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鹿児島で卑弥呼に出合った

 鹿児島の旅の2日目のことを、放ったらかしにしていた。

 天孫降臨の地(のひとつ)と言われる高千穂峰のある霧島市には、行ったことがなかった。高千穂というとどうも宮崎ばかりをひいきにしてしまう。
 それでも一度はやっぱり訪ねておきたいとおもって、2日目は霧島神宮に向かって車を走らせた。

 霧島神宮の他に、霧島市内で訪ねたい場所があって、まずは参詣というので霧島神宮へ行った。ところがそのもう一か所というのが休みだというのがわかり、その後のスケジュールというのはなりゆきまかせになった。
 後日Kさんに、高千穂峰に行くとよかったのに、と言われた。そういえばそうだ、見落としていたなとちょっと後悔したんだけれど、よく思い出してみたら、計画の時点で今回は汗だくになったりしたくないなあと考え、候補から外したんだった。旅の1日目だったら、夜はゆっくりできるからよかっただろうけれど、汗だくのまま帰路につくのをさけたかったのだった。

 それで、霧島神宮。
 境内に入って、ご本殿に向かい参詣を済ませ、右を向いたり左を向いたりしてある御神木を探していたら、何人かの付き添いを伴った花嫁さんが目に入った。白無垢姿である。
 これから写真を撮るのか、ご本殿に向かって歩いてくる。そばにはカメラマンも見えた。
 神社と白無垢姿の花嫁さんというのはいい。
 そういえば昨年は、宮崎神宮への参詣の際に、結婚式が執り行われている場面に遭遇した。そのときなんか、神前式に興味を持つMっち(友人)が、あまりにうれしかったらしく、大きな声で「やったー!」と叫んだ。私たちもびっくりしたが、関係者はもっと驚いたことだろう。こちらが注目を浴びてしまい、そわそわした。そういうのを思い出して、ひとりでニヤニヤしてしまった。あの花嫁さんも、Mっちに見せたい。

朱色と白無垢がいい

 今回遭遇した花嫁さんは、前撮りなのか、それとももしかしたら何かの撮影だったのか、新郎の姿は見えなかった。当たり前だけれどとても人目をひいていて、外国人や日本人(私)から写真を撮られていた。
 その後、目当ての御神木を見つけ、写真を撮って、境内から離れた場所にある山神社を詣るなどして、霧島神宮をあとにした。次の目的地を失ったので、地図を見ながら鹿児島神宮に行ってみることにした。

 鹿児島神宮は大隅国一宮である。
 立派な神社だけれど、霧島神宮と比べ人はかなり少なかった。静かな境内を進み、本殿に向かうと大きな菊の御紋が目に入った。十六葉八重表菊だった。
 やはり社格が高いためだろうか。あまり詳しくはないけれど、よく目にするのは十六葉一重菊で、八重は珍しい。霧島神宮では気にしていなかったけれど、こちらもだった(上の画像に注目)。

 ここを出るときに、看板が目に入った。そこには『卑弥呼神社・石体神社・蛭子神社』という文字と矢印がしてあり、卑弥呼や蛭子に反応し、行ってみることにした。石体神社ってなんだろうか。
 ご由緒によると石體いわた神社といい、安産祈願などで有名らしかった(「しゃくたい」と読む情報もあり)。それはそれとして、気になるのは卑弥呼神社である。卑弥呼の大きな像があったが、ご本殿のほうははとてもひっそりとして暗かった。
 蛭子神社の方はまた少し車で移動の必要がありそうで、近くだったけれどなんとなく寄らなかった。

陽を浴びる卑弥呼の像

 旅先ではチョコレートを探すことも忘れていなくて、実は(というほどでもないが)霧島市内のもう一か所の目的は、あるクラフトチョコレートを扱う店だった。そのチョコレートはKiitosという名のメーカーで、工房は鹿屋市にある。鹿屋市まで行けないことはないが、時間的余裕がたくさんはなかったので、可能であれば霧島市内や鹿児島市内で手に入ればいいとおもったのだ。
 そういうわけで、鹿児島神宮のあとは鹿児島市内の取扱店を目指して南下した。そこはコーヒーショップで、予想していたとおり、Kiitosのチョコレートの取り扱い数は少なかった。チョコレートをいくつかと、せっかくなので味見をさせてもらっておいしかった、自家焙煎のコーヒー豆も買った。

 まだ時間がある。
 旅のリサーチで気になっていた、金峰山に行ってみることにした。ここに行けるなら鹿屋まで行けたんじゃないかというココロの声は無視。金峰山は南さつま市、鹿児島市内からは片道およそ33km、1時間弱を要する。

 このときは知らなかったんだけど、鹿児島市内から南さつま市への入口インターに向かうためのトンネル付近がすごく混む。そういった障害がなければの想定で、金峰山の頂上まで行けると踏んでいた。そもそも大型連休明けの平日だから、渋滞や混雑というのはまったく頭に入れていなかったのだ。

金峰神社の鳥居

 その想定外の混雑で、金峰山まで行くのにけっこう時間をとられてしまった(どのくらいかは忘れたが)。戻りの時間と混雑の可能性、帰りの列車時刻から、登頂はやめておいた方がいいと判断し、ふもとの神社の参詣にとどめた。古い寺のあとがあったり、ここはなんだかとてもひかれる場所だった。時間を読み間違えた自分を殴りたい。

 後ろ髪をひかれながら、鹿児島市内に戻った。
 まあ、霧島神宮にも行けたし、チョコレートも買えたし、いいおもいをさせてもらった(そういえば仕事だった)。
 両腕で桜島を抱きかかえているような形の、広い鹿児島をまたいつかゆっくり巡りたい。

 トップ画像は鹿児島神宮。


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