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【実話ホラー】神様から残念なお役目を任される残念な人

霊感強めの人は、たまに神様から仕事を任されてしまうことがある。地鎮とかならカッコいいが、巫女体質の私の場合は、雑用みたいな損な役回りをさせられることが多い。

今回は、そんな「カッコ悪いうえ、嫌な思い出しか残らない」残念な"お役目"を果たすことにさせられた話を2つ紹介する。

【YouTuber退治】

東京都港区赤坂にある気品のある神社に参拝した時の話である。

有名な神社だが、平日の昼間なので、それほど混雑もしていないだろうと安心していたのに、最悪のタイミングで訪れてしまったようだ。
男女3人組がスマホで撮影をしながら、境内で騒いでいた。
YouTubeの動画撮影をしている様子だ。
参拝の列に並びながら、友達をどついたり、大声で話したり、左右にズレたり、戻ってきたり、走ったり、なんとも落ち着きがない。
大きく列の右にズレていったので「参拝しないのかな?」と様子を見てから歩を進ませたら、女子大生が「あー」と大声を上げながら戻ってきたら。
続けて私に向かって「ばーーーか」と言ってきたので驚いた。
残り2人の男女も「あ!?」「ウザっ」と、右の方向から文句を言っている。そんなに不満なら「すみません。先並んでたんで」と一言言って戻ればいいものを、それもしないで睨みつけて悪態をついている。

・・・なんなんだ、こいつらは・・・?
しかも、そんな頭の悪い動画を撮って、何が嬉しいんですか?
これが巷で噂の"迷惑系YouTuber"というやつか。境内に、邪気まみれの化け物がいるかのようだ。ちなみに、幽霊や妖怪の方が礼儀正しいことが多いので、この3バカトリオは、それ以下なのだ。

前の人の参拝が終わり、私の番が来たので、とても嫌な気持ちになりながら、参拝を済ませようとした。その間、右後方から「バーカ」などと罵る声と下品な笑い声が、ずっとしていた。
「参拝するなら、おとなしく真っ直ぐ並べ!」と面と向かって言いたかったが馬鹿はとにかく相手にしないのが一番と、早々に境内を出ることにした。

そんなわけで、初めて来た神社で、とても嫌な気持ちで参拝をする羽目になってしまった。
・・・ここの神様は私のことが嫌いなのかな?

気を取り直して、とっとと帰ろう。
一番近い地下鉄の駅はどこかと、Googleマップを開いたら、指がぶつかった?この神社の社務所の電話番号が出てきて、危うくかけてしまうところだった。
「えーーー!?何?電話っー!?」
Googleマップに電話番号が登録されていることも気にしたことがなく、ここから通話もしたことないのに何故、今出る???
一瞬パニックになったが、啓示がパンっと降りてきて、即座に理解した。
「ああ、あれだ!そうか!"通報"か。」
過去にも、こういう「お役目」をさせられることがあったのでピンと来た。

振り返ると、境内で騒ぎ、参拝客に迷惑をかけている迷惑なYouTuberらが社殿の前にたむろしているのがまだ見えたので、そのままポップアップしてきた電話番号にかけたら、社務所に繋がった。

社務所からも、迷惑系YouTuberの群れが見えたようで「ああ、あの集団ですね。ちょっと、注意しに行きますね」と職員の方が動いてくれた。
やはり無許可で撮影していたようである。

神様も、迷惑系YouTuberを何とかしたかったのかもしれない。


ちなみに「神様のお役目を引き受けると良いことがある」のだそうだ。
この事件の2週間後、奇跡的なことが起きて
臨時収入30万円と、安定した仕事をゲットできた。


嫌な顔をしないで・・・って(しちゃったけど)、絶妙なタイミングで任せられた仕事は、投げ出さないで、ちゃんと取り組むと、それなりに良いことがあるようだ。



次の話は、もっとショックなお役目をさせられた時のエピソードである。

【彼らには一体何が見えていたのか】


一時期「将門の首塚」に頻繁に行っていた時期があった。東京駅周辺に用があるときは、必ず立ち寄るようにしていた。

ある日、私の目の前に、とても嫌な気を放ちまくる50代の男女のカップルがいた。
身体を取り巻くエネルギーの重さ、ヘドロのような不純さからして、何かしら詐欺などに関わっていそうな雰囲気を醸し出している。人相にも笑顔にも、なんとも不思議な下品さが滲み出ていて、すごく楽しそうに歩いているものの、見ているこちらにはナメクジのような、重苦しい嫌な気しか流れてこない。身なりは整っているのに、爽やかさの欠片もないのだ。
こんなストレートにヤバそうな雰囲気を醸し出している人なんて、滅多にお目にかかれないので強く印象に残った。

その2人の横を通り過ぎ、将門の首塚に辿り着いた私は、石像の蛙ちゃん達を眺めた後、首塚に手を合わせて、将門様にご挨拶をした。

帰ろうとした時、先ほどのカップルと参道で真正面から鉢合わせた。
カップルは私と目があった途端、金縛りにあったように硬直し、私が何にもしていないのに
「う、うわ〜〜〜!怖い!怖い!怖い!」
「ひいい。ここ、見るのやめよう」
「うわー!」と叫んで、慌てふためいた様子で、走って逃げていった。

・・・何があったのっ!?

首塚にはサラリーマンが2、3人いたが、
彼らはこの光景を見ていないのか?大声をあげて去っていったカップルにも、私にも誰も気がついていないのである。何事もなかったように静かに佇んでいたので、私が何かやらかしたわけでもなさそうだ。

あのカップルには、一体何が見えていたのだろう???

(しかし、よくわかんないけど、さっきのはショックだったなあ)と心の中で思った瞬間、啓示がドーーーーーンと降りてきた。
「お前ならわかるだろう」と、一言。
ああ・・・、わかりました。
これ、悪人を追っ払うためのお役目の一種で、憑依体質で巫女体質の私なら理解出来てショックも少ないだろうから、やってねってことだったかあ。
私は何かの依代になっていたのだろう。
でもね、ショックですよ、さすがにね。
なにもしてないのに、恐れられ、悲鳴あげて逃げられたらさ。
うーん、でもまあ、お役目ならば仕方ないし納得だ。はい・・・。

その後も何度か首塚には通ったが、怪現象は、これきり起こらなかった。

再開発で首塚が新しくなってからは、一度も行っていない。氏子らにも首塚の再開発は相当反対されていたようで、工事前には「事故」「祟り」にまつわる新聞コラムが敷地内に貼ってあったものだ。

少し鬱蒼とした雰囲気の昔の姿のほうが「首塚」らしい厳かな雰囲気があってよかったので、明るく風通しが良くなってしまった今の姿は見たくない。
「将門の首塚」は、荒俣宏先生の名作で、第8回日本SF大賞を受賞した『帝都物語』に登場する聖地なのだ。高校生の時に『帝都物語』が大好きになり、全巻読破した私は、やはり新しくなってしまった首塚は、永遠に見ないほうがいいのかもしれない。


不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。