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〜断片の連なり④〜

今回は、去年の秋に鑑賞した「バスキア展メイド・イン・ジャパン」について。

アンディ・ウォーホルは芸術家というより、商業的に受けを狙っている感があり、どうもインダストリアルデザイナーという認識が強い。
ウォーホルのバックアップがあったらこそ、バスキアの存在が浮き上がったのだが、映画「ファクトリー・ガール」で心証を害したこともあり、個人的にイーディ・セジウィックが好きなこともあり、冷淡な印象は否めない。はてさてジャレッド・レトが演じる伝記映画「Warhol」は日本で上映したのだろうか。
デヴィッド・ボーイが演じたウォーホル「バスキア」は、響かない表情が酷似していた。
「真夜中のカーボーイ」のパーティーシーンに登場するウォーホル率いるヴェルヴェット・アンダーグラウンドも興味深い。

ウォーホルはこのぐらいにして、バスキアの話に移ると、「バスキア」以外でも、ドキュメンタリー映画「バスキアのすべて」やジム・ジャームッシュ監督「バスキア、10代最後のとき」など少なからず、題材として取り上げているのは影響力があるからだろう。
生前は爆発的に成功したが、死後は評価が下がったのは残念だった。

本題にはいると展覧会はとても良かった。

ジャン・ミッシェル・バスキア。
バスキアの美意識は上手く描くというところではない。
内側から勢いよく迸る火山噴火のような圧倒的な描きたいという気持ちを途切れることなしに創作する。
一見、粗野で稚拙に見える絵画や暴力的な作風は、人種差別、鬱積した社会の構図を現し、歪んだ顔は偏見に満ちた人の顔をそのまま写しているような、社会に対しての憤りを描いていた。
常に社会情勢を注視し、メッセージを絵画を通して、独特な記号と文字を書き入れる。
描きなぐった絵画の絶妙なカラーリングは激しい題材を和らげていた。
カラーはバスキアの愛か…。
当時にはない一見稚拙な絵画が認められたのは、オリジナリティーと新しさだけではないと思う。

心を揺さぶられたからではないだろうか。
心を揺さぶるメッセージがあったから。
アートはメッセージがあってこそ、アートだと叫ぶバスキアの声がした。

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