- 運営しているクリエイター
記事一覧
『愛の不時着』ー「ロマンチックな北朝鮮」をあなたに
by 輪津 直美
数週間前に見終わっていたのだが、どう書こうか思いあぐねているうちに、時間が経ってしまった。
まあ、一言でいって昭和の少女漫画である。もう、全てがてんこ盛りなのである。コメディ、恋愛、サスペンス、アクション、お涙頂戴。
ありえない設定、ありえない展開。
ベルばら、キャンディ・キャンディ、はいからさんが通るの世代(つまりおばさん)は、どハマりするかと思われる。
で、それはさ
『エージェント物語』シーズン1-3 パリの芸能事務所をオシャレに?描く
by 輪津 直美
最近のフランス映画はパッとしないし、ましてやドラマのレベルは低いのだろうと甘くみていたが、いやいやどうして、なかなかの面白さである。 きっと、これまでアートハウス映画しか日本に入ってこなかっただけで、着々とフランスの映像エンターテインメント業界は進化してきたのだろう。
このドラマはテレビ局「フランス2」の制作だが、Netflixが最初から関わっていたようで、世界に出しても恥ず
『ベター・コール・ソール』 もしソウル・グッドマンがダンディ坂野だったら
by キミシマフミタカ
ブレイキング・バッドのスピンオフドラマ。スピンオフに関わらず、本家を凌ぐクオリティで進展中。現在、完結編のシーズン6を制作中とのことだが、Netflix中で一刻も早く新シリーズが見たいドラマの筆頭になっている。でも、放映予定は来年だ。
最近メトロに乗っていたときのこと。ある車内広告を見ていて、発見があった。もしベター・コール・ソールを日本でリメイクするなら、ソウル・
『ザ・シューター』シーズン3 展開がグダグダになっても最後まで見続ける理由
by キミシマフミタカ
途中まで、緊迫感のある面白いドラマだった。主人公はライアン・フィリップ。海兵隊の元狙撃兵(スナイパー)が、罠にはめられ、大統領暗殺計画の首謀者にされてしまう。彼はその濡れ衣を晴らすため、単身、陰謀組織との戦いに乗り込んでいく。シーズン2は、好敵手ソロトフとのスナイパー同士の一騎打ちで、それはそれで見応えがあった。
ところがどうしたことだろう。シーズン3になったと
『アメリカン・ファクトリー』 中国とアメリカの比較文化学
by 輪津 直美
「アメリカは褒めて育てる文化だ。だから皆自信過剰だ。アメリカ人はすぐおだてに乗るから褒めろ」
中国人は賢く、抜け目がない。表向きには友好的に振舞っていても、裏では相手を注意深く観察し、常に策略を巡らせている。
それに対してアメリカ人の単純さよ。
中国のガラス企業Fuyaoは、GMの工場が撤退してからというもの寂れてしまったアメリカの街に、巨大な工場を建設し、アメリカ人を大
『LAW & ORDER 性犯罪特捜班』 究極のサステナビリティ刑事ドラマ
by キミシマフミタカ
Netflixでの配信が、いきなりシーズン15から始まったので、途中から見ることになった。本家である「LAW & ORDER」の方も見たことがなく、完全に“にわか”である。ニューヨーク市警“性犯罪特捜班”の活躍を1話完結で描くこのドラマ、スピンオフにもかかわらず、現在米テレビ史上最長となる前人未到のシーズン21に突入しているらしい。
シリーズの総体が巨大なので、まる
『ルディ・レイ・ムーア』←このタイトル失敗でしょ
by 輪津直美
原題は、「DOLEMITE IS MY NAME」だそうだ。日本タイトルは「ルディ・レイ・ムーア」だが、日本人でこの人のことを知っている人が何人いるだろうか。それどころか、これが人の名前だとわからない人もいるのではないか? なぜわざわざ日本向けにタイトルを変えたのか。どうせ誰も知らないんだから、原題を生かして「俺の名はドールマイト」とかでもよかったのではないか? 個人的にはこっち
『ユニークライフ』シーズン1〜3
by キミシマフミタカ
どんな人にも個性があって、それがどのような個性でも、その個性を好ましいと思う人が、必ずどこかにいるはずだ。原題は「ATYPICAL」。不定形の、不規則な、などの意味がある。主人公は、自閉症スペクトラム障害を持つ高校生サム。しっかりものの妹と、愛情過多の母親、子どもとの距離感に迷う父親、という4人家族の物語だ。
そもそも、人が人に惹かれるとは、どういうことなのか? 高
『ジャックは一体何をした』
by キミシマフミタカ
デヴィッド・リンチの新作短編映画である。時間は17分と短いが中身が濃すぎる。フィルムノワールふうの白黒画面。どこかの鉄道の駅、殺風景な取調室らしきところで、容疑者の猿を相手に、刑事役のデヴィッド・リンチが取調べを行っている。何かの容疑があるらしいのだが、何なのかよくわからない。そもそも取調べなのかどうかも定かではない。
会話の噛み合わなさは、もはや神懸かり的だ。そ
『ナルコス』シーズン2
by キミシマフミタカ
シーズン2を見終わって、早くも『ナルコス』ロスが生じている。これは『ブレイキング・バッド』以来かもしれない。輪津直美さん絶賛の理由がよくわかった。ここで筋書きを改めて紹介することはしないが、ドラマを見て思ったことを記しておこう。
このドラマが魅力的なのは、おそらく物語が、基本的にDEA捜査官2人の視点から語られるからだ。捜査官のナレーションが効果的に入るために、
『6アンダーグラウンド』
by キミシマフミタカ
フィレンツェの狭い石畳の路地をアクロバティックにかっ飛ばす冒頭のカーチェイス、どこまでが実写でどこからがCGなのか、目を凝らして見てもよくわからない。こうなると、トム・クルーズがミッション・インポッシブルでスタントなしにこだわる理由がよくわからない。飛行機の胴体にしがみつくのは凄いと思うけれど、それがCGであって何が悪いのだろう? 少なくとも観る側にとっては、どちら
『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』
by キミシマフミタカ
これは、一般的いうホラードラマではない。なぜならホラーのガジェットが怖くないからだ。宙を浮きながら歩くノッポや、首折れ女や、開かずの赤い部屋や、誰かがドアノブを回す恐怖など、それなりに道具は揃えられているが、本当の怖さはそこにはない。これは、ある恐怖の一夜を体験した子供たちが、その恐怖と(それぞれの方法で)向き合いながら、その後の人生をどのように生きていくかという、恐ろ
「全裸監督」Netflixは日本ドラマの救世主となれるか?
by 輪津 直美
いやー、金と時間をかければ日本のドラマもなかなかやるじゃない?
なんせ今をときめくNetflixの潤沢な資金でセットを組み(80年代の歌舞伎町が全てセット!)、「ナルコス」チームから指導を受けて1年がかりで脚本を完成させたというのだから、地上波ドラマとは気合の入れ方が違う。
海外の批評サイトなどを見ると大絶賛されていて、「ジャパニーズ・ナルコス」とか「ジャパニーズ・ブレイキ