『三角マーク』
昔、連泊していたホテルで火災があり、結構な騒ぎになった。火の手は9階建のホテルの6階から出火し、あっという間に、7、8、9階と延焼したが、やむなく地元の消防隊員の活躍により鎮火した。僕はその時、出火した下の階の508号室にいた。僕は連日の激務で疲労が溜まり、完全に眠りについていたので部屋の窓から消防隊員が入ってきたことにすぐには気が付かず、消防隊員の必死の呼び掛けにも反応しなかったので、もうコイツは死んでいると思われたらしいけれど、消防隊員は必死のパッチで声を掛け続けてくれたので、ようやく僕はゆっくりと身体を起こし
『お前な、靴だけは脱げや。』
と言ったそうだ。
僕はパジャマのまま窓から消防隊員にお姫様抱っこで救助された。
部屋に貼った消防隊進入口と書かれた逆三角形のシールをみるとあの夜を思い出してしまう。
僕はあの日、一体どんな夢をみていたのだろう。
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