幸田露伴の随筆「蝸牛庵聯話・餅②」
餅を語る文に、古(いにしえ)に束晳(そくせき)の「餅賦」一篇がある。束晳,
字(あざな)は廣微(こうび)、晋の武帝(西暦二百七八十年)の時の人である。漢の踈廣の子孫であって、踈の字の足を取った束を姓とする。学問を好むことで博士の曹志の称えるところとなり、また古(いにしえ)に通じることで司空の張華の推薦するところとなる。太康二年に汲郡で竹書が数十車発見されると、晳は著作に携わっていることにより竹書を見ることを得て、難解な竹書を解読したと伝わる(「晋書・束晳伝」)。これによって