「ザ・サークル」
by キミシマフミタカ
エマ・ワトソン、トム・ハンクスという豪華キャストが話題のSNSサスペンス、という触れ込みだったが、すごくつまらなかった。田舎育ちの純朴な若い女性が、FacebookかGoogleみたいな素敵な会社に就職し、インフルエンサーになっていくという話なのだが、物語が始まって5分くらいで話が見えて、結末も案の定。SNSは便利だが、それを過剰に使うと人間のプライバシーと尊厳を奪い、一番大切な愛を失うことになる……。とほほ。
ハリウッドでは、ときおり「そんなこと皆わかってるよ」ということをテーマにした映画がつくられる。皆でアイデアを出し合って映画をつくると、ひたすら凡庸な映画ができあがるという、教科書みたいな例である。たとえば、似た設定のNetflixの傑作シリーズ「ブラック・ミラー」と比較すると、そのツマラナさは一目瞭然だ。ここには皮肉も風刺もなにもない。せめて、エマとトムの役柄を逆にしたら面白かったかも、と思う。
ところで、SNSは確実に人を疲労させる。それは間違いない。典型的なパターンなのだが、承認欲求に疲弊するのだ。人になにかを伝えるには、手紙をゆるゆると書くのが一番いいのかもしれない。でも、そんな手紙の時代でも戦争は起きていたのだから、情報伝達が遅いことによるメリットは、あまりないのかもしれない。よくこんな脚本でトム・ハンクスが出る気になったね、と輪津直美さんに報告したら、「トム・ハンクスはわりとどんな映画でもでちゃうから」と教えられた。うーん、そうかも。
トム・ハンクスが出ているのにつまらない映画 ☆☆☆ (最低評価は☆3つ)
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