【シネマでおジャマ】 ナマステ🙏ぼりうっど⑥ 〜 ボリウッド・スーパースター展〈ケ・ブランリ美術館〉 後編
さて、前回の記事でムガール帝国についてお話しようとしたところ、
♪ちょうど時間となりました〜
(コレわからんやろな〜…)
ってな感じで大長丁場になりそうだったので、今回はすっきりここから。
ムガール帝国は、1526年〜1858年まで続いたイスラム教の大帝国で、デリーを中心に勢力を広げていきます。
その頃に多く描かれたのが、宮廷の暮らしぶりを大変詳しく今に伝えてくれる細密画。
一辺20cmほどの手のひらサイズに、当時の王様とその宮殿の様子、ヒーロー、美しいお姫様や『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』などを細密に手で描いていく画法です。
見る人と、絵が一対一で対話ができる様に。
という考え方から作られた宝石箱のような世界。
日本でも東京国立博物館の東洋館などで見ることができますん。
そんなキラキラなムガール帝国、インド人が映画にしない訳がありません。
1960年に、Mughal-e-Azam 「偉大なるムガール」という映画を製作。
ここでは、ムガール帝国第3代皇帝アクバルと、その息子サリム(一般には皇帝ジャハーンギールと呼ばれる)が登場。
ちなみに第5代皇帝のジャー・ジャハーンは、あのタジ・マハールを造った「世界の皇帝」。
第3代のアクバル、第5代のジャー・ジャハーン共にかなりの知名度ですが、映画ではややマイナーな第4代皇帝にスポットが。
姐さんと同じく「お酒好き」であった説は有名で、細密画にもアペリティフ中💋みたいな絵が。
で、この映画当時ハリウッドでも流行っていた「十戒」や「ベン・ハー」など神話や歴史物を軸に莫大な製作費を費やし大規模な迫力あるシーンが多いペプラム映画。
日本の映画で言えば、黒澤明の「乱」のような。
壮大な歴史ドラマであり、まるで戦国絵巻でも見るかのようなボリュームな訳ですよ。
そしてお話はどんなかと言うと、ムガール帝国の王位継承者であるサリム王子と、奴隷で宮廷の踊り子であるアナーカリ(ザクロちゃん😍)との身分違いの禁断の恋! (←インド人スキなヤツ)
そしてそれが元で、父と息子が血と血を争う歴史劇へ! っていうお涙頂戴モノ。(←これもインド人のツボ。父は絶対、父世襲制)
それを約200分でぎゅぎゅっと。いや長いやん。
それでは、このインド映画史上最高製作費、最高興行収入を15年間保持していた「偉大なるムガール」覗いてみましょうか。
ハイ、ザクロちゃんダンスシーンでございますん。前回も触れましたが、コレ典型的カタックでございますね。
白髪の多いほうが皇帝アクバルですが、この皇帝の素晴らしかったところはムスリムとヒンドゥーの融和に成功したこと。自分はムスリムなのに、とりわけヒンドゥー好き♥
しかも踊り子であるザクロちゃんに年甲斐もなくドキドキしすぎちゃって血圧上がって今にもぶっ倒れそうな形相ですね。
この皇帝アクバル、実際ヒンドゥー系の嫁さま貰っちゃってるし、側室にもヒンドゥーずらずら...
なのに、なんで息子の恋に口出しするねん!
ヤキモチ焼いちゃってるんかい!
しかも戦争にまでなってるやないかい!
そ〜んな父アクバル若き日の恋物語の詳しいことについてはね、また別の映画で語ってるんでございますん。
2007年の映画 Jodhaa Akbar 「ジョッダ・アクバル」。
主演は以前にもご紹介した、
生ける彫刻リティック・ロシャン。
そして嫁さまジョッダには、かつてミス・ワールド('94) でもあったアイシュワリヤー・ラーイ。
ここでは宗教の違う、若き日の二人の出会いが描かれます。
素晴らしい鼻輪😤の展示もここに。
実際の皇帝がどんなお召し物だったのか、というお写真の展示もここに。
主演はディリップ・クマール。
タイトルは古風にウルドゥー語。
(インド人的にはオサレ度アップ)
戦国絵巻を思わせる壮大なロマンチックストーリー。華麗なカレーと言うよりは豪華絢爛。
ヒンドゥー教とイスラム教の宗教観の違いを浮き彫りにし、社会的階級や権力の違いまでも強調した歴史ドラマ。
またその壮大さと細部へのこだわりも画期的でした。
・ムガール宮殿内部のセットにベルギー製ミラーを使用
・小道具を作るため、インド全土から職人を召集
衣装はデリーのザルドージ刺繍(ふんだんに金の刺繍糸)、
履物はアグラから、宝飾品はハイデラバードの金細工、ついでにクリシュナ像も金製、武器類はラジャスタンの鍛冶屋へ依頼。
戦闘シーンには、ラクダ2000頭、馬400頭、インド陸軍兵士8千人!
締めてインド映画史上最高製作費、及びヒンディー語映画最高興行収入を記録 !!
どやっ!
しかもデジタル着色された初の白黒ヒンディー語映画 ! だからなんだかとってもキッチュなのよね。
そして1961年の最優秀長編映画賞をいただいてますん。ラクダさんも「ラクダ〜🐫」とは言わずガンバったしね。
しかもお歌の方はこれまた国宝級の『インドのナイチンゲール』ラタ・マンゲシュカルと『インドの声』モハメド・ラフィ。
インドでは「餅は餅屋」式に歌の場面はプレイバックシンガーが歌ったものを使用。年齢層の広い女優さんの歌をたくさん歌ってくれました。
ラタの場合、妹のアシャ・ボスレ、ウシャ・マンゲシュカル、ミーナ・マンゲシュカルもプレイバックシンガーですん。
そして実際着ていた衣装がここに。
一番上が最も最近のスタイルですが、なかなか豪華なお召し物。
そしてこちらの細密画も素晴らしい。
いわゆる当時のエッチ本の類と言えますが、水浴中の女性の着衣を盗むクリシュナのエピソードが有名すぎて、インドではこのテーマのみは古今より色んなバージョンがはびこっておりますん。
これは、一目あったその日から、恋の花咲くこともある! 的なペルシアの昔からの恋物語のワンシーンで、
「シリン王女の水浴に通りかかってしまったコシュロウ王子」
でございますん。
このテーマもたくさんのバージョンあり。
それに似たような実話インド版を映画にしたのがこちら「パドマーワト」。14世紀インドの女王の恋物語ですん。
主演は、ディーピカ・パドゥコーン、
シャヒド・カプール
ランヴィール・シン。
その頃からあるお城のお写真なんかもあり、
実際こんな感じに姫が出てきたのかも。
姐さんお気に入りのヴィンテージ写真。
更にベッドシーンがご法度のボリウッドでは、この水浴シーンというは非常にセクシャルな表現であるわけですね。女優さんが画面いっぱいに気持ちイイ〜、あはん♥と川で水浴びをしていたり、雨に濡れていたり、誰かに偶然にも水をかけられてしまったりしたら、もう世のインド人男性達はビビビーン😍なこと請け合い。
だって「クリシュナとゴピの水浴」シーンも多数ありますよ。有名なのはやはり以前にもご紹介した画家ラヴィ・ヴァルマ版。
クリシュナとは「万人に愛される人」という意味の名で、とにかく彼の美しさといったら、クリシュナを見て目が😍こうならない女性はいないと言われるほどの色男で、その上フルートを吹くのが上手い。(これは口説き上手を意味する)そのフルートの音を聞いた女子達はみな熱病にかかったように魅了され完全に献身的になる。
そうして集まって来たゴピと呼ばれる牛飼い女達が、あんまり暑いんで素っ裸で水浴びしちゃいましょ、とか言ってるとそこへイタズラ好きでバター好きのクリシュナが現れて、彼女らの着ているものをみな隠す。バター好きなクリシュナは常に牛飼い女を侍らせておけばバターの入手には困らない! なんと。
だったらバターを持ってくれば着ているものを返してあげるよ、との交換条件まで。
だかしかし、このクリシュナに対する無条件の献身が神への献身を象徴している、と。
故に世の女共は旦那をクリシュナと崇め、献身せよ、と。アッパレ。どこぞのアジアの国でもむか〜しむかしそんなことを言っているのを聞いたことがあるような。いや幻聴か。
ささ、止まらず前進しましょ。
やっと姐さんお得意の'70sに突入ですん。
ここではやはり姐さんボリウッド界マイ・ファースト・ラブ♥の Mr. Big B アミタブ・バッチャン!
かのおフランス映画監督フランソワ・トリュフォーでさえ、「これはまさにお一人様産業じゃ」と言われる程の、影響力と人気を誇ったビッグ・B。
最近はハリウッド映画で、レオナルド・ディカプリオとも共演し、お顔が知られるようになりましたね。
Big Bは1'00頃の登場。
50年以上のキャリア、200本以上の出演作。
身長190cmのBig B、低音の魅力たっぷりなバリトン声は、あのサタジット・ライ監督も惚れ込み、「チェスをする人」ではナレーションを担当。
そして、1975年製作の伝説の映画。
Sholay「炎」。
過去50年間での最高傑作、BBCまでもが「千年に一度の映画」と評し、カレー・ウエスタンなる言葉まで登場!
アツい!
カレーの香りプンプン漂うオリジナルポスター。
この映画を知らずしてインド映画を語るなかれ。
これまでは甘いポエムを紡ぎ出す、クリシュナのようなロマンチック・ヒーローが主流だった所へ現れた、無骨で怒れる若者、アンチヒーローの登場です。
強く優しく多くの人に慕われる。
ウエスタン人気と社会的要因が上手く合体し、インド中がこの映画に湧きました。
しかも1973年には共演したジャヤ・バードリー(上の写真後姿)と結婚しておりますん。
その後、アンチヒーロー人気にあやかり、1978年にDon「ドン」が公開。初のハードボイルドものですが、お色気度も増し増しですん。
歌の方はラタの妹ラシャ・ボスレ。
いやややん♥なこの映画は、かのシャー・ルク・カーン自ら強く望んで2006年にリメイクされておりますん。
シャールク My♥Love についてはこちらの記事で。
その後80年代には政治活動へ。
90年代になり映画に復帰。
2018年には、ダーダーサーヘブ・パールケー賞を受賞しています。
そしてやっとラストスパート!
それにしても80年代以降は、超ビッグスクリーンで映像だけ見てくれや、っていう結構投げやりな終わり方になっておりましてねえ...
ま、姐さんの中でもこの辺からはリアルタイムでよく存じ上げておりますもんで、さらっとでもええんでがんすが。
まず上から'80sの代表作、「Mr.India」(1987)。
主演は「ミッション・インポッシブル」にも出たアニール・カプール。
透明人間になった孤児院の院長が、新しく部屋を貸した美女に恋しちゃうお話。
(ってこう書くとヘンなお話)
真ん中は'90sの代表作、シャー・ルク・カーン主演の Dilwale Dulhania Le Jayenga 「素敵な花嫁手に入れて」(1995)。
しかし邦題は「シャールクカーンのラブゲット大作戦」😓
インド人との会話では省略系の「DDLJ」で通じるので念の為。
ムンバイには、公開以来約30年間コレ一本のみ上映、という映画館もあるそうで。さすがインド人意気込みが違います。
インド的悲恋の代表、身分の違う二人が偶然旅の道連れに。出会ったばかりはぶつかり合うのに、道中徐々に惹かれ合い、最後は親の反対を押し切り一緒になろうとする大ラブストーリー♥
ま、この時期はSRK(シャー・ルク・カーンの略ね) の一人舞台な感もありますが、2002年のDevdas 「デーヴダス」。1955年のディリップ・クマールのリメイク版。今やアミタブ・バッチャンの義娘であるアイシュワリヤー・ラーイの美しいこと。
そしてまだまだ続きますよ〜。
2001年に出来た Kabhi Khusi Kabhie Gham 「時に喜び時に悲しみ」は、ボリウッドオールスターズ全員集合。
アミタブ・バッチャン
ジャヤ・バッチャン
シャー・ルク・カーン
リティック・ロシャン
カジョール
カリーナ・カプール
インドの典型的裕福層家族とその結婚について豪華に魅せます。
その下は、2013年の Chennnai Express「チェンナイ・エクスプレス」。乗り鉄には嬉しい鉄道とKing Khan シャー・ルクの絡み。『チャイヤ・チャイヤ』以来の鉄道登場にチェンナイヤ・チェンナイヤ...
2011年のRA.One「ラ・ワン」では遂にインド映画にもSF来たり...と思いきや。
シャー・ルク、ロボットを演じます。
北でロボットが出たと思えば、南でも出てました!
ラジニカーント主演、2010年の「ロボット」も張り合ってます。元々南出身のアイシュワリヤー・ラーイも共演。
また、「ラ・ワン」の中ではお互いにリスペクトで、南の踊りバラタナティアムへオマージュした『チャマック・チャロ』が大ヒットいたしましたん。
そして最後はこんなコラージュに惹かれました。
今までお付き合いいただいた皆様には、おわかりですよね。
みなさま、長い間のお付き合いありがとうございましたん🥰
本日はこれにて、一🍛件🍛落🍛着🍛。
ささ、カレー🍛食べに行こ。
きゃうん🍛
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