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【唯一続いていること】出会って13年目の夫との仲⑧〜心奪われる〜

この記事では、飽き性な私が唯一続いている夫との仲について、出会った頃の出来事と感情(13年前の記憶)を言葉にしてみています。

前回のあらすじ

初めて2人で出かけると、彼といる時の自分が整うことをほぼ確信した。


心奪われる

夫(当時はまだ友達)をなぜ好きかと聞かれると好きだからとしか答えようがないのだけれど、いつ好きになったかについてはこれだというものがある。

何年経っても色褪せず、はっきりと思い出せる。




初デートの後の私たちといえば、自然と2人でいる時間が増えていった。
どちらが誘うというわけでもなく、当たり前のように次があった。

ただし関係性は、変わらず友達。
彼はどう思っていたかはわからない。
私は、そもそも恋愛回避型の思考を持ち合わせていたから、彼との関係性を心地よく思っていた。

しかし。


その日は、ファーストフード店で作戦会議をしていた。
2人で1つのフライドポテトを摘みながら、箇条書きにした課題リストにひとつずつ向き合う。

世間知らずな学生だったから、とったこともない見積もりをとってみようという話になり、彼が電話をすることになった。


私は今までの自分を疑った。

彼の、電話をする姿。

話しぶりから、別に慣れているわけでもなければ、口達者なわけでもない。

なのに堂々としていて、大人相手なのに先輩や後輩とも態度が変わらない。

それでいて全然偉そうじゃない。
丁寧な言葉、ゆったりとした声のトーン。

少しだけ横を向いた顔から鼻筋がすっと伸びて大人っぽくて、
その奥に見える頬から顎にかけての線は、私が見たいと思ったそのまま、答え合わせのようにバランスの良い位置にあった。
そして、手前で携帯電話に添えられた手が、とてもしなやかで美しかった。

彼とは既に出会ってから1年経っていたから、いわゆる一目惚れ、ではない。

けれど見惚れたことに間違いはない。
どんな男前にも全く興味がなかった私が、である。

マニアックな視点で理解されないかもしれないと思い、この話を誰かにしたことはない。
友人にも、親にも。
彼(今の夫)にも。
ずっと秘密にしてきた。

けれど、最近になってちょっと気が変わった。
もう13年経つから、良いよねって思って。


私は多分ここで心を奪われた。


つづく

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