一銭も払わずお腹いっぱいになれた立春に、ネオ縄文の光をみる。
二〇二四年 立春。
私はこれからお世話になる自然農畑がある村で
衝撃を受ける。
自然農を学ぶメンバーの交流会に参加させていただいたのですが
なんと、お金を一銭も払わなくてもお腹いっぱいになれたのです。
その日は二十人以上いらっしゃったのかな、
子どもたちも含め、かなりの数の自然農を学ぶメンバーが集まっていました。
わらわらと集まり、誰からともなく餅つきの準備をはじめ、それぞれが持ち寄りの自慢の一品、二品を机に置いていく。
あんこ、酒粕汁、カレー、玄米甘酒、お漬け物、ハーブティー、チャイ、カレー、オーガニックチョコレートケーキ、米粉クッキー、、
数えきれないほどの品数。
自然農を勉強しているだけあって、みなさん畑でとれた自然農の野菜を使った、手の込んだ優しい自家製の品々。
美味しいねー!ありがとうー!
といいながらみんなで頬張る。
子どもも楽しそうにキャッキャと駆けずり回り、「もう誰の子かわからん!」
という声が聞こえるくらい大人みんなが楽しみながら子どもを見守る。
そんな会場の雰囲気に溶け合うように鳴り響いていた沖縄民謡の三線演奏。
これだけたくさん持ち寄りがあったし、最後にお金を集めて精算するんだろうなとお金の準備をしていたのですが、、、
「日も暮れてきたし、そろそろお開きにしましょうか!」
、、、お金集めないの?!
当たり前のように、お金を払うと思い込んでいた自分がなんだかちっぽけで情けない、、、。
そこに不機嫌そうな人も、見返りを求める人もいなかった。
自分ができる手段と範囲で自分も人も楽しんでもらおうとキラキラしている大人でいっぱいだった。
急に、頭のなかが白くスパークした感じがした。
この方たちは、そうか、愛で動いているんだ。
自分が手間暇かけて育てた野菜や穀物を、みんなに食べてほしくて、分かち合いたくて、なんの見返りも考えずにどうぞ、と差し出してくれていたんだ。
この雰囲気はもう
かねてから大好きで憧れ続ける縄文時代のよう、、、。
いままで縄文文化に憧れていたのに、当たり前のように何かをしてもらったことへの対価=お金という頭があることに愕然として、その対価は本来は愛であるということを身体で痛感した瞬間でした。
仕事をしていると、もし、私が与えるサービスを無料で提供するなら
お客さんの反応ってどう変わるだろうと時々思うことがあります。
揉みほぐしの仕事なので、こちらの雰囲気と手技とお客さんの相性というものが良くも悪くも結果に反映され、同じようにしてもお客さんによって満足度に差が出てしまうのです。
お金を払っていただいているから、それに見合った成果を上げなければならない。
頑張っても金額に見合った結果が出なかった場合、それは怒りとなってクレームになりやすい。
もちろん、手を尽くした、全力で仕事をしたということが前提ですが
もしそこにお金というものがなく、そして“お客様”と店員という関係でもなく純粋に愛を持ってモノやサービスを与える側とそれらを受け取る側というシンプルな関係に立ちかえった場合。
もし満足いくような結果に終わらなかったとしても、怒りには繋がりにくいのではないでしょうか。(怪我を与えてしまうとかは別ですが)
「ありがとう」
最後にはこの言葉で締められる優しい世界が広がるような気がしています。
お金がないとできないこともあるし、お金というシステムを悪いものとしているのではなく、
「お金を払っているんだから」とか、
「お金がないと生きていけない」とか、
お金に比重がよりすぎることで、人間社会にはいろいろな歪みが生じているのかもしれません。
自然、動物、虫、微生物。それらは全て繋がっていて、そのものたちは人間がどれだけ酷いことをしてもただこんこんと修復と回復、再生を繰り返している。その優しい愛のつながりに人間もそろそろ立ち返らないといけないし、そのようなものたちのように生きなければならない。
私のように、お金とはまた別の安心の世界に片足を突っ込んだだけのような者でもこうして一日、愛ある人々や自然のおかげでお腹いっぱい食べることができたのです。
そして、今回なにも持ち寄りができなかった分、次はなにをしたら、持っていけば皆さんが喜んでくれるだろうとわくわくドキドキしながら考えている自分がいます。
もしかしたら、今回たくさんお料理を作ってくれた方々、素敵な演奏をしてくれた方々も、この私のようにワクワクしながら考えてきたのかもしれません。
この温かな気持ちの広がりが、農村だけでなく人間関係が希薄になりやすい都会までに広がり、世界が愛で満たされたら。
わたしがこれから生きていきたいと思う優しくてあたたかな世界。
ネオ縄文の光に触れて、その日の夜はとても眠れませんでした。
旧暦の新年、ここから人生の皮切りになる予感。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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