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【小説】フラッシュバックデイズ 23話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

23話 インド編③ ガンジス川で一服を

ニューデリーで数日観光を楽しんだ後、俺はガンジス川のほとりに位置するバラナシに行くことにした。
バラナシと言えばインド。インドと言えばバラナシと言っても過言ではないインドを代表する場所だ。
バラナシまではニューデリーから半日かかるらしいので、金のない俺は当然一番安い交通手段の寝台列車で行くことにした。
ホームレスのたまり場のような駅のロビーで座り込む人達と一緒に座って待つ。ロビーのコンクリートは固いが冷たくて気持ちよかった。
やはり時間通りに来なかった電車は本当にバラナシ行きか不安だったので、周り何人かに聞き急いで乗り込んだ。
インドの寝台電車でバラナシに、、いかにもバックパッカーらしい風情がある移動手段のように聞こえる。実際この状況に身を置いてる自分に少し酔いしれていたが、お世辞にも快適と呼べるものではない。
バラナシへの期待感と地球の歩き方を読みながら長い時間をやり過ごした。

バラナシの駅を出ると相変わらずインド人が遠慮なく声をかけてくる。俺のリキシャに乗らないか。俺の方が安いぞといった具合だ。彼らも金を稼ぐのに必死なのだろうが、一服くらいさせて欲しい。
俺はリキシャの群衆を撒き、昨晩仕込んでいたガンジャ入りのマルボロで一服した。
俺より細い手足でリキシャを漕ぐ一回りも年上の男の背中になんだか罪悪感を感じながらバラナシの中心部のロータリーのような所で降ろされる。
ロータリーは人とリキシャで溢れ活気に溢満ちていた。テレビや写真で見たことあるようなインドらしい場所だった。俺はバラナシにいる自分に高揚感を覚えた。
とにかくガンジス川を一目見たくなり、目の前に広がる扇状の街へと歩き出した。
バラナシの街は細かい路地が入り組んだ巨大迷路のようだった。
地面の端にはごみが散乱し、飲食店や商店、住宅、寺院などがランダムに現れる。アップダウンを繰り返し、一度、角も曲がれば角の生えた牛が現れたりと、油断できない。
子供たちは当たり前のように小銭をせびってくる。聞き覚えのある日本語で店へ呼び込もうとする男達を振り払い、とにかくガンジス川を目指して歩いた。
もはや方向感覚がなくなってきたが、ふと路地の先が明るくなっている所を抜けると視界が開けた。

ガンジス川だ。
パラソルが立ち並ぶ中央のメインガートを目指したはずがいつの間にか端の方へと来てしまった為、人気のないガートだったが間違いなく目の前に見えるのはガンジス川だった。地平線が見える海のような大きな川は壮大だった。水は濁って汚いがインド人が聖なる川と称し、宗教的に信仰するのもなんだか少しだけわかるような気がした。
路地の喧騒が嘘のように人気のない落ち着いたガートで俺は階段に座り、ガンジャ入りのマルボロで一服した。
暑いながらも風が心地よく、俺は寝っ転がり空を眺めた。
ガンジャの効きも相まって、インドのバラナシに溶け込んでいくような心地よさを感じた。

つづく

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