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「野蛮」ではない文学のために:H.E.ノサック『滅亡』について

「野蛮」ではない文学のために:H.E.ノサック『滅亡』について

 第二次世界大戦のあとのドイツの文壇では、ひとつの大問題が共通認識として抱かれていた。あのような惨憺たる戦禍のあとで、いかに文学はあるべきか。それはアドルノの「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である」という有名な命題によく表れている。

 ギュンター・グラスが「アウシュヴィッツ以降の時代に創作しようとする作家はそれまでとは異なった小説を書かなければならない」と考えたように、アドルノのこの言

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