龍太郎。

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龍太郎。

https://mobile.twitter.com/RrrrrytrU 物語とか演劇脚本 有料部分は公演情報等、あまり価値はないのでおひねりと思ってください

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同調のバラバラ。

「何歳なの?」「三十歳」「結婚はしていなる?」 過去数えられぬほど浴びた同じ質問のおかげで、相手の社会常識や普通を壊すことなく曖昧に躱すことは、習性のように染みついている。けれど十四歳の少女が選ぶ慎重な口調は、僕に逃げを恥じらわせた。 「一度も」「恋人は?」「過去には」 尋ねる瞳は、ウガンダの文化、風習に育まれ同情的だ。 「結婚しないと、男になれないよ」 ここに於いてそれは合理で、当然の義務なのは判っている。その質問が、異文化へとって蛮勇にあたるかも知れないなんてち

    • Les temps morts

      あなたは父として産まれたのではなかった。 あなたは、雷の夜、極東の地に、漁師の子として産まれた。 中学のない島を早くに離れ、工学部を卒業し技術者になるまで長い寮生活だったあなたが、赤道より少し南の島から同じ大学へ留学に来ていた母に恋し、いつ私の父となったのかは誰にも判らない。 これは私がいつ二人の間に発生したのか、とか、胎内に子を宿す肉体の実感が女性を母として作り替え、その母より産まれて初めて子と向き合う男性の、父としての自覚の一般論を語りたいわけではない。 私もまた私として

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      • melody’s『Dreamtime』稽古メモの断片6/7-

        居る事をする 死に見える ⁇と海のおと ↓ 「ドアの隙間から」の水につなげる ↓ 「宿」 「倉庫」 「Vote」 レオ君が音の作業? リサさんが誘導 龍がTELとか 床との接地面。音 壁を使うのよい。 水をのむ◯ トイレにいく。帰りながらセリフを読む 倒れたときの目は開く? 2/45 2/30 1/15 2/45 3/45 5/45 「コーヒー」 「子ども」 「夕暮れ」 「葬儀」 「2022/5/4」 コンビニご飯とエコバッグ?プラバック? 鍋 テープ 市場の猫ス

        • AMCF 2022/6/16

          カトゥエで娼婦の家に泊めてもらった。カトゥエはウガンダの首都カンパラ郊外に広がるスラム街だ。スラムと言っても赤土の道路脇に整然とトタンと木と赤土の煉瓦で出来たバラックが並んでいて、ドラマみたいにギャング蔓延る廃ビル群があるわけでは無い。 滞在2日目に見つけた屋上レストランは、ライフルを持った警備員が開けてくれる鉄格子の扉を抜けると、客同士の目線を遮る沢山の植栽の他には、屋根も壁も何も無い。 星の隙間で僅かばかりに存在する夜を見上げ、大通りの帰宅ラッシュへ整列する車の赤いラ

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        同調のバラバラ。

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          第四の壁

          「世界とは個人の作り出した虚構である」という考えは、心の仕組みが解き明かされつつあり、他者の存在を未だに確立できない現代に於いて、かなりの程度リアリティを持っている。 その視点へ立つと「第四の壁」を破ることは、観客へ能動的鑑賞を促し、批判的視点を持たせることをもはや意味しない。 むしろ、演劇の「観客が自らの記憶を投影し初めて完成する」と云う機能へ向き合う為、作り手が必然的に破ってしまうものなのだ。 そして観客個人個人の記憶を投影された作品は、共感を生み出す事はない。それは観客

          第四の壁

          最果てのアフロ。

          エチオピア、アワッシュ川下流域で約400万年〜200万年前に産まれた人類の祖先は、ナイル川に沿って北上すると、広葉樹の葉脈の様にアフリカ各地へ広がった。 約12万年前、紅海やアジアの付け根にあたるレヴァント地方から海峡を越えアラビア半島へ出ると、歩みを止めることなくインドへ西進、北の高過ぎるヒマラヤ山脈を迂回して東南アジア。そこから海を渡り約3万年前に葉の縁にあたる日本へと渡った。 絡み合いながら広がる生息域に適応するために各地で社会、文化が生まれた。その旅路は言葉という最も

          最果てのアフロ。

          ポルノ的な。

          喘ぎとも呻きともつかぬ声を耳に、口へ運ぶシリアル。 この女は僕に「突然オナニー通話をかけてくる女性に喜ぶサガを持つ男性」を期待している。一度や二度は、それに乗ったかも知れない。箍の外れた女の行動は、因果論的帰結に縛られた僕を壊してくれるので少し好きだ。 けれど何度も繰り返し、こちらの状況も伺わず掛かってくる吐息は、百貨店の入口にある害獣除けの高周波と同じ苦しさがある。僕は不快感に喜びを感じる体ではない。ドーパミン不足による新奇追求欲求も、繰り返しを嫌う。 呼吸の間隔が狭

          ポルノ的な。

          齟齬のまにまに、

          かつて僕と定型社会に存在した過干渉は、奇妙なほど静謐に、掴み所がない狂騒として生活の各所に現れている。歩きながらこの文章を書く心中は凪いだ海よりも静かなのに、無意識が、目から飛び込む川の瀬の、洲を侵食する様が光を帯びヌメるその姿を描く言葉を探し出して、戻れなくなってしまう。思考が社会生活と形而概念理解力の揺蕩う均衡を描く図式の、組み立て中に挿し挟まる。 多層で同時並行的に起こる思考や感情はすべてつながったまま進んでしまう。閃きは、形になる前にイメージの洪水に流されていく。

          齟齬のまにまに、

          波間の狐。

          崩壊したり変容する世界で、静かな日常が説明も少なに過ぎていく閉鎖空間を描いた作品が好きなので、当に今その作品の一部となっている自分がなんだかふわふわと現実感を喪失していくのは仕方のない事に思う。 映画の主人公がゾンビや怪異、異常気象、地球外生命と戦う様に、仕事に出なくてはならないインフラにまつわる人達が日常を維持して、多くの医療従事者が患者に対応し、政治行政の関係者が知恵を絞り、誰かの肉体がウイルスと直接的に対峙しているのだろうが、この部屋を出ない僕にとってそれはメタ情報にも

          波間の狐。

          野菜の酒蒸し。

          個人の記憶から歴史へと飛躍するにつれ遥か鹿児島までつながる大通りがかすかに成って、僕の立ち位置を脅かしに来る。野菜のタイタンが連山の向こうから確かに見つめている。愛が溢れてマグマ宜しく山を下る。

          野菜の酒蒸し。

          姪からの手紙。

          せみ あまんだ いつもないている せみいつもないているに自分の名前を挟ませることで、蝉の如く自分もいつもないているのだ。 孤独の中に蝉との共闘を感じさせる力強い夏の歌である。 夏の雲へ小学生の夏休みの川遊びを重ねる。 ステテコ履いて川辺を進む一歩ごとに浮かんだ記憶は夏を迎え、次第に歳経た体へ追いついてくる。 蟻が風と共に夏の骸を運んで征く。

          姪からの手紙。

          捜索は終了しました。

          スペースワールドがあった広大な敷地には、ボーリングを済ませた重機が立ち並んでいた。 正確にいつ取り壊され始めたのか僕は知らない。 女性の悲鳴とセットになった、巨大なハサミに掴まれたスペースシャトルの耐熱シールドが、ミシミシ剥がれハラハラと地面に降っていく光景はTwitterのTL上で何度も流れてきたので記憶に焼き付いてはいるんだけれど、年日を覚えるのが苦手な為にそれがいつだったのかあやふやだ。 関東に行く姪を見送った頃だったかもしれないし、関東に行くのが決まった姪と色んな所に

          捜索は終了しました。

          裸の女。

          飛沫の音に浮かんだ裸の美女は、風呂場から響漏れるおじさんの咳で溶けた。 現実の刺激から飛び出した夢想は放物線を描いている間にだけ存在し、現実の床へぶつかってひしゃげる。 もしパラレルワールドが存在して現実がドミノみたく平行に並んでいたら、夢想は放物線を描かずに時間のx軸を延々と飛び続けているのかもしれない。 夜道、僕は交点にいたのだ。

          裸の女。

          八咫烏。

          或る時罠に一羽の八咫烏がかかった。 その罠はかけた村人達がその後災厄によって死に絶え人知れぬものと為っていた。 八咫烏は罠の格子の間から抜け出そうともがいたが、全ての努力が無駄であった。 幾時経っても誰も通りかる事も無く、八咫烏は葉から落ちる露でのどを潤し、土を行く蟻を潰し飢えを凌いでいた。 そこへ一人の僧が通りかかる。 「聖なるお方、何卒私をこの檻から出してやってください。と、八咫烏は叫んだ。 「それは出来ないよ。穏やかに、僧は答える。 「見たところお前は飢えている、出して

          八咫烏。

          座敷中年。

          机の脇に本を積み読みもせず埃を払いさえしなかったが、誰かが本に触れば「決まった並びと言うものがあるのだ。と、不機嫌に為る。 約束があれば外に出る洋服が決まらぬと逡巡し、着ては脱ぎ、手に取ては投げ、時間は疾うに過ぎているのに自らは連絡を寄越さず来た電話には「直ぐに出る。の一言。 晴れれば「陽が眼に辛い。と、踵を返し、雨が降れば「音が癇に障る。と、顔を顰め窓から遠くに座り込み。風が吹けば「そよぐ髪の気に入らぬ。と、出もしない。 往来では安っぽい強面と奇な髪形を人払いに使い孤独を防

          座敷中年。