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短くて不思議な物語。

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詩よりは長く、けど短めの文章。
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記事一覧

『心の声』

『心の声』

「外側の視点を持つ事、
決して王道を歩かない、
そこには君のスペースは無い、
けれど、必ず外側を走る事で得れる、
それが何かは君が自分の力でもって、
確かめるしか方法はない、
やれるやれないかじゃない、
初めから、それしかないのだ。」

近所の高架下の壁に描かれていた、

バンクシー風の落書きを見た、

心を完全に掴まれてしまった、

瞬間、自分の内側から出た言葉。

ここの壁に描くかよ、

ここ

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閑話休題・言帰正伝

閑話休題・言帰正伝

2019.4.14の未明に天満界隈で火事があった。

その数時間前にたまたま、通勤ルートでもある、その火元になったお店の脇を通って駅に出ていた。

そして、仕事が終わり、その数時間後に同じ脇道を通ると、複数台の消防車と救急車と消防隊員で現場はごった返していた。

ここからは勝手な妄想だ。

燃えたのはきっと、俺の過去で、

その火事をキッカケにして、

俺はその瞬間、生まれ変わっていた

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『真夜中の電話』

『真夜中の電話』

( scene1 バスタ新宿・4F)

ここに来たことで、自分の幅がどれくらいなのかわかった気がする。

昔、スピーカーから流れていた東京はまだまだ遠い。

今、何か始めなきゃいけない。
とりあえず君に電話してもいいかな?

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーーーーあ、ごめん寝てた⁇

うん、うん、急にゴメンね。
あのさ、俺、本音で生きてなかったわ。

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『三角マーク』

昔、連泊していたホテルで火災があり、結構な騒ぎになった。火の手は9階建のホテルの6階から出火し、あっという間に、7、8、9階と延焼したが、やむなく地元の消防隊員の活躍により鎮火した。僕はその時、出火した下の階の508号室にいた。僕は連日の激務で疲労が溜まり、完全に眠りについていたので部屋の窓から消防隊員が入ってきたことにすぐには気が付かず、消防隊員の必死の呼び掛けにも反応しなかったので、もうコイツ

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『青春コイン』

青春とは喪失であるらしい。
ならば僕はここにある、この壺に喪失をコインとして毎晩捨てていこうと思う。僕はもう僕の人生を歩いて行きたい。他人に支配されることなく自由気ままな精神で生きて行きたいと思う。

今この場でウンコをするのだって自由だ、なんならこの壺にしてしまうのだって自由だ!自由って何だ!何をしてもいいのか!そんなはずはない、そんなことが許されるはずがないというようなことさえ自由だったらル

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『マル』

マルとの暮らしは長くは続かなかった。
マルの最期は寿命からくる老衰だった。

病院に運ばれてからも何度か発作を起こし、その度に点滴を打たれ、ぐったりとしたまま身体はどんどん小さくなっていき、意識が薄れ、獣看護士の受け応えにも反応しなくなり、2回程小さな嗚咽を繰り返し、動かなくなり、最後はカチカチに固まっていって、やがて眠る様に死んでしまった。

看取った義母は大往生だと言った。
マルは捨て猫と

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『青春』

16歳のとき、恋をした。

当時、溜まり場にしていたファミレスで出会ったその子は同い年だった。
友達の彼女だった人だった。
気は強いが何処か寂し気な雰囲気を漂わせた人だった。きっと水商売であろう特有の大人びた化粧と落ち着いた物腰があいまって僕は一瞬で恋に落ちた。彼女をどうしても振り向かせたいと思った。
しかし、まだ2人は別れて二ヶ月くらいで互いに連絡は取り合わないが周りの友人を通じて互いのことを

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『霊的互換性と魂の救済アレコレ』

救われたい人間は嘘を信じる。信じると嘘は本当になる。不思議だけど。逆に救われない人間は嘘を嘘として扱う、そこには一ミリの余地も無い。全ては理にかなったものとして嘘の向こう側にある真実には目を向けずに、あっさりと見過ごしてしまう。

ここに小さな家があるとする、ここにはあなたが住んでいる。小さな家なので小さなドアが付いている。家の中には古い暖炉が一つある。この古い暖炉はあなたが生まれる前からずっとず

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