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異世界転移流離譚パラダイムシフター

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数多の次元世界<パラダイム>に転移<シフト>して、青年は故郷を目指す──
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パラダイムシフター【About & Index】

パラダイムシフター【About & Index】

◆本作について◆

科学世界、魔法世界、原始世界……無数に存在する多種多様な次元世界を股にかけるマルチバース活劇小説。それが異世界転移流離譚パラダイムシフターだ。

エロス・ヴァイオレンス描写有。無双・チート展開無。

本作はTwitterをメインの活動場所として、日夜、最新エピソードを連載している。noteにおける本マガジンは、そのアーカイブに当たる。

最新エピソードを追いかけたい人はTwit

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【第□章】メビウスの輪を巡り (4/4)【終点】

【第□章】メビウスの輪を巡り (4/4)【終点】

【目次】

【抵抗】←

「絶対に逃がすな! 仲間を呼ばれるぞッ!!」

 かつて下水道だった地下通路のなかで、五人の人間と一体の異形がにらみあっている。そのうち、一人はルーク青年だ。

 正面に立ちふさがるパンドラの怪物は、大人の身長の三倍ほどもあるイナゴ型の個体だ。通常は群れて行動するが、はぐれたのか周囲に仲間らしき姿は見あたらない。

 ルークも含めた五人の男たちは、ライフル、サブマシンガン

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【第□章】メビウスの輪を巡り (3/4)【抵抗】

【第□章】メビウスの輪を巡り (3/4)【抵抗】

【目次】

【螺旋】←

 夜の空を一筋の輝きが駆けていく。虹色の尾を引く、パンドラの流星だ。この光景を見るたび、ルーク少年は自分が生死のループを巡っていることを思い出す。

 これは、m回めだ。『前回』は、アトランティス中央研究所にたどりつくことしかできなかった。今回は、どうだろうか?

 少年の夢想は、それ以上、続かなかった。パンドラの流星の様子が、『前回』と違う。虹色の尾が走り抜けた夜空に、

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【第□章】メビウスの輪を巡り (2/4)【螺旋】

【第□章】メビウスの輪を巡り (2/4)【螺旋】

【目次】

【起点】←

 西暦20XX-1年、大西洋上に造られた巨大人工島、通称『アトランティス』。

「ルークくん! ひさしぶりではないかナ……なんとなればすなわち、健康そうでなによりだ!!」

「博士課程ぶりです。ウォーレス教授のほうこそ、お元気そうでなにより……」

「ミュフハハハ! 半数正解すれば採用を検討される試験で、全問正解しておきながら、ずいぶんと涼しい顔をしてくれるかナ。設問を用

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【第□章】メビウスの輪を巡り (1/4)【起点】

【第□章】メビウスの輪を巡り (1/4)【起点】

【目次】

【第■章】←

 西暦20XX年、大西洋上に造られた巨大人工島、通称『アトランティス』。

 各国と国際企業群の出資で建造され、運営されている人口100万人ほどの海上都市は、もっとも新しい独立国家として国際的に認知されている。

 温暖で安定した気候と物珍しさから観光地としての人気も高いが、その本質は、人類共通の利益を目的として設立された国際研究機関である。

 海上航空に、一機の飛行

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (24/24)【望郷】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (24/24)【望郷】

【目次】

【縫合】←

「しっかりするのだわ、アサイラ! 気を強く持って……早く目を覚まして!!」

「うるさいですわ、『淫魔』ッ! 詠唱の邪魔ですから、治療魔術が使えないなら、黙っていなさい!!」

「──グヌッ」

 黒髪の青年は、小さくうめく。かしましい声が耳元に響き、眠りが妨げられる。まぶたを薄く開くと、白と黒、それぞれのドレスにおおわれた、ふたりぶんの豊満な乳房が、ぼやけた視界に映し出

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (23/24)【縫合】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (23/24)【縫合】

【目次】

【瘴気】←

──ザンッ!

 アサイラの投擲した『龍剣』は、不可能物体を形作る石材製の骨組みの『遺跡』をくぐり抜け、その中央の地面に刀身深々と突き刺さる。

「あやとれ! 『星辰蒼尾<ソウル・ワイアード>』ッ!!」

 漆黒の瘴気にかすみ、見通せぬ視界のなか、黒髪の青年は上空から右腕を伸ばす。目視による確認はできないが、己の意志が剣に通じた手応えはある。

 その証拠に、闇の荒海のな

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (22/24)【瘴気】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (22/24)【瘴気】

【目次】

【裂傷】←

(──アサイラ、聞こえている!? エマージェンシー! 緊急事態だわッ!!)

 リーリスの声が、けたたましく脳裏に響き、アサイラは閉じかけたまぶたを開く。心身は完全にスリープモードに陥っていて、四肢の先から五臓六腑に至るまで気だるさに満ちている。

「どうした、リーリス……モーニングコールには、早すぎるんじゃないか? 少しは、ゆっくり休ませろ……」

(グリンッ! 寝ぼけ

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (21/24)【裂傷】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (21/24)【裂傷】

【目次】

【崩怪】←

「グリン……アサイラは、間違いなくグラー帝を倒した。空から落ちてくる次元世界<パラダイム>も、押し返した。それなのに、なんで……今度は、グラトニアの地面が崩れているのだわ!?」

「問いただしたいのは、わたくしのほうですわ! 『淫魔』ッ!!」

 リーリスとクラウディアーナは、悲鳴じみた叫び声をあげる。エルヴィーナは、片腕を失った肩を侮蔑するようにすくめてみせる。

「ア

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (20/24)【崩怪】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (20/24)【崩怪】

【目次】

【輝跡】←

「アはは! アははハはハッ!!」

 眼孔から膿汁と肉片と毒蟲をまき散らしながら、『魔女』は狂ったように哄笑する。踊るような動きで空を舞いながら、指先で魔法文字<マギグラム>を描く。共鳴するがごとく、エルヴィーナのすぐそばに浮かぶ『天球儀』の輪が、淡い光を放つ。

「グリンッ! 龍皇女、左右両方から同時だわッ!!」

 クラウディアーナの魔法<マギア>によって、三つ編みの

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (19/24)【輝跡】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (19/24)【輝跡】

【目次】

【天地】←

「なんだい、ありゃあ……」

 修道服を身にまとう大柄な初老の女性が、蒸気自動車のハンドルを切りつつ、急ブレーキを踏む。ただでさえ舗装されていない荒野を走っていた車体が、大きく揺れる。

 助手席に座る孤児院の少年の抗議を無視して、運転手の女──シスター・マイアは、フロントガラス越しに目を凝らす。

 地平線の果てから、アメジストのような輝きを放つ光点が、空に向かって昇っ

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (18/24)【天地】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (18/24)【天地】

【目次】

【十分】←

「ぐ、ぶァ……! なにをした、愚者め!?」

 持ち主の意志に応じて縦横無尽に張り巡らせた蒼銀の糸が、暴君の全身に巻きついている。腕の、脚の筋肉をどれだけ盛りあげようと、引きちぎれない。

「神さま、なんだろ? 俺に聞くまでもないんじゃないか、裸の王さま。人智を超えた力とやらで、ふりほどいてみろよ」

 アサイラの拘束など、誤差程度の意味すら持たないと思っていたのだろう。

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (17/24)【十分】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (17/24)【十分】

【目次】

【増進】←

「グオラッ」

「ウラア!」

 小惑星帯を思わせる浮遊がれきのなかを縫って、グラー帝は左フックを放つ。対するアサイラは、張り巡らせたワイヤーのうち1本を巻き取り、己を引っ張って三次元方向に回避する。

「なんだ……無重力状態になって、かえって避けやすくなったんじゃないか?」

「飽きもせず、無意味なことを……一言以ておおうならば、不快の極みである」

「つまり、嫌がらせ

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (16/24)【増進】

【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (16/24)【増進】

【目次】

【臨界】←

「グオラッ」

「グヌウ!」

 激しく振動し、ところどころ崩落すらしている足場の悪さをものともせず、グラー帝が拳を伸ばす。アサイラは、寸でのところで直撃を回避する。音速を超える拳圧が頬をかすめ、切り傷を刻む。

 黒髪の青年は、ひびだらけの柱を遮蔽に使いつつ、彼我の間合いを保とうとする。諸肌に傷ひとつない偉丈夫は、まるで石ころでも蹴飛ばすように、『塔』の部材を破壊しなが

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