灰色

いつか終わるこの地獄にて。

灰色

いつか終わるこの地獄にて。

最近の記事

忘杯

祝杯というが、僕には祝うものなど何もない。 その代わりと言ってはなんだが、忘れたいことは山ほどある。 そんな忘れたいことの数々を昇華するために、忘杯をあげることにした。 今だけは、この一瞬だけは、全てを忘れることができるように。 こんな僕のくだらない話を酒のつまみに、 これを読むどこかの誰かには、幸福な晩酌を楽しんでほしい。 (※この記事は前述の通り酒を飲みながら書いている記事なので、 所々おかしな点もあるかもしれないが、とある人間の一面だと思ってご容赦願いたい。) 僕

    • 愛にまつわるストレージ

      人を愛するということは、どんな感覚なのだろうか。 恋をするということも、同様に。 誰とも付き合ってこなかったわけではない。 果たして、あれらが恋愛と呼べるのかは不明だが。 人を好くことが、愛することがどんな感覚なのか。 経験がないからわからないのか、 もしくはその感覚そのものが元から欠けているのか、 はたまたどこかに落としてきてしまったのか。 今の僕には、どれだっていい。 以前の記事で、 キタニタツヤという人間が作り出した音楽について触れた。 彼が作る音楽は、好い

      • カケラ

        先月、誕生日だった。 お小遣いと、数行の手紙をもらった。 「あなたのことだから、次の目標に向かって進んでいると思います。無理をしないように。」 と書かれていた。 祝ってもらっているはずなのに、 労ってもらっているはずなのに、 夏が近づく晴れ空の下で、僕の心は晴れなかった。 立ち止まらずに進めと言われている気がして。 心配してくれていること、支えてくれていること。 理解している、感じている。 でも、僕にはそれらを受け止められる場所がない。 川の水が流れるように、た

        • キタニタツヤがくれた暗闇

          メンタルの崩壊で無くしたものたち。 上の記事で色々書いたが、 唯一残ったこの僕の暗闇に今も共鳴し続けているものがある。 キタニタツヤという人間が作り出した曲たちだ。 彼の音楽と出会ったのは、 メンタル崩壊以前のことだった。 彼の音楽に沈みながら、ふと思った。 きっと彼は、暗闇を知っている。 明確にこう、という説明はできないけれど、そう思った。 もしそうでなくても、 彼が作り出した曲たちの多くが、 僕が居座るこの暗闇に音もなく入り込んできた。 彼の曲が好きな理由。

          絶望を抱きしめて

          絶望だけが、僕を包み込んでくれた。 メンタルの崩壊と共に、 僕の手から滑り落ちたものたち。 夢、情熱、愛、希望、期待、努力、勇気、その他。 唯一残ったものが、僕が居るこの絶望だった。 何も望まないことは、案外悪いことではない。 何も手に入らなくても、悲しくも悔しくもならないから。 期待しなければ、その期待を裏切られることもないのと同じだ。 僕はこのnoteに希望を残していくつもりはない。 希望じみたことは書いても。 ただ、何を絶望とみて、何を希望とみるかは人それぞれ

          絶望を抱きしめて

          歩けば、道はできる

          心が、どうにも動かない時がある。 何かを書こうとして開いたnoteの下書き画面。 読もうとして手に取り、握りしめたままの本の背表紙。 観たいものを探してスクロールし続けるNetflix。 何をしても、 何をみても、 うんともすんとも言わなくなる。 頑張って水を注いでいるのに、 肝心の花瓶の底は割れている。 どれだけ水を注いでも、 花を挿せるほどの水は溜まらない。 この割れた花瓶に水を溜めるには。 答えは難しくない。 新しい花瓶にすればいい。 これが本当に、割れた花

          歩けば、道はできる

          うつむけば、花道

          毎年、桜の花が誇らしげに咲き始めた頃、 決まって雨が降る。 耐え忍んで、また顔をあげる花もいれば、 雨に打たれ散る花もある。 僕は、きっと後者だ。 どんな季節の雨でも嫌いだが、 部屋の中で聴く雨音だけは、案外心地良かったりする。 そしてふと考えたりもする。 心が砕けて、粉々になって、 ただただ残ったこの灰を、 この雨達が流してはくれないだろうか。 何事も無かったかのように、 溶かしてはくれないだろうか。 眩しく輝く太陽が顔を隠したこの曇り空の中、 窓を鳴らす雨音に

          うつむけば、花道

          死に見で一杯

          数年前、21でメンタルをやった。 正確に言えばそれより前からやっていたのかも知れないが。 気分の落ち込みには慣れた。 閉塞感にも、孤独にも。 洗わなくていいように、紙皿や割り箸を準備しておくようになった。 3日ぶりのシャワーも、もう珍しくない。 死にたさにも、慣れてしまった。 世間一般、希死念慮と呼ばれるあいつ。 最初は闘うつもりだったあいつは、 今では仲良く隣に並んで歩いている。 どこかへ去るわけでもなく、 攻撃してくるわけでもなく、 ただ、そこに居る。 好かず

          死に見で一杯

          春生まれ、春と春風を嫌う

          目一杯、羽を伸ばした花達が我れ先にと散り出す春、 僕は産まれた。 それでも、春は嫌いだ。 嫌いな理由は、少しこちらでも触れてるので ぜひ読んでみてほしい。 僕がこのnoteを書き始めたのには、 そう深くもないけれど、割と浅くはない理由がある。 (まだまだどこかの誰かには届いていないみたいだけど。) 人の多くは、 存在した証明を残して逝きたいと思っている、 と思っている。 対して僕は、 存在した証なんか持たずに逝ってしまいたい。 名前すらも、置いて。 どこの誰だかわか

          春生まれ、春と春風を嫌う

          また、冬と別れ

          僕が住む九州は、だいぶ暖かくなってきた。 ここぞとばかりに何かが始まる春は、あまり好きではない。 そんな春もすぐに過ぎて、嫌いな夏が近づいてくる。 生きる心地が余計しなくなってくる季節だ。 僕は冬が好きだ。 少し凍えるくらいが、特に。 吐く息が白く染まり、魂を削るため息が目に見えるようになる冬。 心臓まで冷えてしまいそうな、澄んだ冷たい空気。 僕を包む服という名の鎧が、半袖から長袖に変わる季節。 夏には力強く見えた太陽が、そっと後退りした淡い青空。 擦り合わせる両手

          また、冬と別れ

          夜に沈む

          教室の机の中に、明日の課題を忘れてきたことにふと気がつくように、 ふと、誰かとの繋がりを求めてしまう。 ただこの一瞬を、ひとりで居たくないと思う。 数年前に消したマッチングアプリをまた入れた。 当時は、片手で収まるくらいに、程よく遊んでいた。 20代の若者ながらにも、大人になった。 体の関係は必要としていない。 二日酔いの心配をしながら、金の心配はせずに飲めればいい。 少しでも夜が明けるのを拒むように、夜に沈んでしまえればそれでいい。 入れたアプリは、相手との距離が表

          夜に沈む

          酒と欲

          旧友とご飯に行った。 酒を飲んだ。割と。 別れた後、またバーにいって少し飲んだ。 酔ったら、その人の本性が出るらしい。 僕の本性は、どんなものだろうか。 誰に見せることができて、どこまで信じことができるのか。 自分以外の存在を欲してしまうその本性が、 果たして本物なのか、 本当に心の底にあるものなのか、 今の僕に見定めることはできない。 酔ってしまうだけで、 そんなに世界が変わって見えるなら、 こんなに寂しいとは、きっと感じていない。 酔った時こそ、実感する。

          暗闇も慣れてしまえば

          この濃い霧を追い越してしまえば、 あの光差す水面まで浮かび上がれば、 この暗いトンネルを最後までくぐり切れば、 僕の望むものは在るだろうか。 底のない海にゆらゆらと沈んでいくように、 伸びた枝からさらさらと散る花びらのように、 風に運ばれる意志のない雲のように、 ただずっと 此処に居座っている。 どこにも行けないのか、 それとも、 どこにも行きたくないのか。 どちらかなんてどうだっていい。 はじめは暗く冷たく苦しかったこの場所も、 もう慣れてしまった。 寂しさは

          暗闇も慣れてしまえば