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オランダの循環型社会のための建築環境

Hoi!こんにちは!
前回、前々回とオランダが循環型社会実現のために取り組んでいる事例をフードロス削減編、消費財リサイクル編に分けてご紹介しました。

オランダの環境問題へのアプローチについてはこちらの記事から↓

今回はその最終編として建築環境編をお届けします。


どうして建築環境が重要なのか

アムステルダム政府によると、2016年以降建築物の建設、解体の流れ自体は減少しています。しかし、周辺地域からの廃棄物がアムステルダム首都圏に流入していることでアムステルダムでの処理量は増加しています。

周辺国の建築からの廃棄物がアムステルダムに集結している。
画像引用:https://www.amsterdam.nl/en/policy/sustainability/circular-economy/
(monitor)

また、あまり知られていませんが、建築部門は世界のいわゆるraw material(原材料・材料)の約60%を消費しており、世界の温室効果ガス排出量の約53%を占めています。
しかしながら、移民の流入などによる人口の増加によりより多くの住宅が必要になっていることも事実で、現在建築部門は新たな需要と挑戦のフェーズを迎えているのです。

実際建築は鉱業、工業、エネルギー、廃棄物、モビリティなど、さまざまなセクターとつながっていて世界の
・全原材料の1/2
・全エネルギー消費の1/2
・全水消費の1/3
・廃棄物の発生の1/3
に影響を与えるといわれています。

オランダの取り組み

では、実際どのようにしてこの課題を乗り越えようとしているのでしょうか。一部抜粋ですが、いくつか例を見ていきましょう。

①ガイドラインの作成

Copper8
オランダのコンサルティング会社のCopper8はCircular Procurement in 8 Steps(循環型調達の8ステップ)という循環型調達を行う企業を助けるためのガイドラインを作成しています。また彼らは循環型建設に移行しようと取り組む企業に対してはより詳細なガイドラインを提供しています。
企業HP:https://www.copper8.com/en/

②循環性の測定

The Global Sustainable Enterprise System
The Global Sustainable Enterprise System(GSES)はESGとサステナビリティの国際基準を設定し、バイヤーレベル、組織レベル、製品・プロジェクト・レベルで測定と格付けを行っています。この他にもGSESは製品ライフサイクル管理、サプライチェーン管理&ダッシュボード、サプライチェーンESG、リスクモニタリングなど、様々なサービスを提供しています。

企業HP:https://gses-system.com/

③循環型デザイン

循環を意識したデザインは具体的に、予防のためのデザイン、ライフサイクルへの影響削減のためのデザイン、将来を見据えたデザイン、リサイクルされたものを使用したデザイン、二次的な原材料を使用したデザイン、再生可能な原材料を使用したデザインのことを言います。

LOSKADE
LOSKADEはオランダの北に位置する州・フローニンゲンの製糖工場跡地では、2030年までのポップアップ住宅地のプロジェクトで、ここでは実際に人々が暮らしています。例えば、木製の壁にはバイオミミクリー(生物+模倣)によって開発されたコーティングが施されていて、それらは自己修復作用があることが特徴です。
公式HP:http://www.decirculairebouwcatalogus.n

Alliander
電力会社のAllianderはヘルダーラント州のダイフェンに完全循環型の改装オフィスを開業させました。なんとこの建物は、建物全体の消費量を上回る再生可能エネルギーを作り出しているのです。
また、使用されている素材の80%はリサイクルされてきたもので、例えば、壁の断熱材の一部は古い作業着のリサイクル綿を使用しているんだそうです。
公式HP:https://www.alliander.com/en/

④技術・素材革新

Denimtex
Denimtexは廃棄されたデニムの繊維を解きほぐして壁紙に変える技術を持っています。
10年間が経過すればいつでも水の力を使ってはがすことができ、この一連の流れを何も加えたり変更したりすることなく10回繰り返すことができるのです。
またこの素材は循環性に優れているだけではなく吸音性、難燃性、調湿性に優れていることも大きな特徴です。

公式HP: https://en.denimtex.nl

Smart Crusher
Smart Crusherはコンクリートから砂、砂利、セメントを取り出す技術を発達させました。実は、コンクリート産業はセメントを生成するのに多くのCO2を排出するため、地球規模でみると航空産業の3倍も汚染の原因になっているといわれています。そのため、回収後すぐに使えるようになるセメントを生成する技術Smart Crusherの技術はとても革新的なのです。
公式HP:www.slimbreker.nl/ smartcrusher.htm

まとめ

今回ご紹介したのはごく一部ですが、オランダ内のさまざまな企業が循環型経済社会実現に向けて取り組んでいることがわかったいただけたのではないかと思います。EUが出している文書により詳細で多くの情報が載っているので、気になった方はこちらもご覧ください。それではまた次回、Tot ziens!

参考:

https://circulareconomy.europa.eu/platform/sites/default/files/nl-branding-circular-buildings.-f.pdf


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