オーストラリア2400Km自転車旅33日目🚴

33日目 「彼女の笑顔」

起きてすぐに髭のおっさんに今日発つと伝えた。
彼は髭を撫でながら、ただ一度うなずくだけだった。
働かせてもらってありがとうございました、
そう言ってその家を出た。
このタイミングで仕事が出来て、ほんとに助かった。

以前レベッカ達にあげた恐竜のフィギュアを、あとニつ持っていたので、3人姉弟の下の2人にあげた。

ヒヨコは嬉しそうにピョンピョン跳ねている!
お兄ちゃんは妹にあげたやつの方が良かったのか、しきりに見比べている。
一番上のお姉ちゃんの姿は見えない。。。
最後に会いたかったなぁ。

フィルの携帯でタクシーを呼び、俺とタコとフィルの3人で街へと帰っていった。フィルは食料を買いたかったのだ。街に着いてからフィルにさよならを言った。
「フィル、体に気をつけて。」
「ヒロもな。」
「グッバイ」

俺とタケさんはBPに再び戻った。
今日もう一泊ここで寝て、明日から自転車をやることにした。
BPを予約したあと、明日のためにいろいろなものを買った。
缶詰や電池、靴下、念願の長袖のトレーナーも!
これで幾分暖かくなる。それから腕時計も買った。カーラッサで買ったやつは防水とうたっていたのに、つけたままシャワーを浴びたら壊れた。
今回は前のより6ドル高い時計を買った。この6ドルに期待したい。

すべての買い物を終え・・・・・ハッとなった。

俺のお気に入りの白いTシャツを、髭んとこに干したっきり忘れてきた!
あのTシャツはラウンド中ずっと愛用していたもの。
汗と想い出がふんだんに染み込んでいて、ゴンゾーより付き合いが長い。まいったなー。。。髭の農場は遠い。。。
このBPに泊まっている韓国人の女の子がいて、彼女はレンタカーを借りていた。
それで彼女に、髭んとこまで運んでもらえないかとお願いしたところ、快く乗せてくれた。

ファームに着くと車を飛び降り洗濯干し場まで走った。
汚いTシャツなので捨てられててもおかしくない・・・とヒヤヒヤした。

ちゃんとまだ干してあった。良かった!

そのもの干し場の脇で、いつも愛想よくしてくれた3人兄弟の一番上のお姉ちゃんが犬と遊んでいた。。。会えた。

こちらに気づいて

「どうしたの?」と。

「このTシャツを忘れてて」

「汚いTシャツ!」
口を両手で覆って言った。

「洗ってこれだからな!」
匂いを嗅いでみたが、太陽の匂いがした。
見た目の割に臭くない。
「うん、、、臭くない」

「フフフッ・・・
私の弟妹に恐竜くれてありがとう!
私は何も、もらってないけど・・・
冗談よ!
もうここで働くのは辞めたの?」

「昨日で最後」

「お父さんがね、あなたは良く働くって言ってた!」

「・・・君の名前聞いていい⁈」
最後の日に、名前を聞いた。

「・・・トア!」と言った。。。

彼女は微笑んだ。いつもキラキラの笑顔を見せてくれる。

広大な農園内に母屋が一つ。

その庭で、洗濯物が揺れている。

太陽の日差し、

彼女の笑顔

好きだ、すごく。。。そう思った。

ずっとこの笑顔見てたい。

Tシャツを忘れたから、この「絵」と会えた。

この「絵」と出会うために、Tシャツを忘れた?

・・・時間は止まらない。
さよなら、を言った。

韓国人の彼女にお礼を言ってガソリン代に10ドル上着のポケットに突っ込んだ。
BPに着いた頃にはもう空は暗くなっていた。

腹が減らない。何も食わずにベッドに横になった。

パースまで、あと890キロ。。。

ゴンゾー、待たせたな。

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