フラワーヒル・ショートストーリー　　『とってもカラフルなHappy　Xmasハッピークリスマス』

『とってもカラフルなHappy Xmasハッピークリスマス』

今日はクリスマスイブです。
神様は子供たちにプレゼントを配るため、トナカイとサンタクロースを集めました。
トナカイは赤鼻ではなく、青、黄、緑、桃などカラフルな鼻の色をしています。
サンタクロースは赤ではなく、金、銀、黒、白などカラフルな服を着ています。
神様はこの統一感のないバラバラな色が嫌いでした。
みんなが同じ色になり、同じ考えを持つべきだと思っています。
神様は大きな赤いスプレーを取り出しました。
「これからクリスマスのプレゼントを子供たちに配るため、この赤いスプレーで赤く染めるから順番に並びなさい」
トナカイは、本当は嫌でした。何で鼻を赤く染めないといけないのか。
サンタクロースは、本当は嫌でした。何で服を赤く染めないといけないのか。
神様が赤いスプレーで、トナカイとサンタクロースを次々と染めていきます。
神様が言います「トナカイの鼻は赤、サンタクロースは赤い服。そう決まっているんだ」
「みんながそう思っている。世間の常識だ。わがままは許さない。さあ赤く染まれ」
青鼻のトナカイが、鼻を赤く染められるのを泣きながら耐えています。
金色のサンタクロースは、その姿を見ていたら我慢できなくなりました。
気がついたら、神様を思いっきり殴り飛ばしていました。
そしてトナカイの鼻を染めている赤いスプレーを優しく拭き取りました。
とても綺麗なピカピカの青い鼻が見えました。
他のサンタクロースたちも同じように、トナカイの赤く染められた鼻を拭きとりました。
トナカイの鼻は、とてもカラフルになりました。
トナカイは、サンタクロースの赤く染められた服に雪をかけると、赤いスプレーがどんどん落ちていき、サンタクロースの服は、とてもカラフルな服になりました。
カラフルになったトナカイたちとサンタクロースたちは、とても嬉しそうです。
みんなでクリスマスソングを大合唱しています。
その姿を見て、神様は言いました。
「無理やり赤く染めようとして申し訳なかった。自分らしい色のままでいい」
「さあ子供たちにプレゼントを渡しに行ってくれ」
トナカイたちとサンタクロースたちは、大喜びで子供たちにクリスマスプレゼントを渡しに行きました。

カラフルになったトナカイたちとサンタクロースたちは、
子供たちにプレゼントを渡しに行きました。
男の子には、サッカーボールやロボットのおもちゃなど、
女の子には、綺麗な洋服やお人形などを渡しました。
でも、本当にこれで良いのかな～。
青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは不安になってきたので、さっきサッカーボールを渡した男の子の家に戻る事にしました。
男の子はサッカーボールを、つまらなそうに見つめていました。
金色のサンタクロースは男の子に、本当に欲しいプレゼントは何か聞いてみました。
男の子は戸惑うような表情でしたが、欲しいプレゼントを言いました。
「セーラームーン」とても小さくて自信のなさそうな声です。
「YouTubeで見てから大好きになって…古いアニメだし、僕が男の子だから変ですか」とさっきよりも自信がなさそうな声で、震えるように言いました。
「変じゃない。ちっとも変じゃない」
青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは力強いけど、
とても優しい声で男の子に言いました。
そして、サッカーボールではなく、ムーンスティック＆ロッドを渡しました。
男の子はとても嬉しそうに、ムーンスティック＆ロッドを月にかざしています。
「神様に赤く染められたくなかったように、子供たちだって世の中のイメージじゃなくて、本当に欲しいプレゼントがあるはずだよ」青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは、他のトナカイとサンタクロースに、この事を伝える事にしました。
他のトナカイとサンタクロースもプレゼントを渡した家に戻り、本当に欲しいプレゼントが何か子供たちに聞きました。
子供たちは、最初は戸惑っていましたが、優しく語り掛けると自分が本当に欲しいプレゼントを言うようになりました。
男の子らしさ、女の子らしさ、古い物、新しい物、真面目な物、変な物…そんな事に拘らず、
自分が本当に欲しい物を渡してもらえて、子供たちは大喜びです。
トナカイとサンタクロースに笑顔で手を振っています。

青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは、一番最初にプレゼントを渡した男の子の家に戻ってきました。そして本当に欲しいプレゼントは、何か聞きました。
「絶対にウイルスなんかに負けないマスクとアルコール消毒液を下さい。頑張っているお父さんとお母さんにあげたいから」男の子は涙ながらに言いました。
青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは、絶対にウイルスなんかに負けないマスクとアルコール消毒液を渡しました。男の子は本当に嬉しそうです。
もう一度男の子に「今度は自分のために、自分のために、本当に欲しい物を教えて」
男の子はモジモジしながら「ギターが欲しい」と言いました。
青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは、男の子にギターを渡しました。
男の子はとても嬉しそうにギターを弾いています。
「お礼に歌うから、聞いてくれますか」
男の子は照れ臭そうに言いました。
青鼻のトナカイと金色のサンタクロースは、静かに頷きます。
男の子は立ち上がると窓に近づき、思いっきり窓を開けました。
「僕の名前はジョン、大好きなヨーコや世界中の人たちに届くように歌います。」
ジョンがギターを弾きながら、
Happy Xmasハッピー クリスマスを歌い始めた。

ジョンの歌声は、大好きなヨーコに届いたみたいです。
そして、世界中に届いたみたいです。
みんなで大合唱になりました。