Clemor Naomi

美術や映画を鑑賞し音楽を聴き読書を楽しむ日々を綴る。

Clemor Naomi

美術や映画を鑑賞し音楽を聴き読書を楽しむ日々を綴る。

最近の記事

〜断片の連なり⑨〜

「マルセル・デュシャンと日本美術」 一昨年10月から12月にかけて東京国立博物館で開催されていたデュシャン。 150点の展示で見応えがあった。 あまり人気がないせいか、ゆっくり鑑賞出来た。 実はレディメイドなるものに、無機質な胡散臭さを感じ反発していたのだが、人の薦めもあり観に行った。 20歳半ばで辞めた数点の絵画に圧倒され、あっさりと悪いイメージは払拭された。 チェス・プレイヤーでもあるデュシャン。 チェスを題材にしたものも印象的だった。 渡米した後にマン・レイと出

    • 〜断片の連なり⑧〜

      今回は美術、映画、本の紹介ではなく、最近感じたことをぼやきたいと思う。 コロナ禍によって、急激な生活の変化に強いられ、在り方がいきなり変わった。 そして、一部のものは順応し始めている。 出勤日が減り、在宅勤務に代わり、ワークスタイルもかなり変わり、外出も出来ないので、友人達とも会えず、ライフスタイルがまるで変わった。 休日は美術館が行けないので、読書の比重が高まった。 家にばかりいるとリフレッシュ出来ないので、植物の存在も欠かせない。花は切らさないようにし

      • 〜断片の連なり⑦〜

        「短編画廊 絵から生まれた17の物語」 編集 ローレンス・ブロック 訳 田口俊樹 アメリカの画家エドワード・ホッパーの絵画に惹きつけられた作家ローレンス・ブロック。 「短編画廊」は、ホッパーの絵から着想して小説を生むというアイデアをローレンス・ブロックが生み出し、作家に依頼して編集したもの。 彼の短編も含めて17人の作家で構成されている。 その中には、名だたるスティーブン・キングも。 エドワードホッパー (1882年〜1967年) エドワード・ホッパーの絵画

        • 〜断片の連なり⑥〜

          芸術テロリストと呼ばれるバンクシー。 平和を象徴する鳩が、防弾チョッキを纏う。 ドキュメンタリー「バンクシーを盗んだ男」 イスラエル人とパレスチナ人の居住地区は、巨大な壁によって分断され、日常生活に過酷な影を落とす、現代のアパルトヘイト・ウォールと呼ばれている壁がある。 パレスチナ ベツレルム ウエストバンク地区のイスラエル居住地区を隔てる分離壁に、ステンシル画や騙し絵を生み出した非暴力のレジスタンス、バンクシー。 消費、政治、文化、倫理、戦争について、シニカルな

        〜断片の連なり⑨〜

          〜断片の連なり⑤〜

          「ルシアンの青春」ルイ・マル監督 音楽ジャンゴ・ラインハルト 1974年公開 青春映画ではなく戦争映画。 戦争というと被害者の話が多いが、これは加害者側の話である。 第二次世界大戦の末期、フランクの片田舎で育つルシアンは病院の用務員をしているが、若者にとっては退屈な毎日。 父が捕虜になり…母は生きていくために地主の愛人となり暮らしている。 地主は良心の呵責があるせいか、ルシアンが家に居るのを嫌がる。 そんな居場所のない道徳観念の低い環境下に置かれた無教養な素朴な青年は

          〜断片の連なり⑤〜

          〜断片の連なり④〜

          今回は、去年の秋に鑑賞した「バスキア展メイド・イン・ジャパン」について。 アンディ・ウォーホルは芸術家というより、商業的に受けを狙っている感があり、どうもインダストリアルデザイナーという認識が強い。 ウォーホルのバックアップがあったらこそ、バスキアの存在が浮き上がったのだが、映画「ファクトリー・ガール」で心証を害したこともあり、個人的にイーディ・セジウィックが好きなこともあり、冷淡な印象は否めない。はてさてジャレッド・レトが演じる伝記映画「Warhol」は日本で上映したのだ

          〜断片の連なり④〜

          〜断片の連なり③〜

          今回はフランソワ・トリュフォー監督「華氏451度」S・F嫌いのトリュフォーの珍しい一作。 今の時代とは違いリアル感が全くないレトロ感たっぷりな仕上がりで、美術や衣装がモダンです。 原作はレイ・ブラッドベリ。活字の存在しない未来の管理社会を描いています。 「華氏451度」映画1966年公開 ファイヤーマン、ガイ・モンターグは毎日書籍を焼き払う。 未来の消防士は建物火を水で消すのではなく、焼却する焚書が任務。 読むという行為が違法なこの社会は、思想を徹底的に排除し管理し、人

          〜断片の連なり③〜

          〜断片の連なり②〜

          2回目の投稿になります。今回は、かなり厄介なジャン=リュック・ゴダールです。ゴダール監督には珍しいサイエンス・フィクション。60年代はS・Fが目白押しでした。今回紹介する「アルファヴィル」1965年公開を筆頭に、1966年はトリュフォー監督「華氏451」、アメリカでは、同年「ミクロの決死圏」、1968年はキューブリック監督「2001年宇宙の旅」が公開されました。最近のS・Fに比べるとリアル感はないですし、エッジはきいてませんが、キュートな世界観です。 「アルファヴィル」

          〜断片の連なり②〜

          〜断片の連なり①〜

          今日初めて投稿しますが、勝手が分からないので慣れるまで時間がかかりそうです。笑 今回は、心がざわついた時にリセット出来る「木を植えた男」を紹介したい。フレデリック・バックが、5年の歳月をかけてアニメーション化した、淡々とした男の地味なストーリーで、原作はジャン・ジオノ、1953年に刊行された。寡黙な男は不毛な荒涼とした土地を、たった一人無償で木を植え続ける。何度も災害にあうが、孤独の中で培った不屈な精神で、やがてこの男の毛髪に白が混ざる頃、ようやく実を結ぶ。この土地に住む者

          〜断片の連なり①〜