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【企画参加】 令和版百人一首 恋の巻 〜 春の部④   


朝に悶々、夕に悶々、お昼はなくて一日悶々。
と最近こんな毎日を送っていらっしゃる方に、再び悶々を!
姐さんとご一緒だと半日に一回楽しめます。

令和版百人一首」恋の巻。
まだ続きますん。








鳥立ちて
 鼻くすぐられ藤の花
  枝垂れ姿に 君の香重ね

              三日月 巴


🕊 🕊 🕊 🕊 🕊


 立つ鳥跡を濁さず、とは良く言ったもので徳次はいつも帰り支度が早い。もう少し肌合わせ微睡みたいところすっくと立って着物を羽織る。先程まで猛烈な勢いでこの首筋に吸い跡を付けてきたのとは裏腹に、さっと裾を整え
「明日またここで。」
と襟元を直す時間さえくれない。そんな素っ気なさと、背中を舌で舐め上げる執拗さの相反が女の心を締めつける。
 名も呼び終わらぬうち再び力強い足取りで幅狭な階段を降りて行く。急いで窓へ駆け寄ると、視線を感じたかすっとこちらを一瞥し足早に去る。誰もいない路地をいつまでも見つめていると入れ替わりにシジュウカラがやって来た。なんだ、アタシは四十(シジュウ)からか。それなら男はサギなのか。あとは野となれ山となれ、ふと鼻をくすぐる花の香り。この待合の生垣にたわわと垂れ下がる藤花が見える。これは幸運か、いや確か運気下がり。まだ髪に残る男の香りを重ねながら、花言葉通り文香は恋に酔っていた。




🕊 🕊 🕊 🕊 🕊



久々のシジュウカラちゃん。出ました。


姐さん画


ほらほら、姐さんだって四十から。


あはん♥





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