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SPINNS×島原

 《プロローグ》

今回、長崎県の島原市で開催されたSPINNSのPOP UP SHOPに運営スタッフとして参加させて頂きました。


私は山口県の出身で、普段は通っている大学のある福岡県に住んでいます。そのため長崎や島原にルーツはありませんでした。


島原を知るきっかけになったのは、大学のゼミの同級生の出身地で、その彼が今年の8月に島原で活性化イベントを行っていたため、観光も兼ねて訪れたのが最初でした。シャッター街と言わざるを得ない商店街や若者向けのお店の少なさから、田舎だなぁと思っていました。


再々になりますが、私は山口県のとある過疎地域出身で、そこは少子高齢化やそれに伴う衰退化が進んでいます。本題の内容ではないため、詳しい経緯の説明などは今回は省略しますが、そうしたまちの衰退化が進んでいるのを見て自分に何かできることはないだろうかと考えており、”地方活性化”や”地方創生”の分野に興味を持っています。


島原出身の彼(以下:T)も地方活性化やそれに関連する分野に興味を持っており、そのことについてお互いの出身地の話も交えて普段からよく話をしていました。


SPINNSは東京の原宿を起点に全国的に展開されているストリート系の有名アパレルブランドです。手頃な価格の洋服や古着、アクセサリー、雑貨を取り扱っており、私自身も中高生の時はよく購入していました。


そのような有名アパレルブランドが島原に来ることになったきっかけは、Tが行った8月のイベントが契機となって、大学のゼミの先生のお繋がりでSPINNSの方(以下:Pさん)の紹介を受け、コロナウイルスも落ち着いたことから島原で期間限定で出店する運びになったそうです。


私はTからその話を聞いて、すごく面白そうだと思い「私も参加させて!」と懇願しました。都会にあるアパレルブランドが地方の田舎町で出店したら、地元の人はどのような反応をするのか、ターゲットとなる中高生は興味を持ってくれるのか、地域の活性化には繋がるのかなどとまるで化学変化を見てみたいような気持ちでした。


また、私は大の洋服好きでコーディネートには人一倍こだわっています。洋服を見たり選んだりする時間が至福の時間と言っても過言ではありません。だからこそアパレルに携わりたい気持ちもありました。


出店が決まってから当日まで、約3週間という短期間で準備をしました。島原出身でもあるTが主に表立ち、私は一歩引いて、Tの意見を聞いて自分の考えを伝えたり、宣伝活動のお手伝いをしたりしていました。現地に赴いたりPさんとのミーティングにも同席して準備を進めていきました。


Pさんは、地域の若者に「働く楽しさ」と「地域の繋がり」をつくりたいと考えていらっしゃいます。大学や就職で地域を離れた後も関係が続くための仕組みをつくることで、若者が地域のために活動したり、将来的にUターンするきっかけになる可能性があります。時代が日々変化する中で、地域が活性化するには、時代の先端を担う若者の存在は欠かすことができません。


私も似たような考えを持っており、18歳で大半が市外に進学・就職する私の地元には若者の存在が必要だと思うし、年々出生数が減少しているため、関係人口も増やしてまちの内外から関わってくれる人を増やすことも必要だと感じています。


前置きが長くなってしまいましたが、ここからは企画当日の様子を綴っていきたいと思います。



《1日目》


午前11時過ぎに島原市内へ到着後、会場のサンプラザ万町にてSPINNSの方と合流し店舗準備に取り掛かりました。日頃から足繫くアパレル店舗に足を運んでいたため、店舗のレイアウトや洋服の並べ方などの勝手はなんとなく分かっていました。自由にやらせて下さった福岡のSPINNSの方(以下:mさん)のおかげでもあるのですが、準備の段階から楽しく行うことができました。


準備をしている最中、通りかかった方数人が中の様子を気にされていて、格好も都会風で異質な雰囲気だった私たちは、市民の方からどう見られているのだろうと気になりました。


正午にオープンし、15時過ぎくらいまでは中高生のお子さんがいる主婦の方が主に来店されていて、中には長崎市内からSPINNSのために見えられた方もいらっしゃいました。学校が終わる16時あたりから制服を着た高校生や中学生が増えてきました。


私はレジをしつつ、手が空いた時にはお客様に話しかけるようにしました。内容は一概ではないのですが、「今日はどこから来られたのですか?」、「どうやってこの企画をお知りになられたのですか?」などを切り口に、来店動機やファッション感度を探りました。


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来店動機としては、私たちが市内の高校に配ったチラシやSNSでの宣伝で知って、「洋服売ってるから行ってみよう」という感じで来られた方が大半でした。長崎市内から来られた主婦2人組の方は、何らかの方法で企画を知ったお子さんから「SPINNSやってるから買ってきて~」と頼まれて訪れたそうです。


これはファッション感度の話にもなってくるのですが、島原市内の中高生にはあまりSPINNSが知られていないように感じました。都会では有名でも、地方の田舎町ではあまり認知されていないのです。島原市内には中高生向けの洋服店はほとんどありません。普段どこで洋服を購入しているのか尋ねたり、予め用意していたアンケートの結果を見ると、「通販」や「長崎市内」が大半でした。服装も福岡の子に比べると違いがあります。


来店された中高生にとって牛柄のズボンを履いた奇抜なお姉さん(私)がどう映ったかは定かではないですが、中には服装を褒めてくださる方もいて純粋に嬉しかったです。そこからの会話の広がりで、私のセンスで申し訳なかったのですが、コーディネートのアドバイスもさせて頂きました。


17時からは高校生以上を対象としたワークショップが開催され、6名の方が参加してくれました。洋服のお畳やレジや接客をSPINNSの方から教わり、各々が活動していました。私も参加者さんと他愛のない話から参加したきっかけなど様々な会話をし、楽しい時間を過ごしました。

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19時までの営業でしたが、平日とは思えないくらいの大盛況でした。想像以上に商品が売れてしまい、次の日の分が足りるかどうか心配になってしまうほどでした。


レジ担当である私は、レジの操作のミスを何度もしていたらしく、在高との誤差が発生して違算を出してしまうという絶対にやってはいけないミスをしてしまいました。アルバイトでレジを扱っているため事の重大さは理解できます。申し訳なくて謝罪するとPさんやmさんは私のことを一言も責めることなく、逆に私の頑張りを認めて下さり、「明日はミスしないように頑張って!」と励まして下さりました。本当に優しい方たちです。期待に応えないといけないと再奮起しました。


慢性的な睡眠不足と移動疲れもあってこの日はクタクタになりましたが、沢山の人と話せたこと、疑似的ではありますがアパレル店員として働けたことが嬉しくて充実感で溢れた1日目でした。



《2日目》


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1日目同様11時から店舗作りを始めました。この日は準備の段階からワークショップの参加者にも入って頂きました。3人と1日目に比べると少なめですが、一人一人と密に関わることができました。その中で特に印象的だったのは、高校1年生の女の子です。


彼女は服装も化粧の雰囲気もまさに”JK”という感じで垢抜けていました。参加者の中で最年少でしたが堂々としていて、レジのやり方を教えながら物怖じしない子だな~と思っていました。緊張していたのか表情も乏しくあまり言葉を発する子ではなかったのですが、私が「どうしてこのワークショップに参加したの?」と尋ねると、「アパレル店員になるのが夢で…」と言っており、ワークショップの終盤には「卒業後はアパレル会社に就職して店員として働きたい!」と目を輝かせて言っていました。


今回、働く楽しさも含め、「若者」と「地域」の接点を作り、まちを出ても関係が続くような仕組みを作ることを一つの目的としていました。高校生の彼女はアパレル店員として働くために島原を出ていくかもしれませんが、今回の島原での経験がきっかけで彼女の将来に繋がるお手伝いができたのかなと思うと、ワークショップを開催した甲斐があります。とても印象的な出来事でした。


2日目は土曜ということもあり、比較的学生が沢山お店に来てくれました。大村市から来てくれた男子高校生と仲良くなって完全にカモにされてしまいました(笑)「今どきの男子高校生は生意気だね~」と負けじと言い返しました(笑)もちろん彼らとは初対面ですが、服を介して様々な会話をすることができました。そうした、新しいコミュニティの発生もアパレルで働く醍醐味なのではないかと思いました。


お店が落ち着いたタイミングで、休憩も兼ねてTとお互いが考えていることや気付いたことをディスカッションしました。普段も様々な会話を交わしますが、この日は特に濃い話をしたと思います。今思えば抽象的ではありましたが、お互い熱くなっていました。

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私事としては、2日目のレジは大きな問題なく終えることができました。お金のことはシビアな性格なので、レジ締をして下さったmさんに「バッチリだよ!」と言ってもらえた時はホッと胸を撫で下ろしました。


19時に閉店で、帰りの交通機関の時間の関係もありバタバタと片付けを終えて帰路につきました。身体は疲労困憊していましたが、充実感とやり切った達成感に溢れていて、撮った写真を見ながら出来事を振り返ったり、考えを巡らせていました。



《まとめ》


今回の企画の全体を通して、思ったことがあります。


私は、お洋服が大好きで、見ている時や選んでいる時はワクワク感と楽しさに溢れています。その楽しさを一人でも多くの人に感じてほしいと思っています。今回出店を行った島原では中高生向けの店舗がなく、購入方法として通販が主流になりつつある今、洋服を手に取って楽しみながら購入する機会は少ないのではないかと思っています。来店された方が笑顔で楽しそうに洋服を選んでいる姿を見て、私が洋服を選ぶ際に感じる楽しい気持ちをシェアできたようで嬉しくなりました。


他にも、地域との繋がりを感じながら洋服を購入できる場所を作ることが必要なのではないかと思いました。地域でのそのような体験が郷土愛だったり、ワークショップの経験が高校生の将来を形成したり、地域で活動するきっかけになるのではないかと思います。


”エゴでもいい”、pさんが仰っていた言葉です。スッと腑に落ちるものがありました。そのことから、私の好きなもの(今回でいう洋服)を「若者」と「地域」の接点を作るという目的に繋げて”地域活性”という大きな目標達成の手立てにしていきたいと考えています。


今回の経験を活かしてこれからも活動していきたいと思います。お客様やワークショップに参加して下さった方を含め、今回の企画に関わって下さった全ての方に感謝しております。長々とお付き合いいただきありがとうございました!



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