「ペンギンハイウェイ」を観てきた
この頃のぼくを、語らせておくれよ。
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原作を読んだとき、少年が次にお姉さんに会えるのは、少年が死を迎えた時なのではないかと思った。そんな悲しいことを知りながら、少年が放った最後の一節に、涙を流した。
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だから宇多田ヒカルの歌う主題歌「Good Night」の最後のフレーズ「この頃の僕を語らせておくれよ」というのは、大人になってもお姉さんに会えなかった少年が、お姉さんに語りかけるようにつぶやいている独り言だと思っていた。
けどこれは、少年が大人になってちゃんとお姉さんに会えて、本当にお姉さんに語りかけた時の言葉なのかもしれないと、映画を観た後思った。少年の放った最後の一節は、現実になったんだ!そう思ってしまうぐらい、希望的な映画だった。
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映画館で聴く音楽というのはすごくいい。当たり前だけど。「Good Night」の滑ると跳ねるの中間ようなドラムのリズムが耳に心地よかった。スネアの音で泣きそうになったの初めてである。そこに弦楽器が畳みかけてくるから大変。
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奈良の新興住宅地が舞台で、それを想像しながら原作を読んでいたのだけど、映画は思ったより奈良っぽくなかった。というのは、再現度が低いとかそういう話ではなく(実際、少年たちの乗った電車の車内広告はお伊勢さんだった。近畿圏に住んでいる人なら、ああこれは近鉄だと分かる。それぐらい細かく、リアルだった。)。
けど、画面上の明度が高くて、奈良という内陸の山際の街なのに、海が近くにあるような感じがして。実際に存在しているようで、存在していない、不思議な街の風景が印象的だった。
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少年は映画の中では最後までお姉さんが絶対だと言い続けた。結婚相手はお姉さんと決まっていると。これが今後いろんなことがあって変化していく。次の恋を初恋と思ってしまうかもしれない。けど「この頃の僕を語らせておくれ」と言う頃まで、覚えている。
語りたくなるのは、初恋の相手。初恋というのは語って終わるんだな、と思った。
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好き勝手、バラバラに感想を述べてみた。
野暮な話をすると、ウチダくんの描かれ方が思ってたのと違ってたかなという感じ。少年とウチダくんは腹心の友で、少年はもっとウチダくんのことを思いやって、信頼していた気がする。ウチダくんがノートをつけ始める過程、好きだったんだけどな(省かれてましたね)。
時をかける少女と同じで、夏になったら観たくなる映画だったよ。
ああ、夏休みが終わってしまう。どんなに楽しくても、終わってしまうのだ。
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