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マノミコト

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こころのおくのほう。毎日更新。     マルハダカ。
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#大学生

2021/7/31「蝶」

誠に生きられたことがない。当然と言えば、当然か。誠かどうかなんて結局最後の最後にしかわからないのだから。 「恋に誠も、偽りもない。」と言われていたが、なにも、恋に限ったことではない。現に私がそうなのだ。 どんなに思い焦がれていても、涙ながらに言葉を発したとしても、何かに揺さぶられてしまえば、それは偽りとなる。いっときも誠から離れず生きることなんて可能なのだろうか。 それよりも、私の生はもっとひどいものだ。誠にできたことが一度もなく、生きてきた。誠に生き続けて来られなかっ

2021/6/14 「感覚と経験と知識、そして共有」

いつの日かドライアイスを触った時の感覚、今日ドライアイスを触った時の感覚、明日ドライアイスを触った時の感覚。これらは完全一致せず、ずれを持って重なっていき、経験となる。 しかし、知識とは何であるか。知識とは、それぞれの感覚がずれながらも経験として重なっていった先に現れる、すべてが重なりえたところの一部分だと考えられる。「若干痛い」「ちょっと痛い」「すっごく痛い」が重なっていった時の、「痛い」に当たる感覚が知識となる筈である。つまり、どの感覚もが持ち合わせていた部分が知識とな

2021/6/11 「バラバラ」

バラバラにしたい。一個一個丁寧に、バラバラにしたいのだ。一語一句間違えないように音読するし、その後でもう一度、指先で文章を追いかけてノートに映していく。 二段階目の行いはまとめているわけではなく、感じようとしているのだと最近になって気が付いた。音読段階では声を通して文章を感じ、ここでは書く営みを通して、全体の世界観と、一語一句それぞれの持つ温度を感じようとしているわけだ。 正直とても愉しい。共感が得られるとは思わないが、それでも声を大にして伝えたくなった。とても愉しいのだ

2021/5/31 「叶えたい夢」

もし、自分が本当に夢を叶えたら。自分のやりたいことをやれるようになったら。誰か涙を流してくれるような人は目の前にいるのだろうか。ふとそんなことを考えてしまったわけである。そんな暇はないというのに。調子に乗ってしまっているのかもしれない。 これだけやってきて、やっと夢が叶うという時に、自分以外の人が一人も喜んでくれないかもしれないという光景を想像すると悲しくなった。想像できてしまったことが何より私を苦しめた。 もし本当に、つくることができて名前が載ることになって、本当にそれ

2021/5/23 「脳みそ出血」

これは昨日、文章を書き終えて、さぁ眠りに着こうとしていた矢先に起きた出来事である。些か珍しく、この先グロティスクな文体になってしまうことをここらへんでご了承いただき、先に進んでいただけるとありがたい。なお、そのグロティスクな文体にも、暖かさや、澄んでいる世界を。と思いつつ描いていこうとは思っているので、もしよければ、ここで終わらずに進んでもらえると幸いである。 早朝4時になっていたかもしれない時間帯だった。詳しくは覚えていないのだが、確かそのくらい、一瞬でも眠りにつけたのか

2021/5/22 「笑ってる」

「らおたん、笑ってる」と、私の叔母はよく言います。らおたんとは、トイプードルとチワワがミックスされた、10月25日生まれのワンちゃんですが。「どしたの、嬉しいの」と、まるで孫をあやすかのように話しかけるわけです。今日もまたうちに遊びに来て、たかいたかいをして、抱っこしながら部屋を探検し、そそくさと自宅へ帰っていきました。 従姉もまた同じように、「らおたん、笑ってるねぇ」と言うわけです。表情が豊かだって言うのです。 たしかにらおたんは、去勢手術の後うちへ来た時、どこか不安そ

2021/5/16 「告白」

「貴方のレジュメ、私好きです。」告白されました。私。ついに。文章の中か上で生きる私、興奮いたしました。受取人として相手の告白を直に頂戴した生身の人間である「私」、あまりに予想だにしていなかった出来事で、あはは~という薄笑いと、戸惑いの表情をお返しするので精一杯でございました。 これがもし、文体×文体の文章上であれば、こんなことには致しません。倍の倍の倍以上の、愛文体でお返しできたはずなのです。それが、顔対顔の画面上だったものだから。相手のお顔も確認できておりまして。想像以上

2021/4/10 「ドクダミ草」

違う。違う。違う。どれもこれもみんな違う。私の欲しいものじゃない。億の、千万枚で買えるように軽々しくないのです。ほとんど衝動的だった。ほとんどって、何。一ミリは脳が動いていたと思うからです。探したの。 文章のなかで生きたいってそう思った。言葉が出てきた。言葉が出てた。気持ちとか夢とかそういうのじゃなかったの。 書いていたら「いのち」があって、それが「ここで生きたい」で、その、ここっていうのが、文章の中だった。上かもしれない、けど。それはまだわからなくて、でも、文章は確かで

2021/4/6 「キナリノカナリア」

あのキンキンごえは、毒。毒を毎日浴びています。今日も昨日も一昨日も。明日だって明後日だって、私がここにいる限り毎日聞くことになるのです。そんな毒を大体毎日浴びていたら、身も心も弱くなる。ちょうど、骨の髄が見えなくなっていくところです。 二階にいても聞こえてくる、下からの声。聞きたくなくても聞こえてくる、あの声。たった今、ドアを閉めて必死に逃げたけれど、今度は外側から家の壁を這い上がってきて、出窓から入り込んでくるのです。 だから、どこに行っても逃げられない。 聞いている

2021/4/5 「崖に咲く花」

今日は珍しくお昼に書いてみようと思います。書けるかなと臆病な気持ちが体の中心を漂っている最中です。だから少し震えています。面接直後なので、心を隠して閉じ込めて、良く見せようとしていたから。狭いところに押し込められた私の心が、異様に圧迫されてのことかもしれないです。 やっぱり面接というのはしんどいなぁと今しみじみ感じています。気が合わないなぁと、つくづく思います。もう十分。早く終わりにしたいです。あぁ、だんだんと落ち着いてきた、私の心。でもやっぱり、夜に書く文章とは違う気がし

2021/4/3 「赤になった他人様」

四月が始まり、初めての土曜日。今日も地元の小さな北欧カフェに立っておりました。六時間の拘束時間、まだまだ若いお歳ではありますが、最近家に帰ると腰が痛いのです。それでも店内にいるときは、あくまでカフェ店員。テキパキ俊敏な動きを見せています。それに拘束されてはいるけれど、やっぱりどこか非日常な空気が流れているので、心地がよいのです。カフェの居場所は、地元の道沿いで、近くに川が流れています。その後ろは田舎感のある家々が立ち並び、さらにその後ろには森という、王道な日常の中にあるという

2021/3/30 「おばあちゃん」

よしこ。82歳。私のおばあちゃん。一緒に暮らしています。従姉のわんちゃんの元気さに負かされるのかと思いきや、案外へっちゃらで、手の指を嚙まれていても、ジャンピングアタックされても、「おーよしよし、大ばあばが好きだよねぇっ」って嬉しそうなんです。しかもこないだなんて、せっかくだからってツーショットを撮ってあげていたら、ちゃっかりポーズを決めてきて、「こういうときに写真撮るのよ」って怒られました。 そんなよしこは目が悪いです。緑内障という病気を患っていて、手術しても治らない、ど

2021/3/28 「一緒にしないで」

「一緒にしないで。」と心が言っているような気がします。一緒にしないで。と。私を私として見てほしい。一人一人として見てほしい。そうやって叫んでいます。 私にもできたんだから、あなたにもできる。みんなそうやって乗り越えてきた。おんなじ気持ちだった。 あなたならできるかもしれないけど、こんな私にはできないことなんです。 あなたに何がわかるの?って言いたいんだろうなって思う人がいるかもしれません。でもそれは違っていて。私の中にあなたを見ないでって思うんです。同化させないでって思

2021/3/26 「初めて見る景色」

2021年3月25日、木曜日、昨日のこと。約1年越しに念願叶って、初めて、ロケ地というものに行って参りました。それも自分たちの運転で。久しぶりに感じるあたたかさでした。 この目の先には、どんなものが見えているんだろう。どんなものが映っていて、何を感じているんだろう。テレビや雑誌、配信アプリやDVD。様々な媒体を通してずっと見てきた中で、いつも思っていたこと。ずっと悩んで、ずっと涙してきたことでした。いくら考えてもわからなくて、重なることができなくて、いつまでたっても見られな