カケラ

先月、誕生日だった。

お小遣いと、数行の手紙をもらった。

「あなたのことだから、次の目標に向かって進んでいると思います。無理をしないように。」
と書かれていた。


祝ってもらっているはずなのに、
労ってもらっているはずなのに、

夏が近づく晴れ空の下で、僕の心は晴れなかった。


立ち止まらずに進めと言われている気がして。


心配してくれていること、支えてくれていること。
理解している、感じている。


でも、僕にはそれらを受け止められる場所がない。
川の水が流れるように、ただ流れていくだけ。




「宿題をしなさい」と言われる子どもではなかった。
「頑張れ」と言われなくても頑張れる子どもだった。
「しっかりしてるので」と言われる子どもだった。

人の頼り方がわからないまま、大きくなってしまった。
頑張らない方法を見つけることができなかった。
しっかりし続けなければいけないと思っていた。

いつのまにか心に、
自分ですらも気付かないような、
小さな小さな亀裂がたくさん入っていた。

全面を亀裂で覆われた心がそう長くは持つはずもなく、
なんでもないある日、
音も立てず、砕けてしまった。



まだ、折れた方がよかった。
折れた箇所を補強して、くっつくまで待っていればよかったから。


元の形がわからない小さなカケラ達を前に、
どうしたらいいのか分からない。
このカケラ同士をくっつけて、新しい心を作る自信もない。




果たして、
それが救いのカケラになるのかは、
きっと誰も知らない。




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