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子ども優先の生活をしていたら、あるバンドの新しい聴き方を発見した。

この前、あまりにも仕事が忙しくて、保育園のお迎えが遅れそうになったことがあった。
ゆっくり夕食の買い物をしている暇もないので、その日は夕食をコンビニで買って帰ることとした。

急いで子どもたち(4歳娘、2歳息子)の好きそうな食べ物を選び、保育園に向かった。ぎりぎり間に合いほっとして家に帰ったのであるが私はそこではっとした。

自分の分の夕食を買い忘れているのだ。

あまりにも慌てていたので、子どもの食べる物を素早く選ぶということに夢中だったからそうなった。しまったなと思いつつ子どもの夕食の準備や、やるべき家事を進めた。

そうこうしていて落ち着いてくると、私は子どものことを優先するようになったのだなと自分のことながら不思議な気持ちになった。

私は3食しっかり食べるというポリシーをもっていて、普段はそれを疎かにすることはない。

しかし今回は自分の食べることを忘れても、子どもの物はちゃんと用意できた(コンビニ飯だが)ということについて、自分もいよいよ親になったのかなと感じた。

子どものことが最優先ということが普通になった。子どもが産まれたばかりのころはその限りではなかったので、親として少しずつ成長できているのかもしれないとちょっと嬉しい。

そんなことがあり、そういえば子どもを優先していることって他にもあるな、と思った。
例えばそれは子ども向けの映画に付き合うことである。娘は2歳くらいからプリキュアが好きで映画を観に行きたがった。

私は子どもが産まれるまでプリキュアなど全く興味がなかった。そういう女児向けのアニメがあるのは知っていたが、全く関心を向けたことはなかった。

しかし娘はプリキュアのアニメを見て、プリキュア図鑑を読み、いつしかプリキュア大好きっ子になってしまった。

興味がない映画ではあるが、娘が行きたいというなら付き合わないわけにはいかない。
気のりがしないまま行ったが、娘が楽しみにして「プリキュアのえいが!」などと嬉しそうに言うと、私が気がのらない態度をとるわけにはいかなくなる。
「プリキュア面白いといいね!」と無理矢理テンションを上げる。

映画館に着くと私と同じような立場のお父さんたちがいて、仲間意識を感じることができた。
映画を観終わった娘は満足そうだったので、連れて来て良かったなと思うことができた。

こうして娘のプリキュア好きに付き合ううちに、直近3シリーズのプリキュアたちの名前を覚えてしまう程度には詳しくなった。

限られた脳の記憶容量をプリキュアではなく、私にとってもっと有効なことに使いたいのは、やまやまである。
しかし突然、娘が「トロピカルージュプリキュアの黄色い子、名前なんだっけ?」などと聞いてきて、即座に答えられないとスマホで調べさせられることがよくある。
そんなことを続けていくうちに、すっかりプリキュア達の名前を覚えてしまった。

これも子どもを優先することの一つなのかなと思う。
自分は全く興味はないが、子どもの好きな映画を観て、そして子どもが好きな物の知識を共用する。
これも親として成長できつつある証拠なのかなと、自分のことながら密かに思っている。


ただ子ども向けの映画でも大人が感動したり、ちょっとした驚きがあったりすることも分かってきた。

例えばドラえもんである。詳しいタイトルは忘れたが、恐竜の話とのび太くんと静香ちゃんの結婚の話の映画を観た。
これはどちらも感動したし、結婚の話は涙ぐんでしまうほどであった。
さすが国民的アニメドラえもんである。

またちょっとした驚きがあったのは「すみっこぐらし」の映画だ。
ゆるキャラみたいな雰囲気の「すみっこ」たちがのんびり生きている、ほのぼのとしたアニメだ。
ゆるい感じで物語が終わり、エンディングロールが始まる中、聞き覚えのある声が聴こえてきて驚いた。この透明感のある声は私の世代にとってはものすごく馴染み深い。

なんとエンディングテーマはBUMP OF CHICKENが担当していたのである。
映画の本編中ではBUMP OF CHICKENの曲は使われていない。だからエンディングではじめてBUMP OF CHICKENがこの映画に関わっていると知った。

ゆるい系アニメ映画のエンディングにBUMP OF CHICKEN。
BUMP OF CHICKENはゆるい系アニメとはいえ手は抜かない。この映画のための書き下ろしであろうこの曲も、壮大で感動的なBUMP OF CHICKENらしさが全開であった。

この、ある意味ミスマッチの妙に私はとても驚き、新しいBUMP OF CHICKENの聴き方を発見した。これはこれでBUMP OF CHICKENの楽曲のドラマチックさが際立つ。

例えるならスイカに塩をかけると甘く感じるみたいなことだろうか。

BUMP OF CHICKENにゆるさを振りかけると、感動的な部分が引き出されるという効果が生じた。

それと同時に対比効果で、すみっこ達のゆるくてかわいい部分も強調されるといういわばwinーwinの関係性が成り立つ。

この映画の音楽担当者はものすごくいいセンスをしていると感じた。

子どもの趣味に付き合い、子どもの都合を優先して日々過ごしている。
しかし、BUMP OF CHICKENとゆるさを掛け合わせた対比効果というような、意外な発見ができることも育児の面白さかなと思っている。

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