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父は自分が死んだと思ってない 本編① ー信じたくないー


前回の

父は自分が死んだと思ってない 
プロローグ


読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
前回初めて記事を公開した際に、友達にも発信する
1回目の機会は今かな、
と判断し、
いわゆる個人アカウントでnoteのURLだけ載せ
発信したところ多くの反応と連絡を貰いました。


そりゃここ数か月リア垢といわれるものは動かしたり、
父が亡くなった一か月後も社会に出て働いて、
気づかれるというか、友達の父親が死んだなんて
本人が発信しない限り知ることがない。当たり前ですよね


さて、今回はプロローグの後

祖父が亡くなった後の出来事を書いていきます


正直、この記事を書こうと思えるまで
時間がかかりました


今こうやってパソコンを開いて書き出せていること
書こうという意思が少し芽生えたので書き残していきます




自分の気持ち的に書いていける内容なのか

書くにつれてその時の感情や情景


ほぼすべてがフラッシュバックし、
気持ちの浮き沈みが起き
自分の気持ちをコントロールできなくなってしまうかもしれない

でも今回も残していきます

父は自分が死んだと思っていない、そしてそのプロローグをまだ読んでない方はこちらから
目を通してくださると幸いです



父は死んだと思っていない  ー信じたくないー

はじめます




2022年7月8日 午後 祖父火葬後

8日は金曜日だった。

働いていた私は土日休みの仕事ではなく、シフト制だったため
急遽祖父が亡くなったと伝え、2日休みをもらっていた
そして土曜日は遅番だったため、その日のうちに地元に帰り
次の日の土曜日は出勤しようと思っていた


祖父母宅には親戚も多く来ていたため、
私たち家族は一足先に
帰ろうと決めた。


ただ父は自分の父が亡くなり、
自分の母のケアもしたいと言い
福岡に残ることを決めた



今思えば

この時私はお父さんの優しさに甘えてしまった





最愛なる夫を亡くしたおばあちゃんも
まるで生きた心地がしていないような表情をして
葬儀後ずっとずっと下を向いている時間が多かった


そんな祖母に私はなんて声を掛けたらいいのかわからなかった
ただただ、

"またすぐ遊びに行くからね"
"おばあちゃんは一人じゃないよ"


こんなありきたりな言葉しかかけることができず
祖父母の家を後にした




2022年7月8日 夕方


地元に帰ると決めた私たち家族は
久しぶりに父運転の車に乗り
福岡空港まで送ってもらった


久々の4人だけの空間

父の運転は本当に安心するし、車の中でにぎやかに話すのが大好きな私にとっては、すごく楽しい時間だった


母と弟、そして私が飛行機に乗る前に
空港内のラーメン滑走路の一つに4人で入った


父と私は頻繁にラーメン屋に2人で行ったりしていたのもあって
また、久しぶりに4人

ラーメン屋でテーブルを囲んで食べたあのラーメン


本当に本当においしかった

最後一緒に食べたラーメン "有吉商店"さん 麺は絶対固め

でもそれが父と

家族4人で一緒に食べるご飯になるなんて思ってなかった




ラーメンを食べ終わって父と一旦お別れ
保安検査場で父に大きく手を振った


"またねーー!おばあちゃんよろしくねーー!"

そう言った

そしたら珍しく控えめな性格の父が
その場で大きく手を振り返して、そのまま背中を向けながらも振り続けて
見えなくなった






それが最後


今でも、
この文章を打ちながら
最後に見た父の背中が脳裏に浮かび
涙が流れてしまう




2022年7月8日 夜中

自宅に着いたのは日付が変わる1時間くらい前
到着したことを父に連絡するために連絡をした

実家に着いたとLINEした時の会話

その時は父と親戚とで祖父母の家でお酒を飲んで
過ごしていると


また、父の口からちょっとした父のお兄さん、
私からしたら叔父の愚痴を少しこぼす一面もあり

このメッセージは明日消去します
と残した。

まぁ見られたときのことを考えてのことだと思う


そのあとはいつもの優しいお父さんで
弟が寝坊しないようにとメッセージが来て
会話は終わった


父と最後のLINE


その後私はとりあえずシャワーだけ入って
スーツケースはほぼ触れず、
祖父の葬式での情景を頭の中で思い出しながらも
すぐに眠りにつこうとした



でも深夜の1時頃私に腹痛が襲ってきた
時間が過ぎて収まり、眠りについた


今思えば


父からの


何かメッセージだったのかなって

今私はそう思うことしか出来ない


そう思いたい



2022年7月9日 午前2時頃


私はリビングの隣の部屋で寝ていた
隣のリビングから母親が誰かと電話をしている声が聞こえた


母の声は少し深刻な声で、
私は祖父が亡くなった直後で祖母の身に何かが
あったのかとそう考えていた



ただそれは予想外の連絡だった


お父さん、今倒れて心肺停止だって



信じられなかった

意味がわからなかった


丁度前の日、祖父の葬儀場のテレビで
阿部元首相が撃たれ、心肺停止のニュースを見ながら

"心肺停止で生き残る確率って10%くらいらしいよ"

そう父と話したばかりだった


なんなんだよ、心肺停止って


倒れたってなんだよ


さっき、数時間後バイバイしたじゃん


空港に向かう車の中で、おじいちゃんの四十九日また福岡に行く予定たてなきゃねって

そう話したばかりだよね



私はその場で母の足元を握って泣いた


ただ泣くことしか出来なかった

泣いて泣いて、挙句の果てにはなんで?なんでと
恐らく言い続けながら意識朦朧としていた
なんせその時の記憶はほとんどない

’’また進展があれば電話が来ると言われた’’

そう冷静に言う母


そしてそそくさとなにかの支度を始めた


"福岡行く準備しよう"


そう私に言って開けてなかったスーツケースを1度開けて、
またすぐ閉じて


"福岡に昼着く飛行機のチケット探せる?"


そう淡々に言う母親に私は察した


"お母さん。覚悟してるんだ"






2022年7月9日 午前3時7分 父 永眠


3時10分頃になって父のお兄さん、おじさんから
1本の電話


父が病院で息を引き取ったとの連絡


「朝を迎えたらそのまま葬儀場に向かいますか
それともそちらで葬儀をしますか」

そんな質問よくそんな淡々と言えるな

私は怒りが込み上げた


そんな中母は涙を一滴も流してなかった


母は強しとはこういうことなのだろうか


私はずっとわんわんと子供のように泣いた
泣きながら飛行機も調べた


弟を起こしたのは父が亡くなったと
連絡が入った3-4時間後


寝ぼけた弟に事実を伝えると
もちろん最初はねえ沖の悪さが出て寝ぼけていた


たった17歳

すぐに受け入れられるわけが無い

眠気が冷めて、やっと落ち着いて話せた時に

弟も泣いた、私も泣いた


母も弟の背中を擦りながら

そこで初めて泣いていた




父が亡くなったと連絡が入って数時間


何故か冷静になった


なんのために福岡行きの便を調べてたか
よく分からないままその時間を過ごした


そしてふと母親が言った


"お父さんが育ててたトマト、今できてるね"


ベランダで育ててたトマト、久しぶりに帰ってきてお世話できてなかったはずなのに
真っ赤にまん丸に、食べ頃になっていた


私は食べた


食べて、また泣いた

父の最初で最後のトマト


だってこれを食べるのは父だったかもしれない



でもその父はもう死んだらしい


トマトは甘くて

最後ほんの少し酸っぱかった、いやしょっぱかった

自分の涙だったのかな

あんな小さなトマトを食べるのに長く時間をかけたことはなった



理解が追い付かないまま2日前の祖父の葬儀に向かうときと
ほぼ同じルートを通って空港に着き、

いつの間にか自分たち家族は福岡空港について
父の兄、叔父の迎えの車に乗っていた


2022年7月9日 正午 福岡空港に到着

叔父の車で祖母宅にまずは向かうことになっていたが、
その車内は最悪の雰囲気だった


それはそうだ。昨日最後に父から貰った連絡の中には
目の前にいる叔父の愚痴がこぼされていた

内容としてはプライバシーもあるので詳細は避けるが

自分の父親が亡くなったのにも関わらず、葬儀が終わった次の日から
自分の嫁と福岡観光をしてくると言っている
といったふざけた内容だった


それに納得できなかった父はどこにもその気持ちを吐き出すことができず
私たちの家族LINEに送ってくれたんだろうなと思った


家族4人の最後のLINEがそんな後味悪い内容で、私は叔父が許せなかった

一人福岡に残って次の日、自分の母のサポートに回るために
手続きをすると言っていた父と

本当に考え方も、物事や今何が最優先化をわかっていない大人が
それが父の兄であること

まともでないと思った

家族に時間を割いてきた父がなぜ死んだのか

死ななくてはいけなかったのか


理由を探しても見つからない


見つかるわけがない


だって私の父は"とても"がつく程

優しい父だった


私が父に次に会えたのは葬儀場


父はもう棺桶の中にいた


ただただ目をつぶっている


いつもリビングで横になりながらテレビを一緒に見て
寝落ちした時の父の寝顔となんも変わらなかった


何が違ったか


ただもう目を開けて、私の顔を見て

名前を呼んでくれないと分かったとき


涙が出た




信じられなかった


こんなにも早く自分の父がいなくなるなんて



父は自分が死んだと思ってない 本編② に続く

次回更新年内にあともう一度更新できるよう進めて行けたらと
考えています






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