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「自然と調和する文化装置をもっと増やしたい!」

こう話すのは、音という文化装置を通じて自然と人がつながる大切さを訴えかけている渥美 幸裕さん。「邦楽2.0」というプロジェクトを通じて、ギター1本で日本の伝統音楽を奏で、現代に融合させています。

渥美 幸裕さんは、「都市と自然が共存、両立できる音楽を伝えたい。」と、
街の中では聴きづらいかもしれない伝統音楽を「邦楽2.0」として都市でも聴ける形に昇華しています。

今この瞬間、鎌倉にいる私は、最高の天気と心地よい気温を味わっています。でも、明日何があるかわからない。そんな時代に生きていますよね。この冬は寒さのために感じにくいかもしれないけれど、確実に気候危機は悪化の一途を辿っていて、世界を見れば、アマゾンやアメリカでは日々山火事などの自然災害に見舞われている。冬が明けた春には、世界のあらゆるところで、変化が明らかになってくると言われています。水不足、食糧不足、燃料不足、、、そうなれば人々は水や食料のある地域へ流れていく。地域間紛争も容易に想像できる。
だから今世界中の人々がそれぞれの足下を見直し、できることを一歩一歩進めている。メディアを通じて声を挙げるグレタのような若者たちもいれば、署名活動を通じて行政に訴えかける人々、普段の暮らしの中でできる小さな一歩を進めてる人々など様々。

この人、渥美 幸裕さんは、音という文化装置を通じて、自然と人がつながる大切さを訴えかけています。

「文化的に自然を捉えて生きるという文化装置が日本には少ない。」と話し、「邦楽2.0」というプロジェクトを通じて、ギター1本で日本の伝統音楽を奏でる。尺八、三味線、箏などあらゆる師匠に学び、技術を捉え、江戸以前と明治以降を繋ごうとしています。

なぜそのような稀有な活動をしているのか、渥美さんに聞いてみました。

伝統邦楽には、都市化以降のリアルが入っていない

伝統邦楽は産業革命以前のものであり、工業化する前の日常感、環境の中で作られたため、自然や自然に還元されるようなテーマを掲げている。それらは日本の持っている環境との関わり合いを通じて仕事や芸術の創造につながっている。

ギター1本で新しく日本の音楽を形成するのは、日本の良いところを捉え直した上で、戦後以降の現代にあって”リアル”だと感じているようなものをきちんと受け入れ、江戸以前と明治以降をつないで体現したいという気持ちから。
日本はかつてテクノロジー大国の一つであり、(補足:最新の調査では、IT技術や環境対策は世界に比べて後進国だと言われているけれど)それによって自然との関わりを変えてしまった部分がある。だから、その”リアル”を持っていたいと思っている。
伝統邦楽には、都市化以降のリアルが入っていないから、リスナー環境ではさらに実感しづらい。ギターは都市音楽や世界にも含まれているポピュラーな楽器だからこそ、江戸以前と明治以降をつなぐことができる。だからこそ自然と都市をつなぐ新しい日本の音楽のあり方を提案できると思うんだ。」

世界平和につながる

「邦楽2.0を考えるきっかけになったのは、海外経験で日本のあり方を音楽的に突きつけられた。ブラジルにはブラジルポップ、アフリカファンクなどアフリカルーツを持ったまま今に取り入れられた姿がある。日本でもそれはできる。世界各国の特徴を音楽を通じて認識し合うことができると、それぞれの地域性、民族性が音楽によって理解しやすい。違いがあるから素晴らしいということを証明できる。違いを認め合うことが素晴らしい。そしてそれが世界平和につながる。」

日本の音楽は呼吸の音楽

「西洋圏の音楽はアフリカベースだからハートビート。つまり心臓の鼓動。
一方で、日本の伝統音楽は、”間”が一定ではなく、伸び縮みする。それは呼吸がベースになっているから。そこに”間合い”が生まれるのです。どの芸術文化も、日本では実は”呼吸”を大切にしています。自然環境が豊かだったために、自然のリズムが一定の基準には収まらない。八百万の神と言われるように、森の木々が揺れている感じはランダム。つまり、日本という、自然とのつながりが深い国においては、伝統音楽も一定のリズムを刻むわけではないのです。」

都市化の中で失ってきた自然のリズム感

「僕自身も東京から京都に引っ越して生活の違いを感じてた。このような”揺らぎ”を東京では感じていなかった
自分たちがどういう環境で生きてるかによって、知らない間に常識になっていることが良くも悪くも、文化になる。
マシーン・クロック、時計などの自動化された装置によって、気付かぬ間に機械のテンポに合わせて生きている。それが都市化の一つの合理性でもある。それによって、「雨が降ったから体調悪く遅れます。」という言い訳は受け入れられずらくなる。どんどん自然のリズムとは乖離していく。つまりそれは人間社会の中だけで物事を完結させていることになっていくということだと思う。」

自然とのつながりを大切に思う気持ちを「邦楽2.0」に詰め込み、精力的に活動する渥美さん。伝統音楽に流れるエッセンスを様々なアプローチで世界へ広めていっています。ぜひご支援ください!https://atsumiyukihiro.net/
https://www.facebook.com/yukihiro.atsumi






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