映画『Trainspotting』を視聴し、オリジナル・サウンドトラック『Trainspotting』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

映画×サントラシリーズ第三弾!

今回は映画『Trainspotting』を視聴し、オリジナル・サウンドトラック『Trainspotting』を聴いてみた編をお届けします。

ドラッグに溺れる若者たちのアナーキーでどうしようもない青春を、ブリットポップに乗せ爽快に突っ走る。

パンクな映画の世界観に寄り添うこの一枚が、映画ファンと音楽ファンを結び付ける。

ぜひ、読んで聴いて観てみて下さい!

画像1

1.Lust For Life - Iggy Pop (The Prodigy Remix)

「ゴッドファーザー・オブ・パンク」とも呼ばれるIggy Pop。パンクな生き様の主人公にそれだけでピッタリ…!このドラムのズカズカ感聴くだけで、主人公のレントンたちが、大通りを楽しげに危なっかしく駆け抜けていくシーンを思い出す。映画の代名詞的曲。だるそうで呂律が甘い感じの歌声。「Here comes Johnny Yen again, with the liquor and drugs.(ジョニー・イェンがまた酒とドラッグを持ってやって来たよ)」という歌詞が、早くも映画の世界観の説得力を増してる。

2. Deep Blue Day - Brian Eno

下痢をした後、出した座薬型のアヘンを拾いにレントンが便器に潜るシーン。(?)←映画観てない人は激ヤバ意味わからんシーンすぎる。オェオェしながら観た。便器の海を泳ぐレントン、なぜか涼しげで美しいな…と思ってしまったけど、この深海のような静かなエレクトロのお陰なのかもしれない。南国。目を閉じて聴いてると海に沈んでいく感覚に陥る。心地良い…

3. Trainspotting - Primal Scream

Primal Screamがこの映画のために書き下ろした曲。ダークで(映画を観るとダークというか“ワル”って感じ)退廃的なインスト。1:20〜ビートが気持ち良い。堕落的。公園で犬をエアガンで撃つという最悪なゲームをしているレントンたちが目に浮かぶ。2:13〜気温が上がる。地上と海を行ったり来たりしているような音。野蛮な人々の声。

4. Atomic - Sleeper

レントンがクラブで運命の子(ダイアン)を見つけるシーンで流れる。胸のドキドキ、フォーカスがその子にしか合わない感じ、恋に落ちた瞬間というのを音で表すとこの曲になる…凄い…これしかない。バブリー。2:01〜入ってる小刻みな電子音、ドラムの焦らす感じ、“抑えきれない衝動”が詰まってる。この曲流れてる間みんなキスしてて困る。本当、めちゃくちゃキスしている…

5. Temptation - New Order

映画内でダイアンが歌っているのが印象的。幸福感。気持ちの良い朝。ヘロインでバッドトリップしているレントンの前に、この曲を歌うダイアンが幻覚で現れたりする。爽やかだけど、ビートバシバシ。歌声が優しく澄んでいる。


6. Nightclubbing - Iggy Pop

レントンたちが街に盗みに出る時のワルな音楽。ワル感、盗みに出る時の緊張感、満足感みたいなものがジリジリと伝わってくる。ギターがキュインキュインでノイジーで格好良い。静かだけど激しい。ボーカルの声凄い低い。主人公の友人トミーがIggy Popの熱狂的ファンという設定なのも面白い。彼女に「私かイギーか選べ!」と言われてたりする。

7. Sing - Blur

漂う悲壮感。これまで調子良く陽気に自由に突っ走ってきた物語も、負の局面に差し掛かる。やっぱりクスリは楽しいことだけじゃないんだ…(薬物ダメ。ゼッタイ。)メロディは美しいのに結構ノイジー。歌声も寂しげで消えそう。4:35〜ノイズが突然消え、またフッと入ってくる所とても良い。耳鳴りのような音で不穏に終わる。

8. Perfect Day - Lou Reed

ゆったりとした時間の進み。味わい深いバラード。ピアノや弦楽器の弦楽器の音が上品。穏やかなピアノ前奏は、レントンがヘロイン注射を打ち、 気持ちよさそうに息を吸い込み、床に沈んでいくシーンを思い出す。ヘロインで意識が飛んでしまったレントンのバックに、「Oh , it’s such a perfect day(あぁ、なんて完璧な日だ)」と歌うリードの声が鳴り響くのは皮肉だ…。曲の心地よさとレントンの安らかな表情に、クスリはそんなにも良いものなのか…と心底興味が湧いてしまう…ダメ…ゼッタイ…

(The Velvet UndergroundのボーカルであったLou Reed、The Velvet Underground のデビューアルバムで「Heroin」という曲が収録されているのもなんだか…運命的…!)

9. Mile End - Pulp

重たく始まり、2、3秒でちょこまかと可愛らしいリズムに変わるの面白い。歌声も楽しそうで、内緒話をしているようでワクワクする。赤ちゃんの部屋みたいな雰囲気。1:55〜幻想的な音が美しい。3:00〜終わったと思いきや終わらないの面白い。

10. For What You Dream Of (full on Renaissance Mix) - Bedrock featuring KYO

激しいビート。クラブミュージック。クラブでお酒を飲み、なんらかのクスリを口移ししていたり、キスしていたり…。近未来的なサウンド。1:48〜爆アゲ⤴︎2:53〜挑発的な歌い方が良い。ドラマチックな展開。

11. 2:1 - Elastica

めちゃくちゃ格好良い太っいベースの音に痺れる。そこにギラギラのギターが絡んでいくの良い。またこれ、レントンたちのめちゃくちゃな生活が目に浮かぶようなワル曲。女性ボーカルが気怠げセクシー。何度クスリやめようと思ってもやめられないレントンを表すような気怠げテンポ。

12. A Final Hit - Leftfield

薬物取引のためわ再びロンドンへ行くレントンたちのピリついた緊張感を、少しのオラオラを表しているような曲。1:30〜パトカーのサイレンかと思ってしまう。バシバシな電子音が、怪しげなメロディが心を焦らせる。2:50〜バグって乱れていく感じ、格好良い…

13. Born Slippy - Underworld

壮大な電子音が響く。1:59〜ビートでぶん殴られる。ボコボコ。仲間を裏切り大金を持って立ち去るレントンの心臓のドクドクか…?それとも、これから普通の幸せを手に入れようとするレントンのワクワクか。 多分どっちもがバチボコのビートに乗せられてる。Underworldの狂気を感じるボーカルクセになる。高揚感!

14. Closet Romantic - Damon Albarn

エンドロールの曲。激しく自由奔放にパンクな時間が流れていただけに静かすぎる…逆にゾクゾクする。夢見心地なサウンド。コーラス、不思議なナレーションが入って、ファンタジーな世界観に。

画像2

画像3


♦︎映画
アーヴィン・ウェルシュの同名小説を映画化したもの。スコットランドを舞台に、ヘロイン中毒の若者達の日常が斬新な映像感覚で生々しく描かれている。

監督:ダニー・ボイル
製作:アンドリュー・マクドナルド
脚本: ジョン・ホッジ
原作:アーヴィン・ウエルシュ
サウンドトラック:Iggy Pop、Brian Eno 、Primal Scream、Sleeper、New Order、Blur、Lou Reed 、Pulp、Bedrock featuring KYO、Elastica、Leftfield、Underworld、Damon Albarnが参加。


オープニングの「豊かな人生に興味はない 理由はない ヘロインだけがある」という語りに、全てが詰まっているような映画でした。

以前、このディスクレビューで「ストレート・エッジ(喫煙・麻薬・アルコール・快楽目的のみの性交渉をしないという、ロック音楽などにおける思想・概念のこと)」を学んでいたので、今回の映画を観た時、「エ!超!!!真逆!!!ストレート・エッジの人見たら発狂しそう!!!」と思ってしまった。

ストーリー自体も陽気で、テンポ良く紡がれていくのがとても面白く、パンクな音楽たちによってさらにスピード感が増していくのも楽しかった…!


「未来を選べ 人生を選べ」

「社会なんてものは存在しなかった。もし存在しても、俺にはとうてい関係なかった。」

色々印象に残るセリフが多かったな〜

今回で映画×サントラシリーズは一旦終了となりますが、いかがだったでしょうか…!いつもとは違うレビューで最初は探り探りでしたが、とても勉強になりました。

また楽しいこと考えて、やっていきます!


次回は番外編!『シューゲイザー・ディスク・ガイド』から気になった作品をいくつか聴いてみた編をお届けする予定です。お楽しみに…!

最後まで読んで下さり有難う御座いました。


サポートをしてくださった貴方には57577で貴方宛のお礼のメッセージをお送りします!