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粗野で無節操、でも憎めないヤツだった飼い犬「タロさん」

父が同僚からタダでもらってきた、ただの雑種の雄イヌ、 「タロさん」


 実家にいたころ、「タロさん」と名付けた雑種の犬を飼っていた。
タロさんが家にきたのは私がまだ10代のとき。

子犬の頃に父が同僚から譲り受けた「ただの雑種犬」。

 タイトルの〝飼い犬〝を〝~愛犬″としなかったのは、彼は「そういうタイプの犬」ではなく、「愛犬と私のキラキラストーリー」でもないからだ。

「そういうタイプの犬」
「キラキラストーリーではない」


 犬を飼うのは初めてだった。

 今あるような「飼い犬教室」などは無かったと思うし、あっても行ってないと思う。

しかし、素人のしつけでもそれなりに言うことを聞き、一通りのことはわきまえ、噛んだりなどのトラブルはなかった。

とはいえ、如何せんヤンチャで粗野、無節操だった。


女性好きで、弱いモノには虚勢を張るが、実は小心者…


女性が大好き。
人も犬も。


散歩中、よその穏やか系雄イヌに対しては虚勢を張るが…


強そ~な大型犬と鉢合わせると…

気が付かないフリ。


押さえがきかないタロさん


 散歩が足りなさそうなとき、庭に放していることがあったのだが、(今じゃ通報されるかも。人口が少ない地域だったこともあり、防護柵はあったもののそれを押しのけて)スキあらば逃走しするのだった。

 私はコツを得ていたので、帰宅時に彼が出てくるとまず玄関に閉じ込め、その間に自転車を納車していたが、姉はよくしくじっていた。


何やらよそのお宅を廻り、連れ出せそうな仲間を連れだす。


アバウトな飼い方をしているお宅は他にもいたのだ。



 しかしこのように思いっきり駆け回っている姿を見るのは何かうれしかった。
イヌ本来の運動能力を発揮しており、ストレス発散するのは大切なことだ。
(本当、今なら通報される…)

 
一通り遊び、気が済んだら帰ってくる。



しかしオールで遊び、帰らないこともあった。



そして夜明け頃に朝帰り、ということもしばしばあった。




15年生きたタロさん



 こんなタロさん、15年も生きたのだった。

とはいっても最後の数年は私も姉も結婚し、家を出て、最後看取ったのは両親だった。

私たちに子供が産まれ、自分の役目はもう終わった、とでも思ったのかな。


 犬を飼ったのは後にも先にもタロさんだけだった。
今でも毛並みの手触りや表情が思い起こされる。

ヤンチャで粗野な雑種犬タロさん。


でもかわいく、憎めないヤツだった。