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なんで

本屋さんをブラブラしていたら、とある一冊に一目惚れした。蒼井優さんのかき氷の連載が本になったもの。『今日もかき氷』という題名で、そのなかの【進化版】という一番新しい本だ。これの前に、【初回版】と【完全版】という二冊が出版されている。連載から初めて本になるというときに、【初回版】と名付けられていた、あるいは、そうなることが想定されて制作されたとするなら、私はこの本の編集チームが心底羨ましい。発行後、どのくらいの部数が売れるのか分からない状態のなかで、続編を制作する機会が来るだろうという考えが編集チームの各メンバーの頭の中にあり、それが一致していた。ということだと思うから、それがかっこいいと思った。

とはいえこれは、手に取った後に気付いたことの話で、一目惚れの要因はもっと他のところにあったと思う。

“好き”が詰まっているし、それが表現されている。それが、伝わってきた。凄くシンプル。えぇ、それだけ?となっても、おかしくはない。

でも、そのシンプルなメッセージが、最近の私にとっては大事だった。

「現在の蒼井優とかき氷との関係」から始まり、「おしながき」「今日もかき氷。(蒼井優さんからのメッセージ)」で締めくくられる本の“はじまり”。この後本題に入っていくのだが、メッセージの最初のところで、蒼井優さんは“打ち明けた”という言葉を使っている。この言葉には、重さがある。

『今日もかき氷』という名が付けられたこの本を読み終えた後、私自身から生まれてくる問いや思いを、私自身が恐れないようにしようとの思いが込み上げてきた。だから、書こうと思った。込み上げてくる何かがなかったこの約4ヶ月間。やっと書ける、と思った。

編集者になって、編集者としてどんなページが創りたいかって、それは、自分が知りたいこと・誰かに教えてほしいと心から思っていること。私自身が乞うている答えを、多くの人からもらえるようなページが創りたい。

私には、わからないことがたくさんある。それがあまりに熱を帯びていると、教えてよ、じゃあなんなのって吐きそうになる。それでも、答えが知りたくて、誰かに答えてほしくて、だから問いを誰かに伝えたくて。聞いてほしくて、編集者になったんだ。

打ち明けるのが怖い。こんな問いに真剣になって、何になる。それでも知りたいから、答えが欲しいから、編集者になったんだ。



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