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「ロンドン条約」に新バージョン(1996年)があった、という話題。=外務省日本語「正文」・IMO英語全文、関連する記事・意見・論考あり=

福島のALPS処理水をめぐって社会運動も起きている一方、そもそもIAEAの査察と管理施設がおかれた福島第一発電所。これらの環境取り組みを支える国際法規が「条約」。70年代初頭に作られたロンドン条約の1996年改定に関する1996年の議定書(改正)が今クローズアップされつつある。

↑↑↑外務省ウエブサイト発表の「ロンドン条約及びロンドン議定書」

↑↑↑外務省サイトにある条約全文
日本語・正文(正文=政府機関が公式発表した訳文)、英語(IMOの原文うつし)

最近の政府関係者やこれに従うイエスマン集団と化した官僚たちの文書、これらがフェイクに踏み込んでしまったことで、公式の翻訳文がどこまで「正文」なのかまでが問われねばならない現実を招いてしまったことで、向こう10年以内に日本はおそらく三流国家以下のそしりを受けるように変わるだろう。それはそれとして、やはり何とかしたいし何とかなってもらいたいものだと思うわけである。ただ、メディア、とりわけインターネットは世相のフェイク化をより一層加速化するような作用さえ招くぐらい現実を反映している。げんなりしかねない部分は確かにある。
TwitterなどSNSはクズのような人間がヘイトを繰り広げたり、マイノリティ抑圧で憂さ晴らしをしてほくそ笑む徒党、同性セックスができるからとマイノリティを自称してみせてヘイトを展開する人格障害型の「ヤカラ」までもでてくる一方、ささやかでも連携する良心のある人たちがあることも垣間見せてくれる。このささやかなる連携こそが希望でもある。
官僚機構も一枚岩ではない。縦割り構造だという前提を逆に盾に丁寧に読み進めてみると、案外捨てたものではない部分がみえてくる。そこに権力機構のほころびも見て取れるようになる。NPOの参考文献が役立つのはそういう所だし、友人や同僚の英語力を動員して共同の勉強を進められるのならそれで充分に国際社会の一員として貢献していることにもなる。問題は検定試験で上位をとることではなくその力は全員にある必要もない。みんなで共有化できるかどうかにかかっている。
今回、その一端を紹介しておきたい。


烏賀陽(うがや)弘道さんのポスト引用>>>
@ugaya
海渡弁護士、ロンドン条約の原文読んでないな。ロンドン条約にはバージョンが二つあって、新しい方のバージョン(たしか1996年)では陸上施設からの放射性廃棄物の海洋投棄も禁止してますぞ。


「ALPS処理水」を支える条件は次の通り


福島原電廃棄物処理水(「福島ALPSの水」を発電所周辺港湾部からの海水でを混ぜて沖合1キロに放流している問題)をめぐる問題は、ALPS処理水だけを真水で希釈しているわけではないことから、様々な憶測や議論を招いていることは間違いのない事実である。
そして、IAEA(国際原子力機構)の査察が、何を意味するものなのかという事についても「お墨付き」のように政府系の発表と同調者がいる反面「いやいや本文はそう書いていない」という異論が相次いでもいて、議論になっている。その議論を覆い隠すかのように国民大衆の中では安心安全の同調圧力をかもす人たちと、そのことで余計に不安をあおられている人たち、など混乱が生じはじめている。
くりかえしわたしは申し上げているのだが、民主主義社会では、あるべき議論(たとえ、人間感情の高ぶりでとっくみあいや乱闘があったとしても)混乱と呼んではいけない。混乱状態というのは逆恨みやラベリングで住居や家族全体に責任をおしつけたり、職場をバラしたり、プライバシーをアウティングしたりということで意見や主張の妨害をする段階に双方の活動家が踏み込んだ場合(つまり個別の境界を破った場合)だ。
議論を混乱であると問題意識をすり替え国民の目を塞いでしまう事と不安を感じる人たちへ問題視する異論者への怒りに変換させる人たちの存在がどういうわけかこの社会では「悪党」と呼べないとすれば、奴隷社会や封建社会のような近代以前の権力構造的な支配がどこかに巣くっている、ということを点検しなければならないことを意味している。
まずは曇りのない目をもった人たちはこの条約を読んでおく必要がある。

環境省発表のロンドン条約をめぐる公開文書

https://www.env.go.jp/council/toshin/t063-h1506/ref_01.pdf
ロンドン条約およびロンドン条約96年議定書の概要(環境省)


https://www.env.go.jp/info/iken/h151201a/a-2-4.pdf
ロンドン議定書を巡る動き(環境省・公開文書)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-H19-008.pdf

ロンドン議定書全文(環境省・公開文書)



議定書一部の画像




高林 敏之氏 FaceBookコメント
9月3日 10:50 ·
東京電力福島第一原子力発電所のいわゆるALPS処理水の海洋放出が開始される直前に、太平洋諸島フォーラム(PIF)の専門家パネルが公表した見解。
要するに、処理水放出の安全性に関する東京電力の主張は、データの量から見てもデータ処理の手法から見ても著しく欠陥だらけであり、とりわけ生態系における生物濃縮の問題を軽んじているものであるから、そのような非科学的根拠に基づく放出計画は中止すべきだという結論である(代替案も提案されている)。また国際原子力機関(IAEA)のお墨付きも科学的に問題の大きい落胆すべきものだとしている。
PIFはかねてより、処理水放出計画に関する日本側の情報提供の不充分さを指摘していたが(既報)、PIF専門家パネルはそれが改善されないまま計画が推進されていると見ているわけである。
これは素人談義ではない。処理水放出計画により経済・社会・生活に最も影響を受ける可能性が高く、かつ歴史的背景から核の問題にとりわけ敏感であり、よってこの計画について最も相談に与るべき、太平洋島嶼諸国の国際機構が委託した専門家らによる科学的見解である。これを一切無視した処理水放出は、やはり深刻な問題だと言わざるを得ない。改めて繰り返すが、太平洋は日本だけのものではないのである。

笠原 一浩氏 FaceBook記事

5月19日 ·

おととい、日本科学者会議の福井支部が記者会見を行いました。

趣旨は、同支部が岸田政権の原発回帰政策に異を唱える声明を発表したことを記者の皆さんにお知らせするものです。

この声明自体を書いたのは私ではないのですが、中心的に起案された大学教授(政治学)が授業で出られないとのことで、

代わりに説明することになりました。

特に英検1級一次通過の私に求められたのは誤訳問題のコメント。

福島第一原発事故・汚染水(政府の説明では「処理水」)の海洋放出をめぐって、環境省のHPに公開している共同声明(G7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケ)の翻訳は、「廃炉および福島の復興に不可欠である、多核種除去処理システム(ALPS)の処理水の放出」とあります。よって、この書き方だと、「処理水の放出が福島の復興に不可欠である」と読めます。

 しかし、英文の原文を正確に翻訳すると「廃炉および福島の復興に不可欠なのは、処理水の放出がIAEAの安全基準や、国際法に準拠して行われること、放出が人や環境に害を及ぼさないこと」となり、放出そのものが廃炉や復興に不可欠なものというわけではありません。

 ついでに言うと、4月15・16日に札幌で行われたG7気候・エネルギー・環境大臣会合終了後の記者会見で、西村康稔経産大臣は、『処理水の海洋放出を含む廃炉の着実な進展、そして、科学的根拠に基づく我が国の透明性のある取り組みが歓迎される』と説明しました。が、これを隣で聞いていたドイツのレムケ環境・原子力安全相(緑の党)は『原発事故後、東電や日本政府が努力してきたことには敬意を払う。しかし、処理水の放出を歓迎するということはできない』とコメント。

 政府が、G7の共同声明をねじ曲げて訳したこと自体、政策の正しさに確信を持てないことの現れ。処理水については住民団体から重要な対案が出ていますので、それを含めて対応を考え直す必要がありますね(^^)


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