるスカイツリーや、マンション街
レインボーブリッジ、東京湾、
ぐねぐねした高速道路。


たくさんの情報で
そして私の目にはいまたくさんの建物や道路、車が見えていて
そこにはひとりひとり数えられないほどの
人間が、確実に存在している。

私の人生ひとつでも、
あんなこと、こんなことがあって、波乱万丈なのに
いま小さく見えるあの人もあの人も、自分の目に直接見えない、あのビルの中にいるたくさんの人、ひとりひとりの人生、ひとりひとり、私の体験していないことを体験し、見ていないものを見ている。

そう考えると、あまりに壮大で、
怖くなるようで、
だけど、安心する。

誰かも悩んでいるから、苦しんでいるから
自分も頑張らなくては、あなたもがんばらなくては。
という考えは嫌いだ。

ひとりひとりは、違うから。

けれど、私も、私じゃない誰かも
みんな異なる経験をしている。
それは、楽しいことも、苦しいことも。
それは誰一人として、丸かぶりすることはない。
こんなにたくさん人がいるのに。

それがわかるだけで、
ほっとするのだ。

人と私が違うこと。

六本木で、海抜270mの場所から
生身で風を感じ、東京を見渡した時。

私は穏やかな気持ちになる。

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