目には目を、イルカにはイヌを!
忘れもしない。
日本人、イルカ食べるんでしょ?
の一言に、
そーなの!?!?
と聞き返した大学の授業中。
またまたぁー 知らないフリとかしちゃってぇ
みたいな疑いの顔して、
リアリー?
とか言ってきた。
や、超リアリーだよ。
イルカでしょ?
そもそも食えんの?
ってレベルだよ?
そーいや、レトルトのご当地カレーにありそうだけど、まぁあんなもんカレーに浸かればカレー味だしなぁ...
考え込んでた私に彼女は言った。
「日本人て残酷だね」
原爆落としといてよくゆーよ。
カマカシ出すよ!カマカシ!
(*神風のこと)
とかゆーとまた火に油を注いでイルカの丸焼きが出来上がるからやめといた。
クラスには日本人が私ともう1人、たまたま隣の席に座ったカナエちゃんて言う子がいた。
4歳くらいにアメリカに来たから、なんつーか、宇多田ヒカルっつーか、そーゆー子。
あとはみんな何かしら系のアメリカ人だった。カナエちゃんもほぼほぼアメリカ人だし、実質日本人は私一人って事になるのかな...
授業は、問題だと思うトピックについてリサーチをして、それをスピーチにするというもので、内容は真面目なものからくだらないものまで。
で、その真面目な方の問題に見事に取り上げられたのがタイジ、ジャパン。
おめでとうございます。
今からくっそ叩かれます。
日本人として恥ずかしいのかどうか分からないけど、あたしゃ知らないよ、そんな場所。
え、どこ?つってググッたよ。
壇上に立った子はクジラの映像を見せつつ、目クジラまでたてちゃって。
こんな事があってはいけません!!
とスピーチに拍車をかける。
後ろの席からはクジラの映像と私を行き来する目線が痛い程感じられる。
目線っつーか、もぅ、レーザーっつーか。
後頭部狙われてね?
って思う程気配を感じる。
こりゃ、まるで公開処刑だな...
完全に縮こまった私の横で
宇多田のメンタルはカマカシみたく強かった。
「アメリカ人寿司食べるのにね。寿司はいんだね」
絶妙な声のボリュームで言い放ったあと、あとは、任せた!って顔してこっちむいた。
いくら片道の燃料しかないからってそりゃ無いぜ。
「そ、そうだよねぇ!変だよね!」
私も小声で頑張った。
手榴弾くらいの打撃を目指したけど、裏返った私の声は手裏剣レベルだった。折り紙の。
良いじゃないか、それがカルチャーなら。
エスキモーがアザラシ食べるのも怒るの?
サーモンは良いのにイルカはダメなの?
それって命を差別してるって事なんじゃないの?
ヨガパンツ履いてたし、さすがに私も一言物申したかったけど、エガちゃん並のガッツとバッシングに立ち向かう勇気は私にはない。
壇上の子が 最後の切り札''Theコーブ''という映画を流すと、槍でイルカをつついて血で海が真っ赤になっていくシーンを見るや否やクラス全体から悲鳴があがり、その悲鳴で私の身体からも血が出て瀕死の状態になった。
隣の宇多田はケロッとしていた。
だから何?
って感じで爪なんか見てる。
白目向いた私をカナエちゃんが揺すった。
「ねぇ、あの子なにじん?」
我に返って答えた。
「えっと確か...韓国系アメリカ人だったかと」
「じゃ犬食べるじゃん」
「あ、うん...」
カナエちゃんのトピックがその時決まった事は言うまでもない。
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