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#3 スワダは爪切りだけじゃない|爪切り屋の営業マン・水沼樹 〜盆栽バサミ編〜

ひとつ7000円する高級爪切り
「“SUWADA”の爪切り」を
みなさんは知っていますか?

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気持ちいいくらいの切れ味で、
爪を切るのが楽しくなるほど。

パチンと爪を切った瞬間、
爪が飛ばず、すっと真下に落ち、
切った後にはやすりの必要もなく
美しく爪が整うんです。

・・・・

その爪切りを作っているのが
新潟県 燕三条(つばめさんじょう)にある
爪切りメーカー「諏訪田製作所」

そこで営業マンとして働く、
山口県出身の、水沼さん。27歳。
「ものづくりの街・燕三条」に魅せられ、
5年前に新潟にやってきました。

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「こんな仕事があったのか。in新潟」
爪切り屋の営業マン・水沼樹

・・・・

1.大手より、ダイナミックに働ける中小企業がいい

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大学生の頃から、将来は
「中小企業でダイナミックに働きたい!」
という思いがあった水沼さん。

大企業で1万分の1の存在になるより、
自分自身が大きく動ける、
中小企業の50分の1になりたい。

中でも興味があったのは、
伝統を守りながらも革新を続けている
“老舗でベンチャー気質な会社”。

「『伝統とは灰を崇拝することではなく、火を灯し続けることだ』という好きな言葉があって。伝統って『革新の連続』であるべきだと思うんです。となると、古くから鍛冶技術が盛んで、新しいことにも挑戦している企業がたくさんある"燕三条"は、僕にとってもってこいでした。」

水沼さんは明治大学の元スキー部。
偶然にもスワダの社長もスキー部のOBで、
在学時代からの知り合いでした。

そんな縁があって、
「燕三条」や「諏訪田製作所」を知り、
就職することになりました。


2.本当に良いものを作ってるから、嘘つかなくていい

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諏訪田製作所の工場は、
とてもスタイリッシュ。

入口に入ってまず出迎えてくれるのは、
爪切りの排材でできた、
兵士やライオンのオブジェ。

一流のものづくりだけでなく、
諏訪田のこうしたお客さんを楽しませる
エンターテイメント精神と、
ホスピタリティに魅せられました。

そんな水沼さん、昔から、
「自分が腹落ちしないことはやりたくない」
という性格。

営業マンとして、
「人にものを売るということは
自分がおすすめすることだから、
良くないものは絶対に売りたくない」

という思いがあります。

「諏訪田の爪切りは世界一。本当に良いものをつくっているから、営業として嘘をつかなくていいんです。だから勝手に営業しちゃう。これ良いよ、使いなよ、って。それに、ただの金属の棒があんな爪切りの形に変わることって、本当に凄いと思うんです。自分はものづくりができないからこそ、職人を尊敬しています。」


3.スワダは爪切りだけじゃない!

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スワダの爪切りは
年間10万丁が製造の限界です。

水沼さんが入社する前から
この10万丁の爪切りは、
毎年すべて売れていました。

「もう爪切りは売れているし、
売り手が増えても、製造はできない。
だから普通の営業マンはいらないんだ」

そう思った水沼さんが
3年前から取り組んできたのが、
「盆栽バサミ」のプロモーションです。

「スワダって爪切りだけじゃないんです。盆栽バサミも作ってます。でも、2016年当時、爪切りの職人は47人いるのに対して、盆栽バサミの職人は3人しかいませんでした。盆栽バサミの職人たちにも、光を当てたいと思ったんです。」

そこで水沼さんは、
スワダ盆栽ウィークというイベントを企画。

県内の園芸屋に片っ端から電話をかけて
盆栽をかき集め、60種類もある盆栽バサミを、
盆栽とともに展示したり、

実際にハサミを使ったワークショップを
行い、盆栽バサミの魅力を伝えました。


さらに、3年前に日本で開かれた
「世界盆栽大会」にも参加。

普段なら盆栽をメインに展示する
イベントで、道具の出展はありませんが

「日本の盆栽は
“道具”から一流だということを、
世界に見せつけましょう!」

と、主催者側に提案しました。

一からの交渉が実を結び、
世界規模のイベントでの展示が実現。

それまで知名度が低かった
「スワダの盆栽バサミ」に、
光が当たった瞬間でした。


4.「排材×アート」で、自分もクリエイティブなことを

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世界盆栽大会で出展する際、
「とにかくかっこいいブースを
作りたい」と考えていた水沼さん。

そこで作ったのが「メタル盆栽」です。

爪切りを製造する過程で出る
「排材」でできた盆栽のオブジェ。

実は、爪切りをつくる上で
元の金属の3割部分しか製品にはならず、
あとの7割はゴミとなってしまいます。

その「排材」を生かし、アートとして
生まれ変わらせた「メタル盆栽」。

これは、水沼さんのアイデアです。

職人とタッグを組み、
ふたりで試行錯誤しながら製作しました。

「新しいものを1から創造するってすごく好きなんです。僕は職人のようにモノを作ることは出来ないけど、でも、できるだけクリエイティブな現場の近くで、自分もクリエイティブなことをしたいと思っています。」


盆栽バサミを盛り上げたいという気持ちから
生まれたこの「メタル盆栽」
その後、水沼さんにとって大きな存在に…!

次回「〜メタルアート編〜」に続きます!
(12月14日 土曜 公開予定です)


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水沼樹(みずぬまたつき)
TwitterInstagramSWDARTLAB
1992年生まれ/山口県出身
明治大学卒/諏訪田製作所5年目
ドライブソングは「平成たぬきぽんぽこ」

2019/12/11

〜メタルアート編〜 公開しました!


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