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異世界転移流離譚パラダイムシフター

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数多の次元世界<パラダイム>に転移<シフト>して、青年は故郷を目指す──
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2021年8月の記事一覧

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (7/16)【変造】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (7/16)【変造】

【目次】

【群脳】←

「征騎士……それも、3名も? なんとなればすなわち、このワタシをそれだけ高く評価してくれているのは嬉しいが、グラトニア帝国軍が多方面に展開している現状において投入する戦力としては、いささか過剰ではないかナ?」

『こちらの心配をしている余裕など、到底、ないはずだろう。『ドクター』ッ!』

「少なくとも、このブロックの制御権限は掌握しているかナ。なんとなればすなわち、籠城戦

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【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (6/16)【群脳】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (6/16)【群脳】

【目次】

【均質】←

「ふむふむ……なんとなればすなわち、これは……」

 区画制御室の内部に照明はついておらず、無数の機材ランプと突き当たりの液晶モニターの輝きが、わずかな灯火となっている。

 かなり手狭に感じるのは、壁面に沿ってぎっしりと詰めこまれた大型の導子コンピュータ群のせいだ。巨体の『暫定解答<ハイポセシス>』は入れそうにない。

 ドクター・ビッグバンは、随伴の有機物塊を、入り口

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【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (5/16)【均質】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (5/16)【均質】

【目次】

【披露】←

「なんとなればすなわち、こうして数少ない導子理論の担い手同士が、ふたたび顔をあわせたわけだ。存分にディスカッションしようではないかナ、モーリッツくん!」

『ふん、ぼくが貴方と話すことはなにもない……ゼミナールなど、お気に入りの孫娘とでもやっていればいいだろう!』

 白衣をはためかせながら、ドクター・ビッグバンは『塔』の通路を駆ける。背後からはパワードスーツ甲冑兵が追跡

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【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (4/16)【披露】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (4/16)【披露】

【目次】

【旧知】←

──ズガガ、ガガガッ!!

 通路を埋め尽くすほどの飽和射撃、進行方向が見えなくなるほどの銃弾の嵐をまえにして、ドクター・ビッグバンは泰然自若とした態度を崩さない。

 白衣の老科学者に、弾丸が1発たりとも命中することはなかった。『状況再現<T.A.S.>』による演算を、行使したわけではない。

 スクラムを組み、アサルトライフルを構えるパワードスーツ甲冑兵たちと、かくし

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【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (3/16)【旧知】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (3/16)【旧知】

【目次】

【別働】←

「ふむふむ、これが……なんとなればすなわち……」

 白く冷たい照明が照らす無機質な通路に、緑色の輝きを放つ次元転移ゲートが現れ、そのなかからドクター・ビッグバンがキャリーバッグを引きずりながら歩み出る。

「周辺に、人の気配はないかナ。転移座標の誤差は許容範囲内。グラトニア帝国側の導子攪乱を、上手くくぐり抜けられたようだ」

 白衣の老科学者は、きょろきょろと周囲を見ま

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【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (2/16)【別働】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (2/16)【別働】

【目次】

【艦橋】←

「ところで、おじいちゃん。格納庫から持ってきた、それ、なあに?」

「ミュフハハハ! よいところに目を付けた。気になるかナ、ララ?」

 孫娘の問いかけに対して楽しそうな笑い声を返したドクター・ビッグバンは、キャリーバッグの持ち手から指を離し、トランクを床に置く。

 白衣の老科学者は、ひざを曲げて身をかがめると、旅行カバンを開ける。やや大きめである以外は、ありふれたデザ

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【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (1/16)【艦橋】

【第2部26章】ある導子学者たちの対話 (1/16)【艦橋】

【目次】

【第25章】←

「たたたっよたったたた……」

 次元巡航艦『シルバーブレイン』メインブリッジ、オペレーター席に座るララは眼前のキーボードをせわしなく叩きながら、まばたきすることも忘れてモニターをにらみつけている。

 グラトニアの中央に鎮座する巨大建造物、艦の目的地でもある『塔』の制御システムへの侵入を、天才少女は手を変え、品を変え試みる。

 艦橋のメインモニターには、天才少女が

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【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (8/8)【暗殺】

【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (8/8)【暗殺】

【目次】

【振子】←

「うグ……グえッ!!」

 アウレリオ議長は、苦しげな声をあげる。鎖でぶら下がる女と鉄馬が左右に揺れるたび、太ももに巻きついた刃が喰いこみ、かろうじて保っている浮遊状態のバランスも乱れる。

「なにをしている、蛮女……地上からの狙撃をそらすためか? それとも、単なる嫌がらせか!? まあ、どちらでもいい……どのみち、貴君の命運は着地と同時に尽きるだろう!!」

「……テメエ

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【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (7/8)【振子】

【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (7/8)【振子】

【目次】

【鉄鎖】←

「ご、ガ……てッ!」

 アウレリオ議長は、うめく。数メートル下方に鎖でぶら下がる赤毛のバイクライダーは、ハルバードの柄とバイクのハンドルをかみあわせる。これにより女の体重と鉄馬の荷重が、そのまま男の身体に、足の付け根にかかる。

「ぬグァ……バイクの重量、どの程度だ……100、いや200キログラムか……どのみち、わたしの脚が引きちぎれてしまうだろう!?」

 陳情院議長

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【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (6/8)【鉄鎖】

【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (6/8)【鉄鎖】

【目次】

【屋上】←

「あぅ……げほオ……ッ!」

 シルヴィアは、全身をけいれんさせつつ嘔吐する。すえた胃酸の臭いに混じって、砕け散ったコンクリート粉末と、機銃の硝煙の臭いが鼻につく。

 口元をぬぐうこともかなわぬまま、狼耳の獣人娘は前を見据える。視界が歪む。指先が震える。銃火器をかまえるどころか、にぎることすら、かなう状態ではない。

 軍用ヘリが、目と鼻の先まで降りてくる。陽光が防弾ガ

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【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (5/8)【屋上】

【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (5/8)【屋上】

【目次】

【追駆】←

「くあ……ッ!」

 前方に大きく吹き飛ばされながら、シルヴィアはうめく。背後では、塔屋に撃ちこまれたミサイルが爆発し、放送局ビルの屋上、その四隅の一角を粉みじんに崩壊させた。塔屋から出るのが数秒でも遅れれば、自分も無数の肉片と化していただろう。

「グラトニア側の建物だろうに……お構いなしだな……ッ!?」

 うつ伏せに倒れこみつつ、狼耳の獣人娘は薄れかける己の意識を叱

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【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (4/8)【追駆】

【第2部25章】陳情院議長暗殺計画 (4/8)【追駆】

【目次】

【議長】←

「逃がしはしないのだな……ッ!」

 狭苦しいステージ裏を、シルヴィアは駆ける。クリアリングしている余力はないが、撮影機材の影に人が隠れている気配はない。念のため、走りながら足裏に『狩猟用足跡<ハンティング・スタンプ>』をしかけていく。

 数秒とせずに、案の定、背後から盛大な物音が聞こえてくる。狼身の獣人娘を追いかけようとした撮影スタッフが『固着』され、後ろから追突され

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