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異世界転移流離譚パラダイムシフター

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数多の次元世界<パラダイム>に転移<シフト>して、青年は故郷を目指す──
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パラダイムシフター【About & Index】

◆本作について◆

科学世界、魔法世界、原始世界……無数に存在する多種多様な次元世界を股にかけるマルチバース活劇小説。それが異世界転移流離譚パラダイムシフターだ。

エロス・ヴァイオレンス描写有。無双・チート展開無。

本作はTwitterをメインの活動場所として、日夜、最新エピソードを連載している。noteにおける本マガジンは、そのアーカイブに当たる。

最新エピソードを追いかけたい人はTwit

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【第2部31章】落ちてくる、この空の下で (1/24)【摩天】

【目次】

【第30章】←

「──雨が、止んだか」

 アサイラは、ぼそりとつぶやく。次元巡航艦『シルバーブレイン』の上部甲板前方、ほぼ艦首の上方で、座禅を組むように座っていた黒髪の青年は、閉じていたまぶたをゆっくりと開く。

 船体を包みこむ不可視の力場、スピリタム・フィールドによって、アサイラの身体はスコールのごとき激しい雨粒から守られ、濡れてはいない。

 空をおおっていた黒雲が、現れたと

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【第2部30章】阻止限界点 (4/4)【盟友】

【目次】

【確証】←

「なんとなればすなわち、これほどの速度で増殖するとは……レールガンを駆動させていた多脚戦車の電力を、吸収したかナ? あれだけの莫大なエネルギーを供給していたとなると、核熱球を搭載していたのだろう……」

『おじいちゃん! 冷静に分析している場合じゃないということね!?』

「いや、ララ……窮地にあってこそ、沈着であるべきではないかナ……?」

 ダムが決壊するように隔壁が

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【第2部30章】阻止限界点 (3/4)【確証】

【目次】

【隔壁】←

「なんとなればすなわち……こんなことになるならば、デズモンドのトレーニングにも、もう少し、腰を入れて、つきあうべき、だった……かナッ!?」

 ドクター・ビッグバンは、息を切らし、よたよたとよろめきながら通路を走る。進行方向の隔壁が落ちてくる。背後からは、スライムの濁流が迫ってくる。

 白衣の老科学者が、すべりこむように間隙をくぐると同時に、機密シャッターが廊下をふさぐ

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【第2部30章】阻止限界点 (2/4)【隔壁】

【目次】

【電磁】←

──キュドオンッ!

 レールガンの第2射が、放たれる。ドクター・ビッグバンは、左右の手のひらで鼓膜を守る。超音速の弾体が、中央管制室に撃ちこまれ、破滅的な崩落音が遅れて響く。

 白衣の老科学者は、間一髪、転がるように廊下へ飛び出て、難を逃れる。通路に待ちかまえていた敵機の姿を、ようやく捉える。

「なんとなればすなわち、皇帝の親衛隊のような戦力が残っていることは想定し

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【第2部30章】阻止限界点 (1/4)【電磁】

【目次】

【第29章】←

「なんとなればすなわち……これでは、どうかナ!?」

 ドクター・ビッグバンは、モニターの明かりのみが光源となっている暗闇のなかで、たん、と強い打鍵音を立ててエンターキーをたたく。

 液晶画面上に並ぶ文字列が、一瞬、消える。白衣の老科学者は、息を呑む。次の瞬間、『Reboot』の文字列とともに、『塔』の中央管制室の照明がともり、電源が復旧する。

「試行回数、12回

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【第2部29章】至高の騎士、最強の刃 (16/16)【消沈】

【目次】

【焼尽】←

「あグ……ッ!?」

 アンナリーヤは、うめく。急にトリュウザの抵抗が消えたため、空中浮遊のバランスを崩しかけた。顔をあげ、首をめぐらせれば、能力主を失った鉛色の巨蛭が、塵のようになって分解していくさまが見える。

 禍々しい光を放っていた赤熱する大地が、本来の姿へと鎮まっていく。広範囲を包みこんでいた極高温環境は、もとの温度へ向かって急速に低下していく。

 戦乙女の姫

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【第2部29章】至高の騎士、最強の刃 (14/16)【血河】

【目次】

【屍山】←

 イクサヶ原には、武芸者という人種がいる。

 農民や商人など武家の産まれではなかったり、あるいは親がサムライであっても末子であるがゆえに領土や官職を受け継げなかったりしたなかで、個人的に武術の技を研鑽するものたちだ。

 出自同様に、武芸者の目指すところも様々だ。実力を示して大名家への仕官を目指すものがもっとも多いが、傭兵や用心棒としての暮らしで満足するもの、盗賊まがい

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【第2部29章】至高の騎士、最強の刃 (13/16)【屍山】

【目次】

【未来】←

 数え年で、齢5つのときだったと思う。

 イクサヶ原の片隅の貧村を挟んで、サムライ同士の小競り合いが起こった。100人に満たぬ足軽、10騎足らずの騎竜。

 戦とも言えぬほどの規模の衝突は、日が暮れるまえに終わり、貧村は地図のうえから消える。イクサヶ原の残酷な、しかしありふれた出来事。になるはずだった。

 3日経っても、配下の足軽はおろか、戦況を知らせる伝令すら戻って

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【第2部29章】至高の騎士、最強の刃 (12/16)【未来】

【目次】

【死舞】←

「……ぬぅ!?」

 長尺の刀でフロルの脳天から串刺しにしようとして、殺意に血走った瞳の視線を落としたトリュウザは、魔銀<ミスリル>の大盾の内側に、あり得ないものを見る。

 盾の握りをつかむ手が、ふたつある。利き手に剣を構えている以上、両方とも少年のものではあり得ない。

 そもそも、余分な側の手には、手首より根本がない。切断面は、鈍色の金属光沢。蒼碧の輝きを放つガント

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【第2部29章】至高の騎士、最強の刃 (11/16)【死舞】

【目次】

【突風】←

「花は桜木、人は武士……死合の粋を解さぬ小童<こわっぱ>め! さきほどまでの見事な剣さばきを、醜く汚す無様にて御座候ッ!!」

 かんしゃくを起こしたかのごとくわめくトリュウザは、ふたたび長尺の刀を大振りする。殺人的な突風が生じ、斬撃が『飛』ぶ。フロルは、魔銀<ミスリル>の大盾で防御し、衝撃で後退する。

 予想はしていたが、すさまじい圧力が盾越しに襲いかかる。蓄積した疲

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