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妖怪もけけ。

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波間の狐。

波間の狐。

崩壊したり変容する世界で、静かな日常が説明も少なに過ぎていく閉鎖空間を描いた作品が好きなので、当に今その作品の一部となっている自分がなんだかふわふわと現実感を喪失していくのは仕方のない事に思う。
映画の主人公がゾンビや怪異、異常気象、地球外生命と戦う様に、仕事に出なくてはならないインフラにまつわる人達が日常を維持して、多くの医療従事者が患者に対応し、政治行政の関係者が知恵を絞り、誰かの肉体がウイル

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野菜の酒蒸し。

個人の記憶から歴史へと飛躍するにつれ遥か鹿児島までつながる大通りがかすかに成って、僕の立ち位置を脅かしに来る。野菜のタイタンが連山の向こうから確かに見つめている。愛が溢れてマグマ宜しく山を下る。

八咫烏。

或る時罠に一羽の八咫烏がかかった。
その罠はかけた村人達がその後災厄によって死に絶え人知れぬものと為っていた。
八咫烏は罠の格子の間から抜け出そうともがいたが、全ての努力が無駄であった。
幾時経っても誰も通りかる事も無く、八咫烏は葉から落ちる露でのどを潤し、土を行く蟻を潰し飢えを凌いでいた。
そこへ一人の僧が通りかかる。
「聖なるお方、何卒私をこの檻から出してやってください。と、八咫烏は叫んだ。

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座敷中年。

机の脇に本を積み読みもせず埃を払いさえしなかったが、誰かが本に触れば「決まった並びと言うものがあるのだ。と、不機嫌に為る。
約束があれば外に出る洋服が決まらぬと逡巡し、着ては脱ぎ、手に取ては投げ、時間は疾うに過ぎているのに自らは連絡を寄越さず来た電話には「直ぐに出る。の一言。
晴れれば「陽が眼に辛い。と、踵を返し、雨が降れば「音が癇に障る。と、顔を顰め窓から遠くに座り込み。風が吹けば「そよぐ髪の気

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