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唐あくちまきかあくまきか

 5月の節句菓子、ちまき。私の住む地域で食べられているちまきは、『唐あくちまき』と呼ばれています。晒布で作った袋に、もち米を詰めて唐あくを溶いた水につけて炊くのだそうです(いま調べた)。円筒型のものができあがります。
 うちの母はあまり好まないのか、子どものころにこの唐あくちまきを食べた記憶はありません。母の姉が作る『中華ちまき』をいただきものして食べていたようにおもいます。具の入った、五目のちまきです(おいしかった)。

 初めて唐あくちまきを食べたのは、父の姉が作ったものでした。円筒型のちまきを糸で切り分けて、砂糖をかけて食べろと言われました。砂糖?

 長崎はシュガーロードの歴史から、甘いものがとても多いです。料理に使う量もよそと比べると多いと思います。とくに昔の人が作る料理には甘いものが多いのです。この地においては肥満もけっこう深刻なようです。
 この、父の姉はまさに「昔の人」で、おからの炊いたのなんかおかずの域を超える甘さです。一度作るのをそばで見ていたけれど、加える砂糖の量を見て背筋が冷たくなりました。

 それで、砂糖をかけて食べろと言われましたけど、砂糖のざりざりとした食感ともち米の組合せをおいしそうと思えず、甘さ控えめにしたきな粉で食べました。伯母のものは、けっこう苦みもあったように記憶しています。

 季節の食べものですけど、そう好みませんでした。わざわざ買って食べたいほどではなかった。それが私にとっての唐あくちまき。

 親しくしている外海のTKさんからちまきを貰ったことがあります。ある年の5月にごそごそと車から出して渡してくれました。竹の皮で三角に作ってあるそれをみて、はじめは中華ちまきかと思いました。そうしたらTKさんが「きな粉で食え」と言ったので、(中華ちまきじゃないんだ)とちょっとだけがっかりしてしまいました(すみません)。あくで炊いたと言っています。そうすると、唐あくちまきなのかな?

 持ち帰って開けてみて、その色にびっくりしました。茶色かった。切ってみると、もち米のつぶつぶがほとんど残っていません。まずは何もつけずに食べてみると、叔母のものと比べ全く苦みがありません。えぐみやクセもなく、それだけで食べてもおいしいと思わせる甘みと食感です。

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 今年もいただきました。画像は今年のものです。作り方を聞いたら、5時間もいくらも炊いてあるんだそうです。このひとつひとつを、TKさんと奥さんとで包んで、炊いて、それを思うと尊いなぁとおもいます。ありがたい。

 TKさんの奥さんは、宮崎県の出身と言っていました。だからこの竹の皮の包みを開けて見たとき、ああこれは宮崎のちまきなんだなとおもいました。宮崎や鹿児島のあたりのものは『あくまき』と呼ばれ色が濃いのを知っていました(食べたことはなかった)。『唐あくちまき』はもうちょっとつぶつぶが残っているし、色づきももっと穏やかです。

 『あくまき』を食べたことがないので、はっきりとしたことは言えませんが、私はあくまき派だと思います(中華ちまきは別ものとします)。いつか機会があったら宮崎や鹿児島のものを食べてみたいです。

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