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わたしがきらいなこと

 人の時間を奪うということについては、自分でもつねづね気をつけたいとおもっている。

 あるとき私の不在時に取引先から連絡が入ったらしく、伝言を受けていた。内容は、うちで扱っているものを購入したい。つきましては〇曜日の午後に伺いますので、準備をお願いしたい、というものだった。詳しくは書かないけれど、私の業務内容がちょっと特殊で、他に代わりをつとめてくれるような職員はおらず、ひとりでやっている業務がけっこうある。今回の件は現金の扱いを含むものだし、直接の受け渡しであり、「月曜日の午後に伺います」と言われると、私はその人の来るのを待っている必要がある。

 昼休みみたいなものも自由にとっていて、基本的に昼食をとらないし、銀行業務など外に出る用事と合わせて、ついでの休憩をとることが多い。こんなふうに「伺います」と言われると、休憩に出ることも時間を気にしないといけないし、だからすごく困ってしまう。特に時間を指定せず、午後に、などと言われると、もうその言葉だけでストレスを感じる。

 午後って、いつ?

 その、取引先の方が来るという日、朝から先方の担当者に電話をいれて、おおよその時間を訊ねようか迷ったが、それも失礼になる場合もあるのでぐっとこらえた。13時かもしれない。改めて電話を入れてからみえるのかもしれない。

 そうやって待っていたら、あっという間に15時を過ぎた。ここしばらくは時短勤務などもしていて、通常より早く退勤しているので、せっかちな私はもう気になって仕方がない。ソワソワする。落ち着かない。この状態がとてもきらいなのだった。
 たまりかねて電話を入れると、遅くなりまして、これから… とすごく恐縮しておられる様子だった。この方は、とても丁寧で、良い方なのである。
 良い方だけれど申し訳ない、本日はもう待てないのでそれをお伝えしたところ、明日に改めますとの返答だった。午前中と仰った。

 ちょっときびしいかも知れないけれど、こういうのは人の時間を奪うことなのだ。会社によっていろいろだけれど、うちの事務所では基本的に現金を置かないようにしていて、この取引先は必ず現金で持ってくるから、入金にも行かないといけなくなる。振り込みますと言われればそれが楽だし、こちらから購入品を持っていけば、受け取った現金をそのまま入金に立ち寄れるけれど、以前この提案(持っていきます)は数回断られている。良い方なので(?)、おそらくそういった負担をこちら側にかけることを遠慮しておられる風なのだけど、この場合すべての気遣いが私にはストレスとなる。

 この方は、意図的に時間を奪うのでもないし、こちらにとって大切な取引先なので私もいろいろ言いたくないけれど(言ってる)、時々このように相手の時間を奪う人というのはいるものだ。

 悪気がなくても結果的にそうなってしまう場合もあって、この方もそうだろう。だから自分自身にも言い聞かせるのだった。気づかぬうちに、そうとは知らずに、人の時間を奪うようなことがないように、と。

 人の時間を奪う行為はさまざまあって、色んな種類の行為があるのだけれど、今日はその一例だけをあげた。

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