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NineCeデザイナーの名刺新調過程について【後編】

ここからはいよいよ「NineCeデザイナーの名刺新調過程について【後編】」です。前編では、使う紙を選ぶところまででした。

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載せる情報を精査する

紙を選んだ後は、名刺にどんな情報を載せるかを少し精査しました。正直言って、マストで載せなければいけないものも別に名刺にはないかなと思ったりしています。なんだったら、「白紙の名刺」みたいなのも見せ方次第で面白いのかもしれません。

とはいえ今回の名刺は、個人で仕事を受注するときにも使うことを想定しているので、以下の情報はとりあえず載せることに。

⚫︎肩書き
⚫︎名前
⚫︎連絡先(電話番号&メールアドレス)

会社用の名刺なんかだと、ここに住所なんかが入ったりしますね。

「肩書き」についてですが、僕の周りのデザイナーを振り返ると、「Webデザイナー」とか、「グラフィックデザイナー」とか、どの領域のデザイナーなのかというところまでを「肩書き」にしている方が多かったです。

でも僕の場合は「デザイナー」というひとまわり広い概念を肩書きにしておくことにしました。

理由としては、元々Webのエンジニアをやっていた背景があったり、会社員としても複雑でないものはWebデザインも行ったりするので、「自分はグラフィックデザイナーです」と限定してしまうのに少し抵抗があったというのが一つ。もう一つは、仕事をお願いする側からしたら、「Web」とか「紙媒体」とかあまり関係なくて、まるっと「デザイナーに頼みたい」という気持ちがあるだけかなと思ったからです。

「うちのサイトはWebデザイナーにデザインを頼みたい」と言っている人より、「うちのサイトはデザイナーにデザインを頼みたい」と言っている人の方が多い気がして、何デザイナーかは関係なく、それができるデザイナーなら別にいいという感じかなと。

もちろん、自分が何が得意で、何ができるかというところまで肩書きで伝えられるのが一番手っ取り早いんですが、なんとなく話をしたら「この人はWebできる人だな」とか、「この人はポスター作れるんだな」とかわかるものです。なのでそこらへんは別のところで補おうかなと思いました。

プラスアルファで載せる情報
上記のものの他に、以下の情報も載せることにしました。

⚫︎SNSのアカウント
⚫︎好きなフォント
⚫︎テーマカラーのCMYK値
⚫︎自身で作っているこのWebサイト(NineCe.info)の情報

ここら辺は、「自分が何者なのか」というのを表面上から一歩踏み込んで知ってもらうための情報です。

SNSはツイッターを載せることにしました。よく出没しているし、ラフに書き込みをしているので、着飾らない自分を知ってもらうためにはもってこいかなという理由です。

好きなフォントやテーマカラーのCMYK値を載せるのは、自分が専門性のあるスキルをもっていること、グラフィックデザインを主にやっていることを知ってもらうためです。フォントに関しては話のネタにも繋がる「遊び」としての意味合いも兼ねてあります。(せっかくなのでFilson Proを普及させたい気持ちもコミコミ)

最後に、このサイトへの導線を敷くことにしました。僕はWebのポートフォリオをもっていないので、代わりにこのサイトを運営しているというのは、以前にどこかで少しだけ話したかもしれませんが、デザインに関しての考え方や、バナー画像を通してのデザインスキルを知ってもらうにはもってこいかなと思ったのが理由です。

実際に今回、お渡しする名刺の制作過程もこの記事に記してあるので、相手が「もらった名刺をどのように作ったのか」知ってもらえたら、ちょっとだけ面白いかなとかも考えたり。

いよいよ実制作へ

ここまででやっと載せる情報が固まったので、デザイン制作を開始です。

裏面のデザイン

まずは裏面のベタを敷くところから作り始めました。何色を敷くかは、今回の名刺でこのサイトまで辿り着いて欲しいということも考慮して、NineCeのテーマカラーである「赤」を選びました。

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また、赤色は統計上、男女ともに好きな色の上位に入っているのと、視覚的インパクトが大きいことでも知られています。元々NineCeのテーマカラーはそういった背景から選定していたので、名刺にももってこいというわけです。

色ベタを敷くだけではただの色のついた紙になってしまうので、NineCeのロゴとURLも中央に併記。ロゴは自身で制作したものなので、「ロゴも作れるよ」という話題にもつながります。

表面のデザイン

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次に表面のデザイン制作開始です。一通り要素を配置したら、どこに目留まりを作っていくか考えます。

個人的には、名前と顔を覚えてもらうというよりも「デザイナー」という肩書きと顔を覚えてもらった方がいいなと思ったので、肩書きである「デザイナー(Designer)」を上部に大きく。先頭の文字をスミにしてアクセントにしておきました。暗にここから読んでね、という視線の誘導も兼ねています。

次に、自分の名前とSNSのアカウントの部分ですが、名前とセットで「NineCeというWebマガジンをやっている〇〇さん」という覚え方をしてもらいたかったので、大きくロゴを断ち落としで配置した横に名前を置きました。また、ロゴの下には、テーマカラー(ロゴの色)を表すCMYK値を記述してみました。

下部には、電話番号とメールアドレス、URLの情報関係をまとめて配置。ここの配置は名刺のセオリーといった感じです。

ここまで配置したところで、空いた余白の部分にバランスを考慮して、フォントとこの名刺のカラーチップを配置。カラーチップは、正方形で色付きの四角を並べてあるものなのですが、僕はデザインをするとき毎回使う色のカラーチップをアートボードの近くにおいて作業する癖があります。ちょっとした話のネタになればなと思い。

右側の余白には、NineCeのQRコードを45°傾けた状態で配置してあります。このアイデアは実は別の方の名刺で、QRコードを斜めにして配置していたのがとてもオシャレで、デザインとしても馴染んでいたことにヒントを得ています。

使用しているフォントである「Folson Pro」は、少し丸みを帯びたデザインの書体です。QRコードは角丸にしても最近はきちんと読み取ってくれるので、そのトーンに全体を揃えるべく少し丸みを帯びた形状にしています。

最後に角丸の形状にする

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最終的に、名刺を角丸加工してもらうことにしたのですが、これも「Filson Pro」の丸みを帯びた形状にトーンを揃えるという意味合いがあったりします。

また、第一印象を優先するというテーマがあったので、コストも抑えた上で印象的にするには角丸の選択はとても良かったのではと思っています。

なんとなく、分厚い紙だと角が尖っていても結構高級な印象を与えられるのですが、薄めの紙だと特に、角が尖っていることで切りっぱなしのチープ感が出てしまう気がしていて、角を丸くすることで、それを抑えるという理由もあります。売っているコピー用紙なども基本角が90°だと思いますが、あの感じですね。買ってきたまんまみたいな。仮に角丸のコピー用紙だったら、少し「お?」ってなりませんか?(笑)

データ入稿の前に2日寝かす

納期のある仕事だとなかなかできないのですが、今回は自分用ということもあり、納期が特に決まっていないので、制作した名刺のデザインをスマホに入れて2日寝かしました。

朝起きた時と寝る前、デザインを見直して、気に入らない部分はないか、もらった時にどこを見るか?など、頭をリセットして見返しました。

デザインは一日にしてならずとはよく言ったもので、作っている最中は結構自分の思い込みが入ってしまい、正確に印象を捉えられなくなりがちです。数日寝かして再度確認した時も自分で納得がいけば、それは今できる最善を尽くしたと言えるのかなと思うので、今回はそのプロセスを踏ませていただきました。

この段階で、全体的な配置などは特に不満はないものの、微妙にずれて見える箇所などいくつか修正をかけました。

最後にデータ入稿して終了

やっと「名刺21」さんにデータを入稿します。入稿時は、データ上で仕上がりをプレビュー確認することもでき、この段階で問題なさそうであれば安心して印刷に進んでもらえるので、助かっています。

最終的に、入稿から手元に届くまで1週間くらいかかりましたが、皆さんにお見せできる日がやっときて嬉しい限りです。

ぜひ今後会った方など、名刺を受け取っていただけたら幸いです。デザインのことをはじめ、ちょっとしたことからコミュニケーションを取るためにこの名刺が活躍することを心から願います。

最後に

前編・後編、合わせて約7000文字もありましたが、最後まで読んでいただいた方本当にありがとうございます。

NineCeではこれからも「活かすグラフィックデザイン」をテーマにして、運営者である自分の体験やTipsを更新していくので、たまに覗いていただけたら嬉しい限りです。

【運営会社】 合同会社meno
https://www.meno-inc.com/

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