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島に流れる時間たち

燦々と照りつける真夏の季節、僕は島を渡ろうとしてた。


日々休みもなく、仕事に追われてばかりいた。
責任という重みに押しつぶされ、心も身体も疲れ切ってた。
頭の隅で微かに今の現状から逃げたいと思っていたあるとき、上得意のお客さんから聞いた話があった。
「島は時間がゆっくりで心も落ち着く。一回でも良いから行ってみんちゃい。」

気分転換に行ってみようかな。
何日か休暇をとり、遠くにいくのも季節的に疲れるので近場の島を探した。

色々探索したら、似島という島を見つけた。広島港からフェリーが出ていて約20分くらいで着くらしい。そんなに遠くないここにしよう。


広島駅には久しぶり来たな。僕が住んでいる場所はど田舎なので、人が多い場所は少し苦手だ。
路面電車で、広島港行きがあるのでそれに乗っていく。
ガタンッゴトンッと路面電車の独特な音がなんとも気持ちがいい。

フェリー乗り場につき、販売機で往復チケットを無事に購入。
平日という事もあってか、似島行きに乗る人が少ない。

天気もいいし風にあたりたかったので外へ出てみる。
すごく気持ちがいい〜! 波の音がまた気持ちよさを上昇させてくれる

そういえばチケット、ポケットにしまったなぁ。


ん?  ないぞ?

振り返ると、手すりに何やら紙切れが引っ掛かっているではないか。

俺のチケットじゃあああぁぁぁ!

走るも時はすでに遅し。ゆらゆらと海へと消えっていった。。。。

なったものはしょうがない。。。ポケットに突っ込んでた僕が悪い

と、とりあえず着くまで、海風に浸っておこう。


似島に着いたけれど、先ほどやらかしたので少々テンションは下がり気味。
でも島の街並みを見ると、ジブリ映画のような雰囲気でワクワクしてきた。

港から反対岸に行ける道があるので行ってみよう。

狭い路地を見ていると、少し尾道に似ているような気がする。


チリンチリンと後ろから自転車がやってきた。
あ、一緒の船に乗ったおじいちゃんだった。
買い物とかする時、船で行き来しているのかな、すごいなぁ

こんな小さい島でも猫はいるんだ。少しだけ目線をこちらに向けてくれてる。

しばらく坂が続き、歩いていると街から段々と緑が増えてきた。
遠くを見ると陽炎ができてて、尚更暑さが倍増する。


反対側の海が見えてきた。
下に差し掛かると、木々たちが道路側に日陰になっている、涼しい。

降りていくと海沿いに学校がある。夏休みなのだろうか、グランドで子供たちが遊んでいる。

何にしても海が綺麗。
海に何やら浮かんでいるが、牡蠣の養殖でもしているのだろう。

似島は牡蠣養殖が盛んらしい。

時計を見ると昼過ぎていた。は木陰で休みたいけどこれがまた休めるところがない。

学校なら休める場所があるから、少し遠いが向かおう。

歩いていると壁の向こうから、バシャバシャ水の音と子供たちの声が聞こえてきた。

夏休みにプールで遊ぶのは醍醐味だな。いいなぁ、もし水着があれば速攻に入るのに。
涼しそうな音を聞きながら目的地に渋々向かっていく。

学校付近にバス停みたいな場所があった。近づいていくとそれは、バス停でなくフェリー乗り場だった。反対側でも船に乗れるのか。

屋根があるベンチだったので、ここで弁当をたべよう。
さざ波を聞きながら食べるご飯はおいしい。
瀬戸内海を旅するの楽しそうだなと、思いながら弁当を食べてたら、陸に行くフェリーが停まった。

市民プールがある方向から子供たちが次々とフェリー乗り場に向かってくる

この子たちは島に住んでるんじゃなかったのか、プールに入りに船で来るんだ。
なんか子供たちの背中を見ていると、自分が小さい頃の記憶が蘇ってくる。
網と虫かご持ち、風の如く自然を走り回っていた。大人になった今でも少年心は消えていない。

夕日が見れる時間帯まで居ろうと思ったが、体力的に限界がきてた。
名残惜しいがかえろう。


半日も滞在していないが、少なからず島に住む住民たちや自然、海などに触れて、ぼくの心を幸福で満たしてくれた。

上得意さんに聞いた話がものすごく理解できた。
県内にある島でも世界が違う。瀬戸内海に浮かぶ島々が益々気になってきた。



来年はしまなみ海道を旅しようと、

帰りのフェリーで思いながら。

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