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生きてほしいという願い〜『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

岸田奈美さんの『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』。


たずさえてきた『地球の歩き方』には、財布とパスポートがぬすまれたときの対処法は書いているが、オカンがぬすまれときのことまではカバーされていない。どうしよう。

ミャンマーで、おかんがぬすまれた

1つ前のエピソードで滂沱の涙だった直後に、ふき出してしまうほど、奈美さんの文章に惹きこまれました。

今回は、もっとも心が震えたエピソードをご紹介します。

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奈美さんが高校1年生のときに、自宅で倒れて意識不明になられたお母様。

手術中に亡くなる可能性は80%超、手術しなければ数時間後にかならず亡くなる、と医師に言われた奈美さんが手術の同意書にサインされたのは、お母様の命をあきらめることができなかったから。

命が助かる確率が 20% or 0%という選択を前に、私も同じ決断をしたに違いありません。

この決断を、奈美さんは後に後悔されるのです。

下半身の感覚をすべて失われたお母様が、2年間の入院中に泣いておられるのを耳にしたときでした。

「死んだ方がマシだった」
母の本音を聞いて、息ができなくなった。わたしのせいだ。
わたしが手術の同意書にサインをしなければよかった。生き地獄に、母を突き落とすこともなかった。どうしよう、とり返しのつかないことをしてしまった。

母に「死んでもいいよ」といった日

このときのことを、お母様がnoteに綴っておられるのを読んで、また涙……

正直な気持ちを吐露したことで、出来事に対する認知・捉え方がガラリと変わられたお母様。

フォーカスが「できないこと」から「できること」に切り替わる人生の素晴らしさが臨場感たっぷりに描かれていて、しびれました。

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\何をしてもしなくても、あなたはあなたでいるだけで愛に値する/

この真実を実感させてもらえるのが、"家族" というご縁のように思います。

「まさか」と思わずにはいられない想定外のことが起きる昨今、こうして命があることに感謝です。

そして、失われた命を悼んでおられる方々の悲しみが癒えることをお祈りします。


▼奈美さんのnote

↑「この国では、車いすを押すフラッシュモブでも流行っているんですか?」という奈美さんのセリフに吹き出すとともに、「輪廻転生」「自業自得」のくだりには胸が痛みました。

↑笑いが止まらなくなる奈美さんの表現力!
 「お胸のお肉が……逃げ……?
  私の乳は、どうやら、集団疎開していたようです。 
  いつの間に……開戦した覚えも……ないのに……?」

↑奈美さんのバイタリティがお見事!

↑今回ご紹介したエピソード。

↑こちらも涙しながら拝読。
奈美さんご家族も、ドリームサポーターの皆さまも素晴らしすぎます!


「私が私である」ことの確信へ導く魔法使い
御影石 千夏




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